2022年(令和4年)8月
2年半ぶりの海外旅行で、シドニーへ来ています。感染拡大が著しかったこの時期、主目的はホテルステイでしたが、無料で楽しめる美術館・博物館を4ヶ所ピックアップして出掛けました。前回はその第1弾シドニー現代美術館を取り上げました。
今回は第2弾。
工事中だったので右サイドから入場。中に入るとギャラリーに入る手前の壁もペイント中でした。広い空間で、オーストラリア人アーティストのコーナーと、その他のコーナーに分かれていました。
思わず撮ったのがサン・マルコ広場やリアルト橋などベネチアを描いたコーナー。
なんとなく、オーストラリアでは雪合戦などするほど積もらないのでは?と、冬に訪れた私としては新鮮だったこの絵も印象的でした。
砂金を探しているのだろうか?というこの絵も目を引きました。ゴールドラッシュはアメリカだけでなく、オーストラリアでもあったんですね。
イギリスの植民地だったオーストラリアでは、70年に渡って囚人が送られていますから、住んでいるのは囚人か元囚人、そしてその管理監督者。それがゴールドラッシュッとともに何十万人という移民が訪れ、オーストラリアとしての基盤を作っていきました。
この絵を気に入ったのは私だけではありません。日本人の画家であり新聞記者でもあった久保田米僊(べいせん)も、この絵を模写していました。ん?この人はアメリカに渡っているから、アメリカのゴールドラッシュの絵ということかな。
日本のお面も紹介されていました。河童もあるんだ。なかなかどれも素晴らしい出来ですよね
なんといっても圧巻が、日本地図。1830年に菅江嶺によって描かれたもの、とある。読み方はSugae Ryoと紹介されていました。でも、調べて見るとかん こうれいとすが こうれいがヒットしたんだよね。たぶん、全部同じ人と思う。秋吉台の近くで生まれ、90歳まで生きたという画家。伊能忠敬による大日本沿海輿地全図は1821年に完成しているけど、それが出回るとは思えないし、当時日本人の日本の認識はこんな感じだったってことかな。伊能忠敬は蝦夷から測量を始めたはずだけど、確かに北海道がないわ。
歌川広重の東海道五十八次の20番目の宿場で、とろろ汁で名物な鞠子宿の丁子屋。
これを、水木しげるが妖怪版を描いているんだよね。鬼太郎とねずみ男が休憩してて、ろくろっくびがお運びさんなの。この丁子屋は今も名物のとろろ汁を出しているんだっていうからすごいよね。
アボリジニの作品では、Daniel Boyd(ダニエル・ボイド)がコーナーを設けられていました。
この点描画、なぜだか見ているととても苦しくなってくるんですよね。ものすごい存在感を放っていました。1982年ケアンズ生まれ、まだ若手のアーティストです。
典型的なアボリジニアートといえば、こんな感じでしょうか。タペストリーを買いたかったのに、現地ではすっかり忘れていたのが残念。
日本人の作品はいくつかあって、ちょっとグロテスクで撮らなかったけど、森村泰昌のMother(Judith Ⅱ)は異彩を放っていたな・・・セルフポートレートが多いようだけど、これもそうなんだろうか(何度見ても怖い)。
もうひとり、やなぎみわのYUKAも愉快だったな。大口開けてサイドカーに乗って笑っている女性の歯に金歯が入ってるの。マイ・グランドマザーズという作品群のひとつなので、オートバイに乗っている人の作品かと思い込んでいました。なんのなんの、彼氏だって。こちらのサイトで全作品が見られます。YUKAは2番目。
自分も参加できるコーナーもありました。段ボールが置いてあって、家を作るというもの。
いろんな家があって楽しかったな。家というものに対しての概念が様々なんだよね。創造性に富んだものから現実的なものまで、なかなかの力作ぞろいでした。
それはそれは膨大な数の展示があって、前回のシドニー現代美術館とはまた違う趣き。好きな人ならここも何時間も楽しめると思います。私程度の興味であれば、所要時間は1時間足らず。ぜひ足を運んでみてください。