2021年(令和3年)10月
緊急事態宣言が解除されました。ANAマイレージが余っているので、活用中。今回は、英語講師に勧められたアートの島を巡る旅を計画しました。当初、オリンピック時の3連休を利用する予定でしたが、たぶん暑くてバテるだろうと秋まで待っての出発でした。満を持しての今回は、直島・豊島・犬島の3島を回るため、ベネッセに泊まる1泊2日のツアーに参加しています。
前回は夜のベネッセミュージアムをご紹介しました。
朝、テラスレストランへ向かいます。明るくなるとまたホテル内が違って見えます。
部屋のバルコニーから見えた作品はこれでした。苔の観念とその上に立つ観念の形 003 オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面(杉本博司)。なっが。
苔の観念は、コンクリートの壁の向こうにあるのですが、そっと空間が開けてあって見られるようになっているのです。
こちらは下が開いていて、杉本博司の写真、カボット・ストリート・シネマ、マサチューセッツが掛かっています。そのときは関心を持って見ていませんでしたが、この下にどうやって空間を開けているかというのが、たぶん安藤建築の神髄じゃないかと思います。これだけのコンクリートの壁の下をガラスするには、どこで支持させるか相当のアイデアと技術がいるはず。もっと見てくればよかった。
そしてもう一点杉本博司の写真で、カリブ海、ジャマイカ。これを見て、カリブ海ってわかるっていうのがもう芸術家は異次元だと感じるわ・・・でも、ベネッセミュージアムでも同じような海の写真があったし、この人にとってはこれはもうカリブ海でしかないんでしょうね。
明るくなってから前夜と同じように宿泊棟を見ていると・・・あれ?
わかりますか?前夜にラウンジの写真を撮った場所なのですが、水の流れる階段の上に何かある!!!
な、なんなんでしょう???このガラスの物体は。
急いで上へ上がってみると、ガラスの通路の向こうに茶室がありました。硝子の茶室「聞鳥庵(モンドリアン)」(杉本博司)。直島には杉本博司の作品は写真をはじめ数多くありますが、ガラスとくれば思い出すのははじめに見た護王神社のガラスの階段。
お次はなんとガラスの茶室ですか。調べて見ると、この茶室はもともと2014年ヴェネツィア建築ビエンナーレ関連展に出品するために作られたものだったそうです。イタリア製の真っ青なタイルが敷かれた細長いプールのような人工池で数年過ごしています。
その後、パリ郊外ヴェルサイユ宮殿のトリアノン離宮の敷地内のプラ・フォン池でその姿を見せています。トリアノン離宮は、マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿本殿の権勢と豪奢と喧騒から遠ざかるために求めた地。マリー・アントワネットが本当は求めたかった安らぎと、当時の日本の茶人たちの理想の境地に通じるものがあると感じ、設置されたと紹介されていました。
さらに2020年、京都市京セラ美術館のリニューアルオープンに際し、その日本庭園にも数ヶ月限定でお目見えしています。紹介記事はこちらです。素晴らしい聞鳥庵の姿、ぜひご覧ください。
それらを経て最後に直島が聞鳥庵の安住の地になったそうです。ここに設置されたのは2021年3月なので、まだそう時間は経っていません。2022年までは宿泊者限定での公開です。設置完了までのプロセスがこちらに公開されていました。実際にお茶を点てているシーンもありましたよ。
聞鳥庵の素晴らしさに興奮冷めやらぬまま、再びレストランに向かいます。夜に通った長い通路。屋外と一体化した造りです。
昨夜見たブラインド・ブルー・ランドスケープ(テレジータ・フェルナンデス)は、こんなにも美しいブルーでした。でも、灯りを反射した夜もやっぱり美しい。いろんな表情を持たせるこれは、本当に素晴らしい作品だと思います。
腰掛(ニキ・ド・サンファール)は、今朝もここで雑誌を読んでいます(笑
ニキ・ド・サンファールのポップなアートは向こうにもいくつか見えるのですが、残念ながら見に行くことができませんでした。
朝のテラスレストランです。海がそこに見えるいいロケーションに建っています。
入口側のオレンジの壁に相対して、奥はブルーの壁。同じ空間がまったく違う印象に見えます。今度はこの窓に向いて座る席に案内されました。
天井の木組みが美しい。コンクリートと対比させたこのぬくもりがベネッセの建物全体のアクセントになっています。そしてこの大屋根を支えたうえで、海に面したほうはすべてガラス張り。建築がわかる人には、さらにその素晴らしさがわかるんだろうなぁ。
小豆島のオリーブオイルが置いてあります。
アメリカンスタイルの朝食。パンはフレンチトーストとクロワッサン。フルーツがかなり美味しかった。
卵料理は、スクランブルエッグ、目玉焼き、オムレツから選びます。あとは、コーヒーか紅茶。
隣のカップルの女の子がきゃあきゃあと感想を漏らしながら朝食を食べていましたが、男性は秒で食べ終わって彼女を置き去りにしていました。ぽつねんと取り残された彼女、このあとの旅行はどう続けたんだろ。
さて、今日は豊島と犬島のアートを巡る旅です。自力では1日で回るのは難しいので、特に楽しみにしていました。ところが、この後アクシデント発生です。