英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【屋久島】周遊ツアー5 車で傍まで見に行ける屋久杉「紀元杉」

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。緊急事態宣言中ですが、一応ワクチンは全員接種済み(言い訳)

前回はヤクスギランドをご紹介しました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

ヤクスギランドから車でさらに20分走ったところに、樹齢3千年の屋久杉、紀元杉があるので行ってみましょう。屋久島では樹齢千年以上を屋久、それ未満を小杉(こすぎ)と呼びますが、3千年!!!

 

屋久杉で最もよく知られているのは、縄文杉だと思います。発見当初は樹齢7千年と言われた古木。でも、その縄文杉に会いに行くには、8~10時間かけての登山が必要です。それに対して紀元杉は車でチャッと行って、チャっと見ることができます。とはいえ、最も近い集落である安房地区からバスで1時間ほど揺られます。しかも、チャンスは1日2回

バスの時刻表を見ると、ヤクスギランドと紀元杉へ行くバスは1日2本。

  9:26   安房港 ⇒ 10:07 ヤクスギランド ⇒ 10:27 紀元杉

  13:36 安房港 ⇒ 14:17 ヤクスギランド ⇒ 14:37 紀元杉

 

戻りのバスが、

  10:45 紀元杉 ⇒ 11:05 ヤクスギランド ⇒ 11:48 合同庁舎前

  14:55 紀元杉 ⇒ 15:15 ヤクスギランド ⇒ 15:58 合同庁舎前

 

紀元杉に到着してから18分後の戻りのバスに乗るというパターンです。

 

でも、紀元杉だけではなくて、ヤクスギランドも当然行きたいですよね?だとしたら、1日1チャンスしかありません。

  9:26   安房港 ⇒ 10:07 ヤクスギランド ⇒ 10:27 紀元杉

  10:45 紀元杉 ⇒ 11:05 ヤクスギランド

   (ヤクスギランド散策 4時間10分)

  15:15 ヤクスギランド ⇒ 15:58 合同庁舎前

 

  9:26   安房港 ⇒ 10:07 ヤクスギランド

   (ヤクスギランド散策 4時間10分)

  14:17 ヤクスギランド ⇒ 14:37 紀元杉

  14:55 紀元杉 ⇒ 15:15 ヤクスギランド ⇒ 15:58 合同庁舎前

 

先に紀元杉かヤクスギランドかという選択肢しかありません。しかも、1日がかり。やっぱりレンタカーを利用するのが現実的な屋久島ですが、西部林道のように狭い山道を走るなら、ツアーも組み合わせると安心して回れると思います。ツアーは私の利用したまつばんだ交通と、岩崎グループの屋久島交通のものがあります。

fuwari-x.hatenablog.com

 

屋久杉の近くで車を停めます。雷か何かでそのまま伸びられなかった木が、やっぱり朽ちることなく枝を伸ばしているのは、いかにも屋久島らしいとガイドさん。

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さて、紀元杉の案内板があります。車でチャっと行けて、チャっと見られるというのはどんなものかと言いますと・・・

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ほら、すぐ隣に遊歩道があり、もうそこに立っているんです。

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遊歩道に入るそばにはモミの伐採跡があります。老衰によって枯れたとみられるモミで、その寿命は455年。他に例を見ない高齢樹です。

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屋久杉の千年超と比べると短命ですが、モミがそこまで育つのはごく稀だそうです。お疲れさま。  

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紀元杉のまわりはぐるりと遊歩道ができています。もしかすると、コロナ禍でなければ順番に歩いて行かなければならなかったのかもしれません。でも、このとおり無人

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確かに太い幹は周囲が8.1m、樹高19.5mですが、3千年という時を考えると引き締まった躯体かも。

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樹齢7千年という説もある最古の縄文杉幹周16.4m、樹高25.3mだそうなので、さぞ堂々たる姿なんでしょう。でも、縄文杉は20mほど離れたところからしか眺めることができません。それに対してこの近さは、嬉しい。

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見上げてみると、やっぱり迫力がありますね。ほぼ水だけで何千年も生き続けるなんて、食いしん坊の私には考えられません。

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樹高の19.5mも、さほど高くはありません。調べたところによると、植林による杉は50年ほどで伐採するそうなので、20mにするには100年もあれば足りるんじゃないかと思います。

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それに引き換え屋久島の杉は、わずかな成長で生き続ける。確かに幹には貫禄があります。

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しかも、ほかの木が寄生しているようですね。どこへでも根を下ろし、呑み込んでいく屋久島の植物。

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いったい、どうなっているのか、どこからがなんなのか、さっぱりわからないこの複雑さ。3千年もの時をかけて、しかもゆっくり成長していった彼らには、彼ら自身もどこからが自分かわからないかもしれませんね。

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苔生して、寄生されている木はあちこちにあります。倒れてもそこから伸びて、なにかに寄りかかって生きて、これからも生きていくのでしょう。

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屋久杉を見るだけだったら、省くのもやぶさかではないと思っていましたが、見たそのときよりも、あとになってじんわりその存在感が思い出されます。誰も行かなかったことで、さらにその神秘の世界を味わうことができたかもしれません。

 

帰り道から見えた安房地区。西部林道を通っていたときに豪雨だったことなど感じさせない景色です。1周わずか130kmの屋久島ですが、場所によってまったく天気も変わってきます。

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集落まで下りてきました。パパイヤの木が見えます。屋久島はタンカンとポンカンが有名ですが、ガイドさんのおススメはタンカンだそうです。

