英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【青森】1日目-5 東北三大祭のひとつ、青森ねぶた祭を体験「ワ・ラッセ」

2022年(令和4年)4月

 

いつかは桜を見に行きたいと思っていた弘前城のさくらまつり。1ヶ月以上前に航空券を予約したあと予想に反して気温が低い日が続いたので、果たしていい時期に咲いてくれるのか開花状況を毎日のようにチェックしていました。運よく弘前公園は期待をはるかに超えた美しい満開の桜で出迎えてくれました。

前回は津軽藩ねぷた村の様子を書いています。

fuwari-x.hatenablog.com

 

弘前で美しい桜を堪能したあと青森駅へやって来ました。晴れているので想像できないかもしれませんが、さっきまで桜を見ていたとは思えない、凍えるほど寒い風が吹きつけてくる。歯はガチガチと鳴るし話もできないぐらい。なんで~?駅から見える青森ベイブリッジのすぐ下は海。そりゃ寒いわ~!!!

 

弘前城本丸との共通券だった藤田庭園や弘前市植物園を諦めて青森へ急いだのには訳がありました。そう、こちらにもねぶたを展示しているねぶたの家ワ・ラッセがあるのです。青森駅到着が17:04、ワ・ラッセの最終入館時刻が17:30だったので、青森ねぶたを見学するにはあれが最後の電車でした。

 

秋田竿燈まつり 仙台七夕まつりとともに東北三大夏祭りに数えられる青森ねぶたまつり五所川原立佞武多館、弘前津軽藩ねぷた村を見たからには、青森のねぶたの家ワ・ラッセを見ないわけにはいかないでしょう。そう、青森ではではなくと発音します。入場料は620円。

 

弘前と同じようにこちらにも金魚ねぶたが吊り下がっています。

 

その両脇には、歴代の青森ねぶた祭で賞を取ったねぶたがずらりと展示されています。でも、奥の方からお囃子の音が聞こえてくるのですっ飛ばして先へ進みました。

 

お、おお~!!!でかい!!!平たい土台に人形型のねぶた。弘前ねぷたとは規模が全然違う。弘前に比べ道路幅は広いそうですが、それでも運行の都合上、最大サイズ幅約9m、高さ約5m、奥行き約7mという規定があります。でも、思った以上に大きい!!!

 

2階のバルコニー部分から見下ろすと、そのサイズの大きさに圧倒されます。20畳ぐらいの土台にねぶたが載っているのだから、五所川原立佞武多とはまた違う迫力。

この疫病祓い「スサノオ神話」は、疫病終息を願って作られており、2021年に運行する予定でした。眼に見えない毒息を吐く疫鬼に立ち向かう須佐之男(スサノオノミコト)と、それを見守る櫛名田比売(クシナダヒメ)が描かれています。

fuwari-x.hatenablog.com

 

2階には歴代ねぶた制作の名人の作品が展示され、その歴史も紹介されています。

 

青森ねぶたを見ていると、特に髪などはわざわざその筆遣いを残すように色付けしているなぁ。

 

2階の展示物を充分に見ないまま先に進んだのは残念でした。でも、太鼓の力強い音がどうしても気になったのです。1階では青森ねぶた祭の掛け声、ラッセラーラッセラに合わせてみんなで跳ねる体験をしていました。跳ね方は簡単なので、そこにいる全員が参加していました。青森ねぶた祭では、踊り手の跳人=ハネトの装束を着れば、旅行者でも誰でも参加できることも魅力のひとつでしょう。

 

2階で見た疫病祓い「スサノオ神話」のうしろ側へまわってみると、見送りの部分には斧を持った牛頭天王が疫病退散を祈願しています。

 

こちらも2021年に制作の「雪の瓦罐寺」。中国の物語水滸伝から、賊を成敗するという話をもとに作られています。

 

2021年は開催予定であったにもかかわらず中止になりましたが、2020年は当初から中止が決まっていました。代わりに、ねぶた制作者たちのモチベーションが下がらないように、14名のねぶた師がそれぞれ一体ずつ制作した人形を合作した作品「薬師如来玄奘三蔵十二神将」を作り上げました。

 

