2021年(令和3年)11月13日(土)
マイルを利用した旅を重ねていましたが、前回記事のとおり、来期のステータスにまつわる誤解で有償で乗らねば!と思い込み、最初に計画したのがこの旅行です。
航空券代が安く、飛んだ先に行きたい場所があるのはどこかと考えていたところ、ちょうど新聞で奈良東大寺の正倉院展が始まるという記事を読みました。毎年秋に勅封が解かれ宝物の点検が行われるときに、一部一般公開されるのが正倉院展です。大阪在住時には見向きもしなかったけれど、今になってあんなに身近だった京都奈良がどんなに類稀なる地だったかを思い知り、行ってみたくなりました。
正倉院のチケットは予約制です。まだまだ空きがあったのでボーッとしているあいだに、予定していた会期終了3日前の予約は16時以降しか空きがなくなってしまいました。日帰りにはぎりぎりの時刻。
ともあれ出発1ヶ月前、行きは関西空港7,030円、帰りは大阪空港8,850円の航空券を予約しました。
緊急事態宣言が解除されたあと、空港へ来るたび人出が増えているのを実感します。それでもまだラウンジではアルコールの提供時間に制限があり、朝から飲めません。
立て続けにプレミアムクラスにアップグレードしていましたが、朝食と夕食とではかなり内容が違います。朝食のサンドイッチのためにプレミアムポイントの無駄遣いをするのはやめ、普通席で搭乗します(笑
ちょうどこのころ、機内安全ビデオの歌舞伎編が終了してしまいました。オリンピックに向けて作られたビデオだっただろうし、今は外国人の搭乗も少ないので、よりコロナ禍向けのものに変更するべきとは思いますが、とても気に入っていたので残念です。
関西空港への飛行ルートは淡路島上空を通ります。
しかも淡路島を通ったあとは、神戸空港が見渡せる場所まで飛んでから引き返すので、かなり時間がかかります。だったら神戸空港も安かったからそっちにしておけばよかった。
関空橋が見え、着陸です。私の海外旅行の初期はアジアが中心でした。旅行社に勤める知人が募集するツアーに、ほとんどおつきあいで行っていたような旅行で、今のように意欲的な気持ちはどこにもありませんでした。スタートはいつもこの関空からだったので、ちょっとは馴染みのある空港です。
朝ご飯は到着してからと思っていたのですが、ご覧ください。全部閉まっているんです。完璧シャッター街。緊急事態宣言が解除されたからといってすぐに再開していないお店もあったかもしれませんが、ほとんどは撤退してしまっています。すごいショックでした。大阪、元気出して~!
でも、そもそも関西空港は辺鄙な場所にあるんです。関西空港完成後、当初予定どおり大阪空港が廃止されていれば、また違ったかもしれません。でも結局大阪空港の利便性を捨てきれず、国内線は大阪空港が主要起点となっています。そしてコロナ禍の今、国際線主体の関西空港は閑古鳥が鳴いているのです。
南海電車の難波駅までは空港急行で45分930円という遠さと運賃の高さもネックだったと思います。JR特急はるかや南海特急ラピートを利用すれば、特急料金が加算されてさらに高いし。大阪空港であれば難波(ナンバ)からでも梅田からでもリムジンバスで30分650円だし、安さを求めるなら阪急電車とモノレールで梅田駅から30分弱430円ですから。
高島屋前を通り過ぎます。
御堂筋は、私がいたころ緩速車線を自転車道にする話が出ていましたが、すっかり定着しているようでした。最近では沿道にオープンテナントなどを設け、さらに活気のあるミナミ(なんば・心斎橋周辺の呼称)を目指す実証実験も行っているようでした。
ミナミのランドマークのひとつであった大阪新歌舞伎座は、建築家隈研吾によってその意匠を残したホテルロイヤルクラシック大阪に生まれ変わっていました。
さらに北へ進み、道頓堀にグリコを見に来ました。勤務先はここから徒歩5分ほどのところだったのですが、それでも通るたびにちらりと看板を見てしまう場所でした。
かに道楽のかにも変わらずそこにいました。店に入ったことはありませんが、やはりこれもミナミの顔のひとつです。ふぐ料理屋のずぼらやが閉店してふぐがいなくなったのは残念。
くいだおれが閉店した当時は大阪にいましたが、まさかその後、マスコットキャラクターだったくいだおれ太郎がお土産として存続しているとは知りませんでした。まだ覚えている人が大阪以外でもいるってことよね?
開店前で全然気づかなかったけど、道頓堀今井本店の脇から浮世小路を抜け、法善寺横丁を目指します。大阪はお蕎麦屋さんよりもおうどん屋さんの看板を掲げているほうが多いのですが、ここは老舗のひとつ。でも、開店前だったので全然気づきませんでした(汗
法善寺横丁の参道の灯りに、土佐料理に志むらの文字を見つけました。ここは鰹のタタキを注文の都度店先の竈で焼いてくれるお店だったのですが、15年ほど前にその看板を下ろしています。大人気店だったのに閉店したのは、タタキに使う茅の調達がじゅうぶんにできなくなったから。2,3度行っただけですが、迫力ある茅焼きの様子を見られるのは、食べる前の楽しみでもあったな。
参道をいったん突き当たると、昭和初期に織田作之助の小説「夫婦善哉」で有名になった場所に行き着きます。そばには小説にも登場したという夫婦善哉の店があり、あっまーいおぜんざいが食べられます。「夫婦」なのでお椀ふたつ。たぶん、土佐料理に志むらのあとに連れて行ってもらったと思うのですが、私には甘過ぎて大弱りだったことを覚えています。ちらりと右に赤い提灯が見えていますが、建て替えられたきれいなビルで今も営業していました。
ごくごく狭い敷地ですが、ここは「法善寺」横丁と呼ばれるだけあってこのすぐ左に浄土宗天龍山法善寺があります。
中でも親しまれているのが水掛不動尊の名で親しまれている西向不動明王。お参りする人がお水が掛け、この苔生した姿を維持しています。
さぁ、ノスタルジックな気分に浸るのはそろそろおしまい。奈良へ向かいましょう。
近鉄奈良線は、生駒を通って奈良へ行く路線です。そう何度も乗ったわけではありませんが、石切駅のあたりは生駒の裾野を上り、大阪平野が見渡せる見晴らしのいい場所だなぁといつも思っていました。最近、乗り鉄に人気と聞き、納得。うまく撮れませんでしたが、このあたりでまぁまぁ高い場所に来ています。大阪で一番高いビルであるあべのハルカスや大阪城界隈のビル群や梅田方面、そして六甲山地が遠く望めます。
わざわざ、こうして飛行機に乗って来ることになるとは。でも、京都ほど何度も訪れていない奈良、楽しみです。