英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【代々木上原】ミシュラン獲得!4度目「割烹 茂幸」

2023年(令和5年)2月

 

前回は8月に鱧を食べに行った「割烹 茂幸」。帰りに次回予約を相談したときに、香箱蟹を食べに12月に来たい!とお伝えしたところ、特に蟹に執着がないのであれば、高いだけだからおススメしないと、却下されてしまいました(笑

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12月は接待客や忘年会など、もっと高額なお客さまのために席を空けておきたいという事情がおありかも、などともちらりと思い、1月はまだ蟹の時期だからさらに先の2月との言葉に従い、半年も空けてようやく伺いました。

この日、本当は食事どころではなかったのですが、こういうときこそ美味しいものをいただこうと思い直しての店の前。

 

あれ。梅がきれい。四季折々の木を植えられていますが、3年目の今年はとてもきれいに咲いたと喜んでいらっしゃいました。そして茂幸さんは、ここを紹介してくださったブロガーさん曰く、ミシュランを獲得したとのこと。おお~ さらにパワーアップしているかも!

 

でも、店内に入るとちょっと様子が違う。カウンターの上はいつもの折敷ではないし、仕込まれた食材もない。ふむ。

そうすると「2月は居酒屋テイストで参ります」と謎の説明。茶碗蒸しとお造り、お椀のあとは好きなものを選んでください、と。え、なに。その楽しそうな企画。メニューを見ていたら、運ばれてきた茶碗蒸しにも気がそぞろになるよ。

 

2月は一応蟹シーズンも終わり、唯一これといった推しの食材がない月なのだそうです。メニューは4枚もあり、茶碗蒸しを前に頭の中は大混乱。でも、同時スタートだった隣の常連の方はさっさと最後まで決めて、注文を完了されていました。すごい決断力。

 

河豚と白菜の茶碗蒸し。スタッフに茶碗蒸しの中身を聞き直したぐらい、メニューを前に大混乱中の私。この茶碗蒸しは酸味が効いていて、さっぱりとしていて新しいお味。ほぉぉ~

 

お造りはマグロとクエ。魚をお造りとして提供するのは2月だけだそう。「だって、切っただけで料理とは言えないからね」と。素材の味だけで勝負するよりも、ご自身の技術と感性を付加したいという高い誇りを感じました。マグロはお醤油で、クエはポン酢です。

 

今回、日本酒の瓶はお披露目なし。いつもどおりおまかせで突っ走りました。最初は高知の一蕾

 

お猪口は選ばせていただきましたが、取り替えもなしの居酒屋スタイル。

 

鶴のきれいなお椀が運ばれてきました。さぁ、黙っていても食べられるのはここまでね(笑

 

フタを開けると中にも鶴。素敵。器遣いが素晴らしい。

 

お椀の中身は甘鯛と松竹梅。きれいに巻かれた湯葉、柚子の香りがとてもいい。

 

さて。私が頼んだ逸品たちが運ばれてきますよ。量は少しずつなので、全種類食べてもらってもOK、お連れさまと分け合ってもOKとのこと。

 

芋がら田舎煮。ずいきは私も何度かチャレンジしましたが、そうか、こうして細めに切るといいのね。素朴な味が美味しい。

 

諸子の南蛮漬け。諸子といえば、天ぷら おばたでいつも出てくる活きのいいのを思い出します。秋に行こうと思っていたのに、行けなかったもんなぁ。京都で修業されていた茂幸さんの諸子もやっぱり琵琶湖産かな。

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ここで、埼玉の文楽吟醸を飲んでいますが、早くもあやしくなったのか画像がない。しかも、今回めちゃくちゃ気に入った辛味貝割れ、湯葉、蕎麦の実和えの画像もない(涙

京都東福寺「澤正」さんの蕎麦の実は、そのままでも食べられるところを炒ってさらに香ばしくし、貝割れと湯葉とで和えてあったのですが、美しいし食感がいいし、すごく気に入ったのになぁ。

お隣の方に便乗したのがだし巻き玉子。関西人だから、甘くないかどうか確認してから、ね。もちろん、甘いのも甘いので悪くはない。でも、お出汁のきいた出汁巻き玉子はやっぱり薄味が決め手。焼いていらっしゃるのを見ながら、この油の量でいけるのかと見とれてしまいました。リズムが大切なのね。

 

ところでミシュランの方だとわかりましたか?と尋ねたところ、すぐにわかったとおっしゃっていました。で、最後に「車のところの人ですよね?」と突っ込んだんですって(笑

葉牛蒡お浸し。関西では割合馴染みのある葉牛蒡も、東京では見かけません。牛蒡部分が短くて、葉がほとんどの野菜です。牛蒡は小さくてもやっぱりこそがないといけないし、葉っぱのアクはあるので、ちょっと手間がかかるけど風味が豊か。

このあたりで日本酒は山形の惣右衛門に。

 