この合作ねぶたは、ねぶた師を収入面でも支援する目的で、クラウドファンディングによって費用が調達されました。なるほど他と違って土台の提灯には出資者の名前が所狭しと吊り下げられています。2,500万円の最終目標に対して、青森市内を中心に全国から3,564万円集まったそうです。

 

それぞれのねぶた師が作る躍動的な十二神将の中央に玄奘三蔵がいます。十二神将はどれも表情豊か。中止が決まったこの年への思いや翌年への思いが込めて作られています。この年、そして制作したものの開催されなかったそして2年目、どんな思いだったことでしょう。

 

ねぶたの大きさを示すために、足だけの展示もあります。これだけでもド迫力。

 

内部構造を見せるために、土台と針金や電気配線などが見える顔部分も展示されています。これもまたかなりの大きさ。

 

大型ねぶたから比べると小ぶりな作品でしたが、熊がド迫力。マタギと熊との攻防シーンだと思うのですが、追い立てているはずの犬に恐れがないどころか、むしろ人なつっこく絡んでいるみたいで笑える。

 

ねぶたは合作ねぶたにもあったように現在14名のねぶた師がいます。はじめからねぶた師がいたわけではなく、当初は有志で制作していて、やがて腕の立つものがねぶた師となって制作するようになりました。その系譜がこちら。青森が生んだ世界に誇る巨匠、版画家の棟方志功もねぶたを非常に愛していたことから、ここに掲げられています。

 

それぞれの経歴や作品の紹介もありました。中でも注目したのは、初の女性ねぶた師の存在。しかも明治のねぶた師、坂田金作を祖とし、初代、2代、6代と3名の名人を輩出している歴史ある系譜をひいています。

 

こちらの「雷公と電母」(2021年)がその北村麻子の作品。2021年はねぶた祭中止に伴い新作を無観客でお披露目し、それをライブ配信、そして各賞の発表を行うにとどまったのですが、この作品は金賞を受賞しています。

 

それぞれのねぶた師が作る面がずらりと掲げられていました。それぞれ得意とするものがあるのでしょうか。睨みを利かせた表情は、どれも迫力満点。

 

北村蓮明、北村春一は親子。左の蓮明が父、右が長男の春一の作品です。正面をにらんでいるものもある中、対の作品のようににらみ合っているところが面白い。北村蓮明は、2階から最初に見下ろした疫病祓い「スサノオ神話」の制作者。北村麻子の父、北村隆とは双子の兄弟です。

 

青森ねぶたは迫力満点。毎年新作が作られることからも資金力が窺い知れます。今年はなんとしても開催にこぎつけたいところでしょう。弘前ねぷた祭や五所川原立佞武多などとともに、青森を盛り上げていってほしいです。

青森ねぶた祭は毎年8月2-7日、弘前ねぷた祭は1-7日、五所川原立佞武多は4-8日に開催されます。泊まればハシゴができるので是非来てくださいと紹介していました(それぞれ日によって昼夜運行や夜間運行などがある)。人混みは苦手だけど、一度生で見てみたいなぁ。

これでねぶたの家ワ・ラッセ弘前津軽藩ねぷた村五所川原立佞武多の館の3ヶ所すべて回れて大満足。有名どころ以外でも、青森では40ヶ所以上の自治体でねぶた祭を開催しているそうですよ。

 

ワ・ラッセは18時で閉館ですが、お土産物コーナーは19時まで開いています。駅前は再開発中で弘前に比べると閑散としていて何もなく、ワ・ラッセの隣のA-FACTORYが充実しているようでした。弘前駅前ビルのアプリーズと同じ系列でJRが母体みたい。2階レストランで飲める青森県産のシードル工房に興味をそそられます。

青森ベイブリッジの向こうには今は船上博物館となっている青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸が係留されています。そして、A-FACTORYのすぐ前には新名所あおもり駅前ビーチが2021年7月にオープンしています。駅前にビーチ!!!夏になれば観光客も地元民も集まり賑やかになることでしょう。

 

駆け足の1日でしたが、充実していました。青森へはJALか新幹線でしかアクセスできないので、ANASFC会員の私には再訪する機会は少ないでしょう。せっかくなのでもう少し青森を回るために泊まることにしたのは、そういう理由でした。

間もなく時刻は18時。閑散とした町が、さらに静まっていきます。