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ノボタンも美しい。私も家に植えていましたが、引越した後に枯れてしまいました。丈夫な花だそうですが、熱帯や亜熱帯に分布しており、冬の寒さには弱かったのでしょう。関東では難しいそうです。

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尾之間地区からよく見えるのがムッチョム岳。6年生のお別れ遠足で登るんだそうです。標高940m、子どもたちは楽々と登るそうですが、なんと親も同伴だそう。親子で登山、親離れ子離れの第一歩としての儀式なんでしょうかね。頂上にいる人たちが下から見えるようですよ。ここも登ってみたかったな~

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17時過ぎ。ホテルまで送ってもらってツアーは終了です。昼食付5,500円/人で、この満足度。思わずわずかにチップを渡し、お別れしました。まつばんだ交通やくざる号、おススメです。

次回記事はこちら。

fuwari-x.hatenablog.com

 

【屋久島】周遊ツアー4 神秘の世界「ヤクスギランド」後編

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。緊急事態宣言中ですが、一応ワクチンは全員接種済み(言い訳)

前回は屋久島観光のハイライト、ヤクスギランドの前編でした。

fuwari-x.hatenablog.com

 

引き続き、ヤクスギランドをご案内します。

ヤクスギランドは遊歩道を歩く30分と50分のコースと、トレッキングコースの80・150・210分コースがあります。私たちは30分コースをガイド付きで1時間ほどかけて歩きました。

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朽ちない森、屋久島ではどこにでも植物が芽を出しますが、こちらは切株更新。一見、1本の木に見えますが、これはちょっと違います。

貧しかった屋久島では、かつて林業を発展させようとしていた時期があります。ふつう伐採すれば根元は枯死しますが、ここでは切ったからといって寿命は尽きません。花崗岩の上のわずかな表土に根を下ろしている杉は、土からの栄養がほとんど得られないないため、もともとがほとんど水耕栽培状態。成長が非常に遅く、年輪もみっちりで、樹脂が濃縮された状態で育っています。だから、切っても朽ちる要素がない。伐採した上に苔が生え、そこに杉の種が落ち、新たに育くそのパターンの中で、切株の上に新たな杉が育っているのを切株更新といいます。

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特にこちらは、2本育ったので双子杉と呼ばれています。まるで枝分かれした1本の木のようですが、元の木は伐採された古い木です。しかも根元は洞になっているので、何かの上に立っていた杉なのでしょう。今は、その「何か」が朽ちてぽっかり空洞になっています。

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屋久杉の伐採には試し切りが必要でした。屋久杉の主な用途は屋根用の平木だったので、外観上、表面がきれいで、均等に薄く割れる木がいい。手斧で伐採していた当時、大きい屋久杉に苦労していたので、必ず木の途中を一部切り取って割りやすい木かどうか試し切りをしていたのだそうです。そんな残りも土埋木として放置されています。

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前回、屋久島では樹齢千年以上を屋久、それ未満を小杉(こすぎ)と呼ぶという話を書きました。ヤクスギランドで見られる屋久杉はこちらの千年杉です。

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見上げると、枝葉を広げすくすくと育っていることがわかりますが、千年も経っていることを考慮すると、一般に見る御神木と変わりません。御神木が台風で倒れるのは、既に寿命を迎えているから。それに対して屋久島の杉は、時間をかけて成長し、その分、樹脂が多く寿命が長いのが特性です。

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こちらはねじり杉。光を求めてゆっくり育った杉の表皮がねじれているのがわかります。すくすく育つはずの杉がこのような姿になるのもまた、成長が遅い屋久島ならではのものなのでしょう。

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名のつけられた杉の最後は、こちらのくぐり杉。前回ご紹介したヒメシャラもそうでしたが、倒れた杉が寄りかかってそのまま生きています。朽ちない森。太古の昔から生き続けている木々。パワースポットと言われても???の鈍い私でも、呑み込まれそうな息遣いが聞こえてきそうな気配があるのはそのせいでしょう。

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苔マニアの人も屋久島に魅せられるそうです。なんとも美しい色を、ずーっと眺め続けているんだそうです。

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わかりやすいのは、その名から連想できるコスギゴケ

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その傍にも、苔らしき仲間が何種類も見つけられます。

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確かにヤクスギランドでは、杉に並んで苔も主役でしょう。どこにでも、なんにでも寄生し、秘かにその存在感を放っています。多くの杉と、苔生した森。私たちの知る屋久島らしさのように思います。

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苔の緑を反射して、水滴さえも緑に見せてしまいます。キラリときれいな水の色も、不思議な世界を醸し出していました。

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ほかにもいろんな植物を見つけました。これは、ナチシダ

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下の方にはちらりとキノコ。

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赤く見えるのは、ツチトリモチ。これはちょっと不気味な花を咲かせるんですよ。

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こちらはクワズイモという説明を受けました。このグロテスクな実を見たら、たいていサトイモの仲間なんだそうです。

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屋久島の杉と共存していることで知られるヤマグルマが根を伸ばしています。別名トリモチノキといい、トリモチが取れるそうです。さきほどのツチトリモチも同じくトリモチが取れることからその名がついていますが、取れるのは根茎からだそう。被子植物という以外に共通点はなさそうです。f:id:fuwari-x:20210910130740j:plain

 

ただ、あとで調べたヤマグルマは私が撮っているこれとはちょっと違う気が・・・根を伸ばしている木をヤマグルマと思っていましたが、明るい幹の木がそれなのかもしれません(汗

