2025年(令和7年)8月10日(日)
今年の夏休みは5泊で東欧を回りました。前回はルーマニアの避暑地シナイアの「Bistro 27」でのディナーの話を書きました。
暑いので翌日もシナイアでじっとしていることも考えたのですが、中世の建物が残るブラショフも魅力的。シナイアからは電車で1時間で行けます。駅で荷物を預けるのがスムーズにいくかということと、旧市街へはバスで移動しなければならないことが気になったのですが、シナイアの見所は見終えたので頑張って行ってみましょう。8:17発の電車でブラショフへ向かいます。
※Brașovはブラショフと発音すると思っていたのですが「ルーマニア語はスラヴ語のように語末の v が無声化して f になることはない」とはっきり書かれており、カタカナ表記はブラショヴが正しいようです。ただ、日本では圧倒的にブラショフと記載されていることが多いのでそれに従っています。

座席は全席指定。1等車と2等車がある列車や、2等車しかないものもあります。所要時間も運賃もまちまち。

私たちが乗る電車は1:25かかるのんびりタイプだったためか、運賃も安めで13RON(460円)。それでも出国前に見た運賃より若干高くなっています。

シナイアでの乗降はこの時間少なく、わずか数組が乗り込んだだけ。

座席は2階席でした。画像は終点での降車時のものですが、取り敢えず清潔で客層も悪くなかったのでほっとしました。ただ荷棚が申し訳程度にしか付いていないので、スーツケースがあるとめちゃくちゃ邪魔。私たちは機内持ち込みサイズですが、それでももし満席だったら迷惑だったと思います。荷物置き場もこの車両には見当たらなかったし、1階にあったとしたら離れすぎ。

まだ動き始めてすぐ。ペレシュ城の後方に控える山が見えています。

首都ブカレストの住民は、休みになると車で2時間ほどで来られるこのあたりでハイキング、トレッキング、登山などを楽しむようです。ルーマニアでも最も多くスキーリゾートがある地域で、山の上にはロープウェイらしき鉄塔がうっすらと見えていました。

隣のPoiana Țapului駅。山荘風の駅舎です。

高くはないもののカルパティア山脈の切り立った山が続きます。

カルパティア山脈のルーマニアにおける面積は国土全体の1/3を占めています。カルパティア山脈を細分化すればシナイアからブラショフに連なるあたりはブチェジ山脈と呼ばれ、最高峰はこれから向かうブラショフにより近いオム山の2,505mで、日本アルプスより全体的にやや低め。

Bușteni駅からオム山(Mt.Omu)はまだもう少し先。でも、右奥にあたりの山が最高峰かなという感じです。冬に訪れるとこのあたりが一面雪景色だなんて、今は想像もつきません。

ブラショフに近づいてきたときに目に入ったのが菜の花畑。一面に広がるこれら黄色い絨毯はキャノーラ油の生産用でしょうか。

さて。ブラショフ駅に到着しました。ホームが改修中で最南端から駅の外へ出るように促されました。スーツケースを持っているのに工事中で道も悪いし、暑い。先が思いやられるわ。

遠回りして到着したブラショフ駅。当初、シナイアではなくブラショフまで乗合TAXで来ていたとしたら、駅のすぐ近くが降車場でした。この駅なら夜でも危険ではなかったという気がします。本当はブラショフのほうが良いホテルがあって泊まりたかったのですが、雨の場合を考えたときに観光の中心地までバス移動が必須だったことも躊躇う要因のひとつでした。

駅で荷物を預けます。コインロッカーはなく、荷物預かり所で預かってもらえるという情報を得ています。

荷物預かり所の場所は、階段に挟まれたこの先。

ドアを抜けるとすぐ左奥に預かり所らしき場所が見えています。

Luggage Storageの文字が確認できました。荷物を預かってもらえなければ観光が厳しいので、できるだけ預けずに済むように宿泊先を決めるのですが、やむを得ない場合の計画はとても慎重になります。

ここも到着時は閉まっていました。10時前だったので、この日の営業時間が遅いのかもしれないと思ったのですが、他にも預けようとしている人たちがいて、大丈夫と言ってくれました。

預ける場所はこの入口の左側で、荷物ふたつで30RON(1,020円)です。確か19時ぐらいの早い時間に閉まるはずなので要注意です。

名前、パスポート番号、電話番号、引き取り時刻などを係員が記入し、番号札をもらいます。ただ私の場合はローマ字が読みにくかったのか、自分で書いてとペンを渡されました(笑

これで安心。ブラショフ駅の絵が素敵だったので見てみました。これから行く旧市街のようです。

右に描かれているお城はドラキュラ城として親しまれているブラン城でしょう。ただ、実際にはドラキュラのモデルとされるブラド3世はまったく住まなかったと言われており、ほとんどアミューズメントパークだというレビューも見たので訪れていません。

ブラショフ駅から旧市街までは、まずはバスで15分ほど。ここも現金必須かと思っていましたが、クレジットカードも使えます。

往復10RON(340円)の乗車券を購入してバスに乗り込みます。いいタイミングでした。

乗車券はバリデード(有効化)して乗る必要があります。車内のこの機械に差し込めばいいだけ。往復チケットなので帰りは反対側の端を差し込むようです。

乗車券を見ると、片側だけに刻印があるのがわかります。10:03にバリデードし、まもなく出発しました。

バスはどうやらタッチ決済も可能なようです。全車両で可能かどうかは不明なので、まだしばらく現金は持って行ったほうが安心でしょう。

10:20に旧市街に到着しました。炎天下は心配でしたが、行きたい場所のひとつはちょっとばかり階段か坂を上る必要があります。まず少しでも涼しいあいだにそこから攻略しましょう。

出発地のシナイアでチェックした最高気温は29度。避暑地のシナイアのほうが涼しいと思っていたのですが、ブラショフもだいたい同じような気温でした。ブカレストが35度前後だったことを思えば、ブチェジ山脈に近い場所は随分過ごしやすいと言えます。

この日の予定は観光のあと16時発の乗合TAXで首都ブカレスト郊外にあるアンリ・コアンダ国際空港(通称オトペニ空港)へ向かいます。それまで5時間半。短い時間ですが、暑いのでこれぐらいでちょうどだろうと思います。ブラショフの美しい中世の街並を次回ご紹介します。