2022年(令和4年)2月
オミクロン株の感染拡大で、今年に入ってからはじーっと家に籠りきり。若干、感染者も減少傾向に入り、そろっとお寿司を食べに行こうということになりました。以前は2ヶ月に一度は食べに行っていたお寿司屋さんがあったのですが、コロナ禍で5,500円のランチ一択になってしまい、そこまでの価値なしと行かなくなりました。そうでなくとも、行き始めたころは1,800円だったランチが徐々に上がり、3,300円になっていたのが、さらに高い価格設定のみになったのです。高級店を目指そうというお店の方向性は聞いていましたが、日常遣いにはもはや向きません。
それならば、もうひとつの候補「楠本」があります。電話してみると2日後の予約が取れたので、いそいそと出掛けます。お寿司のために、朝食は軽め。お腹が空いているほうが、ぐんと美味しさは増すはず(笑
楠本は、小田急線百合ヶ丘駅から徒歩3分、聳え立つ階段を上ったところにあるビルに店舗を構えています。12時の開店時間を前に、私たちを含め4組の客人が集まってきました。
私たちの席は、ちょうど真ん中のコーナー席。私の左側には、足元までしっかり備え付けられた仕切りで、お隣の方のお顔も見えません。これもまたいいかも。
相棒の隣ももちろん同じ仕様。そうでなくとも一斉スタートで緊張しがちなこのスタイル、プライベート空間があるのはちょっと助かります。
ここへ来るのはたぶん、5回目ぐらい?コロナ禍にも一時落ち着いたころに伺った記憶があるのですが、記事にしているのは2年余り前。
ランチコースはにぎり8貫と巻物1本の3,500円コースと、小鉢3皿+にぎり7巻+巻物3切れの4,300円コースのふたつ。いつもは3,500円のコースですが、今回は4,300円コースにしてみました。いつもなら3,500円コースの人は待たされる小鉢タイム。どんなものがお目見えするでしょう。
少しずつ用意されていく寿司ネタにも注目してしまいます。
アオリイカのゲソ 赤い柚子胡椒添え
茹でたてを持ってきて、切り分けてくれました。太い吸盤のついた脚を見て、タコかと思っていたらアオリイカ。噛み切るにはちょっと大きめのサイズでしたが、赤い柚子胡椒がなかなかよく合います。ふむ。柚子胡椒は夏になると自家製のものを作るのですが、唐辛子が赤くなるのを待って赤いのも作るといいのか。
鹿児島県産筍ともずくのお椀
あっちゃー 小鉢にはお椀も入るのか。お腹が膨れるもずくは歓迎しないな。タケノコは初物ということでしたが、かなり灰汁が強くて、えぐみが残っています。それを初物の味というのか?タケノコ好きの我が家は、毎シーズン何度もタケノコを買ってきては茹でるのですが、我が家的にはこれだと失敗の下処理なんだけど。噛み切るにもタケノコが大きすぎて、お店でいただく一品として認めたくない。もう少し食べやすくしておいてくれればよかったんだけどな。こういうお店で噛み切るって、ナシでしょ。
助子
小鉢の最後は助子。我が家で作るものはもっと濃い味で、いわば田舎煮。こちらは一旦蒸してあるのか中はレアでお出汁の味も上品。見習うべきところ満載で、とても美味しかったです。
ビールの小瓶で始めていましたが、助子を見た途端、日本酒がいる!と大将に頼みました。メニューを持ってきてくれるのかと思っていたら「日高見!」と指示が飛んでいます。あら、そう。「日本酒をお願いします」という言い方は、銘柄も決められちゃうのね。ま、日高見ならいいか。
宮城県石巻市 平孝酒造 日高見
酒器がキュート。くぼみが持ちやすく、使い勝手もいいです。
辛口でお願いした日高見は、私の苦手な火入れ感もなくすっきりしています。
さて。べったら漬けとがりが置かれました。ここのがりは甘味が少ないタイプ。
にぎりが始まります。
既に着々とネタの準備が進められています。正面の丼の中に入っているのはマグロの赤身。撮り忘れていた2貫目のネタです。コース開始前に切り分け、出番までが漬け時間。
明石の鯛
スタートはわさびがキリッと効いた明石の鯛。ここのお寿司はお箸で食べるのには向かないのか、摘まみ上げると崩れます。前回も同じ感想を書いていましたが、ちょっとかための炊き上がり。相棒は、芯が残っているのが気になるという感想。
2貫目は、先述のとおり撮り忘れたマグロの赤身の漬け。伊豆下田で採れた120kgのものだそう。マグロは300kgになると大味過ぎる、150-200kgぐらいがちょうど美味しいサイズとおっしゃっていました。
帆立
きれいに包丁が入っていて、たれは甘いもの。ん?私にはこの甘さは合いません。帆立はプリプリで美味しいのだけど、甘くない方がいいような。
山形県酒田市 楯の川酒造㈱ 楯野川
日本酒も次へ進みます。ホールスタッフはひとりなので、あまり出てきません。大将に頼むと「楯野川!」と、またもや銘柄が決まってしまいました。ま、いいけどね、おススメで。もはや「メニューをください」と言えない、小心者(笑
普段飲むお酒よりもすっきりし過ぎてて、物足りなさを感じるぐらいですが、お寿司にはこれでいいんでしょう。ネタに対して主張しないのはいいと思います。
鰆の炙り
スモークされた香りと味が好み。塩味が効いていて、地味だけど一工夫ある一品。
海苔のパリパリ感が上質さを感じさせます。でも、小ぶりなのに一口で食べるのはちょっと難しかった。
叩いたトロと長芋の手巻き
トロ寄りの中落ちでしょうかね。長芋のシャクシャク感と上等の海苔、これぞテッパンの手巻き。でもやっぱり、一口でいただくのは難しすぎ。スキルがいるわぁ。
もうひと種類日本酒を頼みたかったのだけど、蜆のお味噌汁が運ばれてきたので、もう終盤。落ち着いて2合飲むには遅いかもしれないと思って、日本酒は終了。うーん、残念。
温かい一品があるのも変化があって嬉しい。ふわっとしているのは、蒸しているのかな。関東と関西では、こういった調理法も違いますよね。
高菜の細巻
巻物は高菜。塩味が効いて細巻に向いています。
卵焼き
最後の玉子は甘くてプリンのような味。はっきりとデザート感が出ています。
久しぶりのお寿司は美味しかったと言えると思います。でも、やっぱり私には小鉢なしの3,500円コースの方が向いていました。お寿司はとことんお腹が空いているときこそ美味しく感じるので、小鉢で人心地ついたあとだと美味しさが半減しちゃうんですよね。むしろ、セオリーとは逆行しますが、お寿司のあとに小鉢の方が私にはいいぐらい。でもそれだと延々飲んでしまいそうでダメですね(苦笑
日本酒は2種類で2,700円。メニューを振り返ると日高見は900円のようだから、楯野川が1,800円?!うーん。それだとやっぱり、自分で選びたいよね。
でも、楠本へももう行かないと思います。コロナ禍の影響なのでしょう、ランチでのカード払いが不可になっていました(令和3年8月より)。手数料は結構高いことは知っていますが、この状況下でも一応陸マイラーだし、カード払いは必須なんだよな。
相棒からは寿司屋探しを指令されていますが、もうこっちでは無理でしょ。気軽に食べにいくという考えから離れて、都心進出しかないかな(涙