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この吊り橋、清涼橋を渡ると、そろそろ30分コースも終了です。短いコースでしたが、案内を受けての散策はとても充実していました。これでやっと屋久島へ来た実感が湧きました。怪我を押してきた甲斐がありました。

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昨今、世界の各地で森林火災が多発し深刻化していますが、日本は湿度が高いのが幸いしているのでしょう。中でもこの屋久島は空気中の湿度でも植物が水分を吸収できるほど。その代わり、水害は増えていますね・・・

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ガイドさんが繰り返し言われていた、土もなく、よって微生物も育たず、栄養もない屋久島の森。緑は多くても、決して豊かではない。それでも、その緑が多くの酸素を生み出しているんですね。

次回記事はこちら。

fuwari-x.hatenablog.com

 

【屋久島】周遊ツアー3 神秘の世界「ヤクスギランド」前編

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。緊急事態宣言中ですが、一応ワクチンは全員接種済み(言い訳)

前回は世界自然遺産の西部林道を走った話をご紹介しました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

ランチのあとは、いよいよ楽しみにしていたヤクスギランドへ向かいます。

車に乗り込むと、一緒にツアーを回っていた女性がガイドさんとあれこれ相談しています。あとで聞いたところによると、私の行きのフライトのように天候調査が入ったという通知があったようです。彼女が予約していたのは最終便。でも、仕事の都合で確実に帰らなければならないので一便早めることを選択したようでした。そうするとツアーはここで離脱しなければなりません。ハイライトなしに帰っちゃうなんて、残念。でも、この話は他人事ではありませんでした。

 

空港近くで彼女を下ろし、次へ向かいます。空港近くからは愛子岳が見えます。地元三岳酒造の「愛子」という名の焼酎があり、愛子さまご誕生の折には献上されたそうです。九州南部は気温の高く、日本酒は工場のような設備を持たない限り自然な状態では作れないので、飲むのも作るのも焼酎です。発酵が進み過ぎるんですね。

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ガイドさんはいなか浜を回れなかった代わりにちょっと見晴らしのいい場所へ連れて行ってくれました。安房川に架かる橋です。この川をずっと遡っていくと、尾之間地区からは行けなかった千尋の滝があります。見える山は愛子岳っぽいけどきっと違う。40座以上ある屋久島、似たような三角形の頂を持つ山はきっといっぱいあるのでしょう。

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下流の方を見れば、安房地区と海が見えます。私たちが泊まっていた地区はおのあいだ(尾之間)、こちらはあんぼう(安房)と読みますが、地名は難しいですね。

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さて。ここからヤクスギランドに向かって標高を上げていきます。トロッコ用の線路が見えますが、現役です。かつて林業で栄えていたころの森林鉄道を今も使用し、登山道にあるトイレなどの維持管理に必要な物資の輸送や、屋久杉の土埋木(「どまいぼく」の話は後ほど触れます)や昔の切り株などの運搬などを行っています。この線路の上は縄文杉へ登るときなどに歩くようなので、やっぱり再訪して歩いてみたい!

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森林鉄道を管理しているのは屋久島電工。ちょうどガードレールと画像が重なっちゃったんですが、第一発電所が見えます。上流にはさらに第二発電所もあるのですが、屋久島は島内で電力をすべて担っているというスゴイ島なんです。もちろん、ここへ行くときも森林鉄道を使います。

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山道を上がっていくと、向こうに種子島も臨めます。曇天とはいえこれだけ見渡せるのに、飛行機が飛ばないかも・・・とは、屋久島はなかなかキビシイところです。

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斜面が崩れているのが見えるでしょうか。2019年、記録的豪雨で登山客が取り残されたときに崩れた山肌です。屋久島は周辺部が堆積岩で、そこを花崗岩が貫いて隆起した島なので表土がとても少ないのです。したがって、森林の木の根はしっかり大地に張っているというわけではないので、大雨の被害は受けやすいと言えるかとも思います。

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ただし、このときの大雨は過去に例を見ないもの。こちらも木々を失って谷間のようになってしまった箇所です。

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多くの観光客が取り残された大雨でしたが、幸いだったのはバスも同様に取り残されたので、雨宿りをすることができたことだろうという話でした。

(そのときの記事を見つけました ↓ )

www.asahi.com

 

ヤクスギランドに到着しました。目の前に見える角が生えているような山は標高1,497mの太忠岳(たちゅうだけ)。ヤクスギランドにはいくつかのコースがありますが、そのうちのひとつから足を延ばすと太忠岳へ行くことができます。角のように見えるのは、岩。傍へ行くとかなり大きな天柱石なのでググると驚くと思います。これもまた魅力的だ~

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ヤクスギランドへ入るには協力金500円を支払うのですが、この日は前日からの雨の影響だったかで、自由見学。よって徴収はナシでした。でも、維持管理に貢献しようと相棒が千円札を入れていました。

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ヤクスギランドは、その「ランド」という名からお手軽な雰囲気が窺えますが、決して侮れない場所です。30・50分コースは遊歩道となっていますが、80・150・210分コースは登山の装備が必要なトレッキングコースです。

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私たちは30分コースをガイド付きで歩くので、概ね1時間ほどかけて回っています。このとおり、よく整備された遊歩道には負傷後の私にはとても助かりました。
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最初の見どころはくぐり栂。左側の根元を見ると木がいったん倒れただろうことがわかります。屋久島ではそれで木が死なないんですよね。表土がないということは、栄養が足りない。逆説的に言うならば、腐敗する要素もまた足りないということになります。(このくぐり栂は倒木が原因ではなかったかも・・・記憶が不確かデス)

