2024年(令和6年)5月18日(土)
相棒が入院。1日だけあったフリーの日、来年度のANAダイヤモンド継続も目論んで、ひとり株主優待枠で飛んでいます。前回は毛利元就に屈した難攻不落城「月山富田城」について書きました。
バスに乗り遅れ、次の目的地までの30分は徒歩になりました。日常的に15,000歩は歩く私には、2.2kmなんてなんということはない距離ですが、頭の中はとっとり花回廊でいっぱい。どちらもバスの便が限られているので、両方行くのがなかなか難しいのです。
さて。到着したのが本来の目的地、足立美術館です。一度でも訪れたことがある人ならば、安来市と聞けば目的地はわかったことでしょう。温泉に泊まってゆっくり足立美術館という案も検討したことがあったな。
チケットはネットで購入済み。あとは45分後の帰りの送迎バスに乗ればOK。え?ここまで来て足立美術館に45分の滞在で帰るの?はるばる島根までやってきて、2,300円の入場料を支払って、45分?
でもねぇ、足立美術館はまた違う季節に相棒を伴ってやってくるという手もあるのです。バタバタするのが嫌いな相棒がいないあいだにあっちこっち下見をしておけば、次は揉めずにゆっくり回ればいいの。サクッと回りましょう。向かいのガラス張りの中にも人が見えます。
噂に聞いていた足立美術館の庭園、苔庭です。杉苔を中心とした京風の雅な庭園。建物の窓枠を額縁にして風景を切り取って眺める。
同じ風景を全景が見られる場所に出てきました。赤松が斜めに植えられているのは、樹木は山の斜面に対してある程度の角度をもって生えているものなので、庭師がそれを尊重して植栽しているのだそう。
少し前に寄っていくと奥にある茶室「環翠庵」も目に入ります。
2003年から21年連続、アメリカで発行されている日本庭園の専門誌のランキングで日本一の評価を受けています。案内している創設者の実業家足立全康は「庭園もまた一幅の絵画である」という信念のもとで、この5万坪もの誇大な日本庭園を造りました。
窓枠で切り取られた箇所もあれば、こうしてガラス張りを通して眺める場所もあります。ほとんどの人がしばし座って鑑賞しています。庭のことなど何も知識がなくても、そうしてしまう圧倒的な美とでもいうのでしょうか。
先に見た茶室「環翠庵」もここからならくっきり。右には1339年の刻銘文がある十三重の塔も見えます。
ガラスを通している分、少し緑っぽく写ります。これだけ広大な庭を維持管理するするのはさぞ大変なことでしょう。
しかもここには、近現代の日本画家の名作が数多く所蔵されています。目を惹いたのは写実的な日本画を描く橋本関雪で、ボルゾイ犬が日本画に登場するのか!と驚かされました。
でもなんといっても、巨匠横山大観の作品は群を抜いて多く130点にも及び、質量ともに日本随一のコレクションで知られています。
とっとり花回廊のことを小耳に挟みさえしなければ、館内で食事もするつもりにしていました。ゆったり庭を眺めながら過ごせたら、なんと優雅な時間でしょう。
再び外へ出て庭園を愛でます。白砂清松庭です。
後方に滝があるという説明を見つけました。横山大観の大正4年の作品「那智乃瀧」をイメージして昭和54年に開瀑した人口の滝です。
高さ15mのこの滝は「亀鶴の滝」と名付けられています。
後方にある池庭へやってきました。左に石橋が見えますが、そこより右側がもっとも古く作庭されもので、昭和45年の開館時はこちらが入口だったそうです。
正面から見えるいくつかの石は鳥取県産出の名石「佐治石」。黒松と赤松が植えられている庭です。
池の水は地下水を使っており、冬でも鯉は冬眠することなく泳いでいるそうです。次回来るのは冬がいいな。
建物の中に4人掛けぐらいの椅子が置いてあり、そこに座って生の掛軸を眺めるように勧めている箇所がありました。
でも、ダメなのよ。人が多くて写り込むの。人の少ない静かな日に来てそっと座れるといいなと思いました。でも、そんな日はなかなかないのかな。
これだけ澄み切った青空の日に訪れられたことは幸運でした。にもかかわらず、帰るのか、私。
次はまた、深々と雪の降る日に相棒と再訪することにしましょう。さぎの湯温泉に泊まるのもありかな。
最後に北大路魯山人の食器や牡蠣が収められた魯山人館へ行きます。割烹茂幸でも、いくつか有名な陶芸家の食器を使っていますが、どこか魯山人を思わせる作品を思い出します。現代にも多大なる足跡を遺しているのでしょう。
後ろ髪を引かれながらも12:20のバスに乗りに行きました。ところが、満員。そういえば入口で帰りのバスの整理券を取らないといけないとHPに書いてあったな。30分後だと、間に合わない。でも出ちゃったから戻れないよ(涙
安来市広域バスの存在を思い出し、バス停へ急いで行ってみました。すると12:29発がある!!これに乗ってJR米子駅まで戻ればとっとり花回廊へのシャトルバスに間に合います。
バス停からは、月山富田城跡が見えました。
ほら。二ノ丸あたりでしょうか、平らに開けた曲輪の上に何本かの木が見えます。今度は上から見たいぞ。でも冬に来たら積雪で登れないかな。
兵庫県にある竹田城などは雲海に浮かぶ天空の城として知られていますが、こちらは難攻不落の天空の城。足立美術館だけのために飛ぶのはもったいないなと思って寄ってみた月山富田城でしたが、なぜかハマってしまいました。
もうひとつ失念していたのが、割烹茂幸でよく出される日本酒が吉田酒造「月山」です。その酒蔵が月山富田城の麓の町にあったはず。バスでそばを通っていたはずなのに、酒蔵に寄ることなどすっかり抜け落ちていました。これもまた、次回の課題にしましょう。