プリトヴィッツェ国立公園の上湖群、散策開始です。
時刻は11時半。
ここまで電気ボートの乗船も含めて1時間半で廻れたので、ちょっとゆとりも出てきました。帰りのバスの時刻まで、あと3時間あります。
上湖群開始も、ワクワクするような滝からです。
コジャク湖より南側。ブルゲティと呼ばれる小さくて浅い湖が集中したエリアです。
トレイルの下にも、水が流れているんですよね。
これ、やっぱりわさびじゃないのかなぁ?
上湖群の方がプランクトン濃度が高いので、下湖群よりも濃い緑色だそうです。
ここは浅いので、そうでもないかな。
石灰華の堰堤があちこちで見られます。
「堰堤」ってのは、滝になる元っていうんでしょうか。石灰華が沈殿し、堆積して湖水を堰き止めるまでに成長したものをいうんですが、この隙間から浸透した水が噴き出して滝になるんですね。
飛沫が光って美しい。
湖底までの深さが違うと、湖面の色も違ってきます。
堰堤から流れ出る様子を上から見ると、激しい水流ですが、湖そのものはとても静かに見えるんです。
水がきれいなので、滝もきれいに映します。
プルシタヴツィ滝は落差約20m。
近づいてみると、かなり激しく流れ落ちていますよね。
でも、上を見てみると、どこからそんなに流れてきているのかという感じ。
小さな隙間から噴き出しています。
石灰華をつけた木々が湖底に沈んでいます。
ガロヴァツ堰堤
実はこのあと、左へ行く道があったのですが、ツアーで混雑していました。
まっすぐ行ってしまった私たち、ちょっと遠まわりになるようです。
そのせいで、上湖群のハイライトだったかもしれない小湖、大湖を通過できず。
標識が肝心なところでなかったりするんです。
どっちみち合流することも多かったので、高を括ったのが失敗でした。
代わりに、ツィギイノヴァツ湖にさしかかりました。
高低差はあまりなくても、かなり勢いがあります。
その水がまたきれいなので触ってみると、やはり冷たい。
水がきれいすぎて、雲もきれいに映します。
この湖の色を見ると、上湖群の方が色が濃いというのがわかりますね。
でも、午後になってめっきり雲が多くなってきました。
逆に幻想的に見えるでしょうか。
真ん中の飛沫があがっているところは、水が流れ落ちている場所です。
この下の滝がどうなっているかわかりませんが、こんな隙間がいくつもあって、滝を形成しているんですね。
花もあちこちで可憐に咲いていました。


空気も澄んでいるからなのでしょう。
空がこんなふうに見えるのには、圧倒されました。
このあたりまで来る人は、そう多くありません。
時刻も13時。持ってきたパンやビスケットを食べながら歩いていたとはいえ、そろそろランチにしなくては。
ST3に到着。
ここからはSightseeing (panoramic) trainで、電気ボートを降りたP2の対岸にあるP1の近く、ST2まで移動です。
そうしたら、これがやってきました。3両連結で、かなり大人数が乗れます。
ST2のカフェは、こじんまりしていました。ここで時間を気にしながらホテルランチにするより、戻ってからディナーをしっかり食べることになったので、パンとカプチーノのみ。いずれもチーズ味で甘いのと塩味のもの。カッテージチーズかな?
ああ、やっぱりクロアチアのパンは、こんなところでも本当に美味しい。
国立公園にも猫はいてました。
クロアチアは猫の国でもあるようです。思いっきりくつろいでいました。
動いているときに猫が気づいたら、きっとパンチしてくれたと思うのですが、もしやモグラ?
あちこち穴は開いていましたが私がいるあいだには登場せず。
パンを食べ終えた時点で、残り時間は1時間でした。
このままホテルが集まるバスの始発場所まで徒歩約5分ほどらしい。
でも、もう一度初めに見た絶景を見にST1までバスに乗って戻ることにしました。
戻ると・・・雲が多くなり、すっかり緑の色も変わってしまっていました。
こうして見てみると、見学のおススメはやっぱり朝ですね。
滞在時間は、私たちにはちょうど良かったと思います。
晴天の美しいプリトヴィッツェは、写真をいくら載せてもお伝えできません。
ぜひぜひ、機会を見つけて訪れてみてください。
さほど興味が持てると思っていなかった散策でしたが、一歩足を踏み入れるだけで虜になりました。
最後に。
この美しい公園の負の歴史を書き残しておきます。
このプリトヴィッツエ湖群は、19世紀後半には既に一大観光地でした。
1949年にはユーゴスラビアが国有化し、国立公園に制定しています。
にもかかわらず、ユーゴスラビア独立後の内戦ではここも戦場となりました。
そのクライナ・セルビア人共和国が、1991年ホテルや周辺施設を占領。
最初のクロアチア紛争の武力衝突です。
自治区の面積はクロアチア国内の1/3の面積を占めたので、クロアチアもこれを認めるわけにはいきません。何度も衝突を繰り返し、1995年セルビア人一掃の急襲をかけ一帯を奪回しますが、この戦争の間、プリトヴィッツエ国立公園は危機遺産リストに登録されていました。
その結果、1997年には危機遺産リストから除去されています。
こんな美しい公園も、戦場化していたんですね。
それもそう遠くない昔に。
ちなみに、前日ランチした「Boban」は、サッカー選手の名前だと書きました。
彼自身も警察に暴行を加え、長期提出処分を受けているようです。
バスの到着は、までまだ40分ほどあります。
バス停は公園を出てすぐ、駐車場へ行く階段を渡った向こう側からです。
すでに2組待っていたので、一応方向が間違っていないか尋ねました。
右斜め前方には、朝、降車したバス停が見えます。
旅行記では、バス停がわかりにくいと書いてありましたが、少なくともENTRANCE1は、間違う余地がありませんでした。
ところで、帰りのバス。
2時間20分乗車予定でしたが、一睡もできませんでした。
バスの1番前は危険という認識があるので、できるだけ避けるのですが、このときは長旅だし、見通しがいい方が楽かもしれないと思って、1番前に座ったんです。
そうしたらシートベルトは壊れているし、運転は荒い。
しかも運転手さん、発券機を片手で操作し始めました。
前売り以外は運転手さんから直接購入ですから、到着後、発券機の機械と自分が受け取った現金を合わせて精算するのでしょう。
機械を操作
↓
指が太くて操作できないのかタッチペンを出してくる
↓
タッチペンを出して片手で操作
↓
ポケットから現金を取り出す
↓
現金を金種別に分け始める
↓
分けたお金を数える
↓
ペットボトルが落ちる(しかも2リットルの大きいやつ)
↓
運転しながら拾い上げる
という感じで、わき見運転。
免許もない私が代わりに前方を注意していても、不測の事態に対処はできません。
でも、気が気じゃないっ 危ないよ~ やめてくれ~
というわけで、2時間、ひたすら監視していたのでした。