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こちらのヒメシャラを見てもわかりますが、根こそぎ倒れているんだけど、そのまま生きちゃう。表土が少なく栄養がない、いわば水だけで生きているので、倒れても決定打にならないっていうことなんでしょう。

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こちらは倒れた木の上で生命を育む植物たちです。土の上でなくても苔が生え、芽が育ち、木の上でもこうして生きていくのです。

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そんな中でヤクシマスミレも咲いていました。こうして自然豊かに見えるんだけど、栄養のないこの土地は決して「豊か」ではないのだという話が繰り返し出てきました。簡単に自然豊かと言われてしまう安易さに抵抗もあるのでしょう。農業が発展させられない地元民の生活の糧への模索も見え隠れしているにも感じられました。

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生きている木にもほかの植物があちこちで寄生しています。こちらはタカサゴガリゴケ

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木の枝にもぶら下がっています。こうして、なんにでもほかの生物が息づいて、なんでも呑み込んでしまうのです。

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橋の欄干にトンボを発見!黒いボディがシブい。

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そんな欄干の上にも植物が根を下ろしています。

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欄干を繋ぐ柱の上にも。水だけで生きるこの生命力。雨が多く、一年を通してコンスタントに水分が確保できていることもまたわかります。

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ガイドさんがザトウムシを見つけました。8本の脚のうち2本が長く、盲目の座頭のようにその脚をユラユラさせて行く先を探して歩くので、ザトウムシと呼ばれています。ふつうだと関心も持たない虫の世界も、ガイドさんの説明があると楽しい。

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私たちが連想する屋久島は、こんな風景ではないでしょうか。ガイドさんの話を聞いたあとでは、緑豊かというよりも引きずり込まれるような生命の息遣いのようなものを感じます。

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この大きな岩の上も平気で根を伸ばします。もし、下にあるものが腐敗したとしたら、支えを失って倒れるのがほかの森。でも屋久島では根の下を空洞にしたまま生き延びるのです。もしかすると、一番初めに見たくぐり栂はそのタイプだったかもしれません。

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こちらは杉を伐採したあとです。木の下の方は末広がりになっているので、できるだけまっすぐなところがほしい。そのため、足場を組んで上の方で伐採します。

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森林鉄道のところで土埋木という言葉を出しました。今も森林鉄道で土埋木を搬出していますが、土埋木というのはこうして倒れた木や、伐採したあと利用せずに放置していた木の残材のことを指します。屋久杉の伐採は今はもう許されていないので、工芸品はこうした土埋木を利用しています。

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どれぐらい昔の土埋木があるのでしょう?

私たちの知る御神木として扱われている杉は100年~300年といった年数ですが、台風などでそれらが倒れたというニュースを聞くことがありますね。それはもう寿命でもあるんです。でも、屋久島では樹齢千年以上を屋久、それ未満を小杉(こすぎ)と呼ぶぐらい、非常に寿命が長いです。なぜかというと、栄養のない屋久島では杉の成長がとても遅く、その分、樹脂が濃縮されて育つので脂が多く含まれ、千年を超えても生き延びることができるし、倒れて土埋木となってしまったとしても、腐敗しないのです。

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一度倒れても、こうしてまた立ち上がっていく屋久島の木々。栄養があってすくすく育っているのではない屋久島なのにヒメシャラの育ちがいいようで、これらをみていると決して庭木にしようとは思わないとガイドさん。(ヒメシャラ=別名ナツツバキ。庭木によく使われています)

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ほらだって、こんなに太い大木もあるんですよ。ヒメシャラは確かに落葉高木に位置付けられていますが、やはり杉と同じで、他所で見るよりも長い年月をかけて育っているのでしょう。

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そしてこれは、一度倒れかけたヒメシャラですが、実は上でほかの木に支えられ、生き延びているのでした。何にでも依存して何にでも寄生して生きていく。徐々に、その息遣いが聞こえてきそうな、なんとも言えないパワーに引きずり込まれそうな気配すら不気味に漂ってくるようでした。

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というのも、屋久島の山の標高は決して高くはないものの、遭難者は少なくないようで、行方不明者がいても探し出せない。そしてこんな植物に吞み込まれ、やがて根元が空洞の木を形成していたとしても誰にもわからない。富士の樹海のように、森の一部となっていっているかもしれない(キャーコワイー)・・・なんて話があったのですが、笑って聞き流せない雰囲気が確かにここにはあるのです。

そんな魔物も潜んでいそうな神秘の世界、さらに少し続きます。

次回記事はこちら。

fuwari-x.hatenablog.com

 

【屋久島】周遊ツアー2 西部林道は動物に会えるよ

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。あ、緊急事態宣言中ですが、一応ワクチンは全員接種済み。

前回は樹齢300年の中間ガジュマルと、大川の滝の見学の様子をご紹介しました。fuwari-x.hatenablog.com

 

続いて訪れるのが、西部林道です。屋久島は、路線バスを利用して回ることもできますが、こちらの西部林道だけは抜けることができません。しかも、この西部林道こそが世界遺産となっている場所なのです。

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ツアーはから順にまで回っていきます。(ただし、前回も書いたように尾之間地区からの参加者は1の千尋の滝へは行けない)

ご覧のように、3・大川の滝を通り過ぎて4・西部林道へ入ったあたりから山間部が世界遺産に指定されている地域です。このあたりは、かつて人が住んでいたそうですが、ほとんど人の手が入っておらず、手つかずの原生林、しかも垂直分布が見られるということで世界自然遺産に指定されています。