筍の唐揚げ。たとえば、里芋の煮っころがしを素揚げすると美味しいとわかっていても、煮っころがしもまた美味しいのでいつも残りません。それの筍版なので、間違いない美味しさ。しかも、この下拵えの加減がまたいいものね。

 

相棒が頼んだ菜花辛子和え。こういう素朴なものこそいいお店でいただくと目からウロコなんですよね。そういう意味では、私はポテトサラダや玉葱サラダも食べたかった。お隣の方がポテトサラダを絶品とおっしゃっていたな。

 

逸品の中での大ヒットはこのからすみもち。自家製のからすみとお餅を海苔で巻いたものなのですが、塩加減が抜群だし、香ばしさも鼻腔をくすぐるし、これだけでお酒が何杯いける?というイチオシの逸品。頼んでいなかった相棒にも勧めてしまいました。

 

さて。おでんメニューです。本当であれば、いの一番に丸大根!と言うところですが、今年は相棒が育てた大根が大豊作で、連日炊いた大根とそのアレンジ三昧。食べたいけど・・・うーん。

 

という話をしていたら、丸大根は半分に、そしてこれ以上お腹がいっぱいにならないように鶏つくねも半分ずつ、そしてぜんまいをいただきました。

 

そして、おでんメニューでの大ヒットはカニ。12月は高いだけと却下された蟹でしたが、この濃厚な味に旨味。あぁやっぱり蟹づくしもいいかもよ。でも、蟹はこれだけというところがまたいいのかも。見た目通りの凝縮されたお味はお代わりしたかったほど。半分じゃなくて丸ままお願いすればよかったわ(笑

 

自分で作るのは面倒なカニクリームコロッケも頼んじゃいました。このなんでもアリ感、最高です。

 

さて。お次は海鮮メニューから。

 

誰が何を頼んだのかメモを取っていらしたお弟子さんですが、ちょちょっと相棒と私のチョイスを間違えていて、食べるほうの私も何でもいいわけだしお酒は進むし、ちょっと内容に自信がありません。お酒は文楽大吟醸に移っています。

 

あ、澤克典作だ。ペンギンさんに再会。

 

鮪トロステーキ。辛味大根とともにいただきます。トロをステーキに!美味しくないはずがない。噛む必要なし。とろけるがな。

 

白子フライは茂幸さんならではの花山椒タルタルを添えて。少し酸味が効いていて、これ、好き。

 

相棒は白子ポン酢を頼んでいました。

 

牡蠣の磯辺焼き。このあたりから、記憶にもそろそろ自信ない。

 

なんたって、日本酒のペースも早かったんだよ。わずか6分で次のお酒にいってたもんね。鶴齢純米大吟醸。この片口も素敵だなぁ。でも、径の広い片口は私の小さい手では持ちにくく、最近、家にあるのを譲ったんだよな。

 

肉料理と〆に入ります。賄いっぽいのも楽しいよね。迷う~

 

でも、肉料理は迷うことなく2人揃ってウズラをチョイス。相棒が塩、私がたれにしたはず。半分ずつにしようねと言っていたけど、結局どちらとも食べたのかどうか記憶になし(汗

 

でもどちらも花山椒がふんだんに使われていたから、たぶん大満足してそれぞれで完食したんだと思う。とても柔らかいウズラが美味しかったことだけはかすかに記憶にあります。ごめんなさい、茂幸さん。

 

逸品に戻り、最後に乾きのものエイのヒレを酒の肴に。

 

〆は焼きうどんね。鰹節いっぱい。そして豚肉とキャベツと何が入ってたかなぁ。

 

贅沢にこれも澤克典の器でしょうか、シーフードカレーです。割烹でカレーなんてふつうないよね。開始から2時間余り。空いていた5席に次のグループが入り、メニューを選んでいるころ私たちは終宴。

 

最後のシャーベットはマンゴーだったような、パイナップルだったような、はたまた柑橘だったような・・・

 

さんざん飲んで食べて、44,000円也。

正直なところ、疲れ切っていたのでメニューを選ぶのは非常にしんどかったんだ。いくら楽しもうと思って眺めてみてもイメージが湧かず、思考停止状態で。でも、能動的に関われたことで、次第に力が湧いてきたことも実感。美味しいもののパワーってすごい。

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実はこの前夜、母が急死していているのを発見したと母と近居の兄から電話をもらいました。コロナ禍で会わないまま3年。最後に電話で話をしたのは昨年11月でした。

前日まで元気にご近所の方と話をしていたと聞きました。発見したのはおそらく倒れて2時間ぐらいだっただろうとの検視結果だったそうです。倒れた日は母の誕生日前日で、つまりこの食事の日は母の誕生日でした。

どうしても休めない案件を抱えていた私は変わらず出勤し、さらにはこんなことならば許されるだろう急なキャンセルをすることもなく、飲んだくれて食事をしていました。酔っぱらって失敗したエピソードの多かった母、笑って許してくれるでしょう。合掌。