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大川の滝を見終えて車に乗ると「これからは、屋久島の動物を探しましょう」とガイドさん。屋久島の動物はそう多くはなく、シカ、サル、イタチ、ネズミぐらいだったかと思います。そのうち、見られるのがシカとサル。

おお!早速、シカを見つけました。屋久島にいるシカはヤクシカと言います。

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森の中に逃げ込んでしまっているので姿はとらえにくいのですが、ヤクシカはかなり小ぶりです。屋久島に生まれ育ったというガイドさんが奈良でシカを見たとき、その大きさに驚いたと言っていました。

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道路脇にサルの集団を見つけました。こちらも同じくヤクシマザルと、屋久島の名前を冠しています。こちらも小ぶり。

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まったく警戒する様子もなく、親子で寛いでいます。グルーミングに没頭中。

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ここから、屋久島国立公園に入ります。世界自然遺産指定地域です。

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こちらの瀬切川を渡ったところからが世界遺産エリアです。

ガイドさんの話に繰り返し出ていたのは、屋久島は決して緑豊かなのではない、ということでした。屋久島は堆積岩でできていたところに花崗岩が隆起して山岳部をなしており、表面はカチカチ。いわゆる「土」の部分は表土から1mもないのだそうです。

だから、この瀬切川も水が浸透することも貯まることもなくただ流れており、栄養素はほぼゼロ。だから、前日に大川の滝のバス停そばにあった大川湧水(おおこゆうすい)も、ミネラルを含むような余地がないということでした。

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西部林道は、標高600mまでの照葉樹林となっています。植林をしていなければ、本来は日本の南西部は、これらシイ、カシ、イスなどの照葉樹の森になるはずが、今ではここに残された照葉樹林が日本で最大規模のものと言われています。

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おや、ここでもまたヤクシマザルに遭遇しました。

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すぐそばに車が停まっても怖がる様子はありません。そもそも、ヤクシマザルは人間が怖いという経験をしてきていないのだそうです。そしてまた、人間に食べ物を与えられるということもなくきているので、人間も自分たち同様に動物であるというだけの認識だろうということでした。

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どれだけ無警戒かと言えば、こちら。そうっと近づけば去って行きますが、この警戒心のなさって笑える。食べ物を与えずに今まで来た、というところが素晴らしいですね。観光客も心したいところです。

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シカとサルも仲が悪くないそうで、ヤクシマザルを背中に乗せたヤクシカを何度か見かけたとガイドさん。変わらぬメンバーでのんびりやってきたのでしょう。

ただ、今はタヌキがその生態系を荒らしているのだそうです。もともと屋久島にタヌキは生息していないのですが、外部から持ち込んだ人がおり、その生息数が激増。誰が持ち込んだかもわかっているものの、責任を追及できるところまでは行かず、雑食のタヌキによる農業被害と生息地の拡大が問題視されています。

 

さて。西部林道の景勝地は、こちらの立神岩です。ガイドさんはたちがみいわと教えてくれましたが、たてがみいわという地方もあるようです。というのも、立神岩というのはここだけではなくほかの地方にもあり、このようにぽつねんと三角に独立して海の中に立っている岩を指すのだということでした。

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「写真を撮ったらすぐに車に戻ってくださいね」と声を掛けられました。車道に出ちゃうからなのかと思っていたら違いました。「向こうに雨雲が見えますから」

屋久島は、雨が降っている様子が見られる場所でもあると説明を受けました。ちょうど赤く囲ったあたりに、確かに雨が見えます。そこから左にも、いくつか雨の塊が見えます。雨雲接近ではなく、まさに雨が接近してくるのです。

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西部林道を進みましょう。

あ!また、ヤクシカがいました。

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ヤクシマザルは、あちこちで見かけました。ちょっと堂々としたこちらは、ボスザルのようです。ヤクシマザルは、毛並みがフカフカとしているような気がするとガイドさん。

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毛づくろいに夢中の親子。サルもシカも小ぶりなのは、寒い地方の動物ほど体が大きいという「ベルクマンの法則」によるものではないかという話でした。いわゆるオランダ人の平均身長が世界一高いという話の逆バージョンですね。

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堂々とした角を生やした雄のヤクシカです。でも、大人ひとりでも抱えられそうなサイズ。

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ここからは、緊張の走る狭い西部林道を抜けていきます。対向車が来た場合は、バックで退避しなければならないのですが、慣れない観光客の運転者相手だと何百mも戻ることもあるんだそうです。

このころから、立神岩で予告されたとおりに豪雨となりました。西部林道を少し歩く予定にしていたそうですが、ちょうどそのときには車外に出られないほどの雨に叩きつけられていました。そして、残念なことにその先で倒木がありました。前夜の強風で倒れたようです。

西部林道を通り抜けるのは無理と判断し、時計で言えば10時の位置まで回った屋久島を反時計回りに戻ることになりました。

いなか浜には寄ることができません。ウミガメの産卵地として有名な浜。そして、そこを回れば屋久島を1周できるはずだったのに残念です。また違う景色が見れただろうに・・・

でも、もっとご苦労なのはガイドさん。10時から1時の位置へ行けば昼食会場なのに、

ぐるっと3/4周も回って戻らなければなりません。

 

1時間ほど走り、当初予定より30分ほど遅れてふるさと市場へ到着。

tabelog.com

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ランチメニューは飛魚定食。

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飛魚を豪快に丸ごと揚げてあります。

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でも、残念なことに全体的にあまりおいしい定食ではありませんでした。屋久島はあまり沖縄の影響を受けていないと聞いたのですが、定食というのになんとなくバランスが悪い。

屋久島には、郷土料理がないと言っていいと聞きました。表土もたった1m、農業も難しい土地柄で、恐らく貧しかったのでしょう。移住してきた人たちのカフェやレストランで出される食事が、やがて屋久島の料理となっていくのではないかという話でした。現地の人が移住者の作るものを楽しみにしているのだとしたら、共存していくのにいい話です。

 

ランチの次はツアーのハイライト、ヤクスギランドへ向かいます。

次回記事はこちら。

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【屋久島】周遊ツアー1 中間ガジュマル~再び大川の滝

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。

前回、屋久島はトレッキングが必須。でも、ツアー参加でもちらりと触れることができるので、そのあたりの方法をご紹介しました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

今回、私たちはまつばんだ交通やくざる号のに乗りました。コースは以下のとおりですが、尾之間地区に宿泊の私たちは1番の千尋の滝(せんぴろのたき)は見学できません。

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一番栄えているフェリーでの玄関口である宮之浦地区、そしてこちらもフェリー寄港地の安房地区のツアー客を迎えに行って千尋の滝(せんぴろのたき)を見学後、尾之間地区の私たちを迎えに来ます。安房地区はあんぼう、尾之間地区はおのあいだ、と読みます。

 

9時半のお迎えのはずが、早めに玄関口へ到着したときにはすでにワゴン車が停まっていました。それもそのはず、私たち以外はおひとりだけだったのです。計4人でのツアーです。

 

尾之間地区をしばらく行くと、イタリア人宣教師シドッチが降り立った場所を通過します。シドッチ神父は日本語も学んだうえ、髪を月代に剃り、和服を着て帯刀し、侍の姿に変装して屋久島へ上陸したのですが、屋久島の方言がわからず怪しまれ、長崎から江戸へ送られました。江戸でシドッチを尋問したのは新井白石です。

そうして、シドッチは小石川の切支丹屋敷で幽閉され46歳で亡くなりますが、2014年のこの屋敷跡の発掘で見つかった人骨のひとつがシドッチのものであるとわかったそうです。

 

そんな話を聞きながら、2番中間ガジュマルへ向かいます。中間はちゅうけんと読みます。尾之間地区から20分ほど車を走らせると到着です。中間川を渡ったところに中間ガジュマルがあるらしい。んん?

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下調べで中間ガジュマルという名前しか知らなかった私は、ガジュマル林でもあるのかと思っていました。でも、中間ガジュマルはこれ1本のことを指しています。

これが観光地かいな・・・と思いきや、なんと樹齢300年ですと!

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ガジュマルというのは、上から下りてきて地面に根を下ろすんだそうです。細いツルのようなものが多数見えますが、それが根。こういうのを気根(きこん)というそうです。

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見上げると、複雑な表情が見えます。今なお続々と根を下ろしてきているのがわかります。

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根が地上にがっしりと根を下ろしている様子は、ほかの樹木とまったく様子が異なります。ガジュマルは暖かい地方の木で、北限が屋久島と種子島なんだそうです。

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対岸にもガジュマルが見えます。行ってみましょう。

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こちらは樹齢70年。ガジュマルには年輪がないのですが、それでも樹齢がわかるのは、ガイドさんのおじいさまが植えたものなのだそうです。

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屋久島ではガジュマルは防風林として利用されており、あちこちで見かけることができます。空気中の水分を吸収し、根を下ろしていくんですね。すごいなぁ。

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でも確か、このワシャワシャしている根は、ガジュマルじゃなかった気がします。ガジュマルもその根をほかの木に巻き付けて締め付けていくんですが、こちらもなにかが寄生していると聞いたような・・・

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向かいにもう1本大きな木が立っています。ガジュマルに似ているように見えますが、こちらはアコウ。やはり防風林に利用されています。

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たった1本の木を見学だなんて、とがっかりした気持ちはどこへやら。すっかりこのツアーに没頭です。

 

さて。ここからさらに時計回りに15分ほど走らせると、大川の滝へ到着します。おうこのたきです。なぜツアーで回るとわかっていて、到着した日に見に行ったのかというと・・・間違えたんです。千尋の滝へ行けないのを、大川の滝と勘違いしたという、初歩的なミス(笑

 

ツアーでは、滝のすぐ近くまで車で連れて行ってくれます。ひょいと簡単に滝が見えてしまうと「なんだ、こんなものか」と思いがち。そういう意味では、バスに揺られてはるばるやってきた前日の大川の滝はとても見応えがありました。

でも、この日はところによって雨という天候だったので、また違った大川の滝を見ることができました。ほら、まずここ。

せっかく案内標識があるのに、滝がほとんど見えなかった前日の様子がこちら。

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でも、この日は水飛沫が立っています。特に滝壺付近の様子が豪快・・・んん?わかりにくい?

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ではこちらはどうでしょう。水量の多さがわかるでしょうか。

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前日は、呑気に岩場で見物している人がいましたが・・・

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この日は滝から離れた遊歩道にも水飛沫が飛んできて、目を開けているのもつらいほど。

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少なくとも、のどかさはまったくありません。囂々と音を立てて流れ落ちてきています。

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滝壺付近も同じで前日がこちら。美しい景勝地といった感じ。

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この日は、近づくことすらできません。

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全身ずぶ濡れになりそうだったので、ものの5分で見学終了です。

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大川も濁流となって流れており、危険すら感じるほどです。

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同じ場所を違う条件で見るのも興味深い。2度も来ることになりましたが、大川の滝はさすが日本の滝百選にも選ばれているだけあって、魅力的な川です。落差88mの豪快さも増していて、雨の日も悪くありません。

 

大川の滝のあとは、世界遺産エリアの西部林道へ入っていきます。

次回記事はこちら。

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【屋久島】観光&トレッキング ベストな方法は?

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。

前回は、JRホテル屋久島の食事をご紹介しました。 

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屋久島を訪れる目的はいったい何でしょう?

観光目的の場合、JRホテル屋久島のHPに掲載されている地図を見ると、屋久島の外周と中心部の山間部に見どころがあることがわかります。

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どう見ても、レンタカー一択。でも、その選択肢が持てない私たちの場合、路線バスを検討します。屋久島交通のバスであれば1~4日の乗り放題券もあり、バスでの周遊も不可能ではなさそうですが、島西部の西部林道だけは抜けることができません。

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ただ、数日滞在するのであればまだしも、主要な観光地となるヤクスギランド白谷雲水峡へ行く場合は乗り継ぎがあり、かなりの制約が出てきます。

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路線バスは、もうひとつまつばんだ交通もあるのですが、こちらはもっと少ない。1日ほんの数便です。こちらは先のバス乗り放題券は使えないので注意が必要です。

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滞在日数も少なくトレッキングを主目的にしない場合、やはりツアー参加が便利です。特に屋久島交通のツアーは、空港から乗車して白谷雲水峡へ行けるDコースがあり、宮之浦地区に宿泊していた同行者ともうまく落ち合えるので、私にとっては好都合でした。ところが電話予約したところ、その日は催行中止が決まっていますとつれない返事。私の滞在中に催行日はなく、白谷雲水峡へ行けないことが確定してしまいました。でも、同行者に聞いたところによると、バスを降りたところから登山道が始まり、到底無理だったという話なので、これで良かったのだと思います。

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がっかりしなくとも、もうひとつまつばんだ交通のツアーやくざる号があります。こちらは白谷雲水峡は入っていませんが、屋久島を1周できるコースです。

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数字の順に時計回りに回るのですが、尾之間地区に泊まっている私たちは1番の千尋の滝(せんぴろのたき)は行くことができません。でも、1日コースランチ付きで5,500円はお手頃。午前の1~6番だけ、午後の7・8番だけ参加するコースもあります。

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やくざる号は、海外旅行のツアーでもたびたび利用しているVELTRAのほか、いくつかのツアー会社で取り扱いがあります。でも、前日キャンセルができるのはまつばんだ交通のグループ会社が運営する旅プラスワンのみ。足も回復途上、雨の中ヤクスギランドへ行ける状態ではなかったので、こちらから予約しました。その代わり、支払いは現金一択です。

 

本格的なトレッキングが参加したい場合は、私が予約した旅プラスワンももちろん、VELTRA屋久島観光協会から登録ガイドを探すこともできます。人気はやはり、私もしつこく登場させている白谷雲水峡もののけ姫の舞台となった苔むす森を通って太鼓岩まで行くと絶景が見渡せるようです。

画像4

(鹿児島県観光サイトより)

 

他には、屋久島の象徴的存在の縄文杉へ行くコースや、屋久島最高峰の宮之浦岳を登るコースなどもあります。宮之浦岳の標高は1,936m。屋久島最高峰であるだけでなく、九州最高峰でもあります。

(wikiより宮之浦岳)

 

自力でいく場合に助けになるサイトは、屋久島レクリエーションの森管理協議会が運営する屋久の旅。ヤクスギランドと白谷雲水峡のおおまかなルートがわかります。

 

装備については、同行者が1~2泊目に泊まったTHE HOTEL YAKUSHIMA OCEAN & FOREST(旧シーサイドホテル屋久島)では、レンタルがありました。 登山靴、レインウェアのほか、ヘッドライトやストックが2泊3日500~1,500円とお手頃な価格です。同行者はストックを借りて白谷雲水峡へ行ったと言っていました。レンタルショップもいくつかあります。

お弁当の調達は、たいていのホテルで朝食をお弁当に変更してくれるようです。

 

また、シュノーケルやサップ、カヌーなど海や川でのアクティビティも豊富です。アウトドア派には、何日あっても足りないことでしょう。

 

次回からは、私が参加したやくざる号の模様をお届けします。

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【屋久島】JRホテル屋久島-食事編

2021年(令和3年)8月

 

負傷した足も回復していないのに、無理矢理屋久島行きを決行しています。

前回は、JRホテル屋久島の施設をご紹介しました。 

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今回は、評判の高い期待していた食事編です。でも、屋久島の宿泊を検討しても、ほとんどがトレッキング目的で来る人が多いのか、そこそこのレベルのホテルがそもそもありません。その中での評判の良さということで、一抹の不安は抱いていました。

さて。海に面した1階にレストランがあります。

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食事はなんと17時半から30分毎、たぶん19時半までの予約。そこそこスペースは取れていて、ソーシャルディスタンスは守られていました。

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【1日目 夕食】

前菜 ゴーヤの土佐和え・地魚の燻製 大根と和辛子のマヨネーズ和え・黒毛和牛のたたきポン酢ジュレ

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本日のお造り

3人での宿泊特典に舟盛があったので楽しみにしていたのですが、この量!!!私たちには、多過ぎでした。鮪、カンパチ、鰹、水イカなどが盛られているのですが、味が単調で、飽きが来るんです。熟成させたお造りや、スモークなど工夫を凝らした魚を食べていたせいか、生魚一辺倒はちょっとキツイ。

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調味料はオリーブオイルや味噌、塩など、考えてくれてはいましたが、翌日にいただいたふつう盛りで充分でした。

ところで、お皿の右上には、グレープフルーツに盛り付けられた魚・・・ん?ちゃんと食べるようにナイフを入れてあるんですけど、いったいこれって?(魚の下にあるフルーツは嫌だと誰も食べないので残せない私が味見しましたが、このグレープフルーツがやたら美味しい)

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替り皿 生野菜と塩麴ドレッシング・飛魚のつけ揚げ

替り鉢 親鶏と屋久島タンカン風味のつくね 卵黄ソース

屋久島で有名な飛魚をさつま揚げにしてあります。鶏はコリコリしていて美味しい。

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魚料理 鹿児島県産うなぎの白焼き ジャガイモムース銀餡と山葵を添えて

屋久島でうなぎ?と一瞬思いましたが、鹿児島はうなぎが有名ですもんね。美味しくいただきました。

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肉料理 鹿児島県産六白黒豚の低温ロースト インゲンのマリネ添え

あっさりした豚肉と豆乳胡麻だれチリソースがよく合っていました。インゲンはこれでマリネか?という感じでしたが、まぁ3本だし(笑

ジャガイモが思いの外、うちでは高評価でした。

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お食事 大分県産ひとめぼれ・香の物・屋久島の地魚の赤出し汁

うっかり撮り忘れていました。ご飯は美味しく炊けていました。結構それ、重要です。

 

デザート 柚子シャーベットといろいろフルーツ グレープフルーツのバブルジュレ

マンゴーやグレープフルーツ、パイナップルなどが隠されていて、上にシャーベットとジュレ。さっぱり美味しくいただきました。

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【2日目 夕食】

前菜 炙り生湯葉の鼈甲餡 山葵添え・屋久サバブシのクリームチーズディップスタイル・種鶏のサラダ柚子胡椒風味

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本日のお造り

1人前でこの量がしっかりあるんです。だから、舟盛りじゃなくて充分。こちらのお造りは分厚くカットしているのがちょっと私には苦手。そして、まさかのグレープフルーツアゲイン!!前日の舟盛り同様、大葉の下にやっぱりグレープフルーツが敷かれているのでした。この手法、なぜ?屋久島仕様?

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替り皿と替り鉢は、きのうとまったく違うものが提供されます。嬉しい。

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替り皿 野菜のサラダスティックと鰹味噌・ホエー豚の黒砂糖黒酢

ホエー豚の黒砂糖黒酢煮が柔らかくてお酢も効いていていい。好みの味です。 

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替り鉢 大ぶりメヒカリの唐揚げ レモン添え

メヒカリって好きなんですよね。軽くうす塩をして一夜干ししたものを米粉で揚げています。頭から全部いただきました。米粉の力を借りてカリッとしているところがなおいい。

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魚料理 鹿児島県産ブリの幽庵焼き 薩摩芋の甘露と青味野菜添え

タンカンとタンカンの皮に半日漬けて寝かせ、上にタンカンの皮をふってあります。屋久島で収穫できる柑橘はタンカンとポンカン。地元を意識した料理は好感が持てます。 

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肉料理 鹿児島県産黒毛和牛のポワレ 温野菜添え

スパイシーな燻製醤油クリームソースが牛肉とうまく絡みあって、ちょっと新しい味わいでした。牛肉はこれぐらいの分量が、もう少し食べたいと思わせるので好きです。

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お食事 大分県産ひとめぼれ・香の物・飛魚の揚げつみれのおすまし汁

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デザート クリーミーなパンナコッタと季節のベリー フランボワーズソース

パンナコッタとフランボワーズソースという黄金の組み合わせ。美味しくないわけがありません。いい締めとなりました。

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2日とも、まったく異なったメニューで工夫されており、好感度は高いです。もう少し前菜に手を掛けると尚よしなんだけど・・・お子さんも多いホテルなんですよね。それを考えると、こんなあたりがお値段なりで無難な路線なのかもしれません。

近ごろ、子どもの声があちこちから聞こえるようなところへは泊まっていなかったようで、新鮮な驚きでした。

 

朝食はバイキング形式です。あまり撮っていないので、2日とも一気に行きます。

ビニール手袋をして、一方通行で回ります。

スタートは野菜から。フルーツにライチがあるあたりが屋久島らしいですね。

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ポテトや卵料理、ベーコン、ソーセージといったあたり。

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さつま揚げは毎回ありました。魚は、初日がサバ。

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2日目は鮭でした。

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きんぴらごぼう、茄子の揚げびたし、鳥なんこつの炭火焼。

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玉子焼き、葉野菜の白和え、青菜のおひたし。

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ご飯は白米のほか、初日が雑穀御飯、2日目は豆ごはんがありました。

初日は牛乳にコーンスープを取っていながら和食中心のしっちゃかめっちゃかの取り合わせ。

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2日目はお味噌汁に納豆、明太子とほぼ完璧に和食仕様です。

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いずれも、ご覧の通りのお味といったところ。

でも、夏休み期間で初日の舟盛りありのプラン22,400円/人、2日がスタンダードプラン22,000円/人なので、充分及第点じゃないでしょうか。

www.jrk-hotels.co.jp

 

次回は、屋久島の廻りかたについてご紹介します。

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