アデレードから電車で彼女の待つ駅へ。
何度も訪ねようと思ったけれど、はじめて思い立った当時は海外のホテルをどうやって予約すればいいのかもわからなかったころ。すっかり海外旅行にも慣れて会いに行けるようになったころには、彼女も仕事をし始めていたし、せっかくの休日を潰させるのが申し訳ない気がしてなかなか実行できませんでした。
でも、このまま歳を重ねていったらもういつ会えるかわからないので、もし予定が合わなくてもアデレードを観光して帰ればいいと決め、航空券を取ってから連絡しました。家に泊まってね、空港までの送迎が必要であれば言ってね、大喜びで返事をくれた彼女。・・・もうすぐ会える!
娘だけは9年前に10日ほどホームステイさせてもらったことがあり、子どもたちとも面識があります。と言っても、一番下の子はまだ2歳だったので記憶に残っているはずはありません。でも、彼女のことだからきっと何日も前から昔の写真を出してきて、思い出話をしてくれていることでしょう。
そして・・・駅で出迎えてくれていた彼女とその子どもたち。まったく変わっていない彼女。一瞬であの頃に戻れた気がしました。
どこに行きたいかなどもいろいろ尋ねてくれていましたが、会えたらそれでもうじゅうぶん。それでも、はじめにラベンダー畑へ連れて行ってくれました。
こちらのラベンダーは触れてもあんまり香りがしません。北海道のラベンダー畑は近づくだけでも強烈な香りがしたので拍子抜けです。
オーストラリアの木のサイズは、広い大地に見合う大木。

なだらかな丘にラベンダーやいくつかの花が植えられたゆったりした場所で、入場料も不要です。
のんびりした丘の向こうには羊が放牧されているのが見えました。ほとんど点なので、きっとわかりませんよね。
ラベンダーの加工品の売店と、お茶ができるスペースがあるだけの小さな家族経営のファームのようです。彼女曰く、今が最もよい季節で、向こうに見える緑も夏には乾燥で枯れ、茶けてしまうのだそうです。
そして、ランチはここに数多くあるワイナリーのひとつに連れて行ってくれました。ここで彼女のご主人とはじめてお目にかかりました。寡黙だけど穏やかでなんとも優しそうな人でした。
ぶどうが芽吹くのは、まだまだこれから。
再会を祝福してくれているかのような晴天。
ランチはテラスで食べるのが絶対にいい!
さらに木の下で食べることもできます。いつもは屋内へ引っ込む私たちですが、ここの気候と空のもとでは断然外!
ラムのパイを頼みました。私たちがラム肉好きになったのは、娘がホームステイしていたとき、彼女のご実家へ行って飼っているラム肉をごちそうになったのがきっかけです。

友だちと一緒のときに写真を撮るのもはばかられて遠慮したのですが、娘が撮っていたので拝借しました。撮り方って、ほんと違いますよね。
彼女よりもご主人のほうが料理上手ということで、食事が終わってからご主人は準備に帰り、夕食のときに再会することになりました。
道中で撮ったこちらはキャノーラ。菜の花も鮮やかさがまったく違う気がします。
展望台に寄ってくれました。
何もない穏やかな場所で、彼女の人柄がここで育まれたことがわかるような大地でした。
写真を撮る彼女と、ふたりの娘、そして私の娘。
ここから見える主な場所の方角を記してありましたが、こちら側は平地で何の目印もないので、さっぱりどこがどうだかわかりません。置いてある黄色い花は彼女が教えてくれたアカシアの花。ドゥブロヴニクでもアカシアの花を通りすがりの外国人に教えてもらったことがあるので、親しみのある花なのでしょう。
ところでボーリングのことは何というか知っていますか?子どもたちが喜ぶので、ミニゴルフか ten pin bowl に行きたいけどどちらがいいですか?と聞かれていました。確かに10本ピンが立っていますもんね。
どちらも同じ敷地にあり、この日は大盛況でした。子どもたちが喜ぶほうにと答えておいたら、ミニゴルフに。いや~ 何年ぶりだろう~
もうね、オーストラリア人を感じましたよ。めちゃ大雑把。加えてこの家族はみんなせっかち。ゴルフボールが止まるまで待てないの。しかも、次に打つときもほとんど狙わないで、とにかく打っちゃう(笑


そんなわけで、なぜか私が優勝してしまいました(笑
しかも、6打以上はすべて6打というルールがあったから、これで済んだようなものです。
このあと、彼女宅にお邪魔しました。このコ、シェットランドシープドッグなんですけど、めちゃ賢いんです。遊び道具を持ってきて、遊んでっておねだり。かわいい〜 でも、シープドッグだけあって疲れ知らず。際限がないんだそうです。
庭にトランポリンがあるんですが、ここでも顔を突っ込んで、遊んで~っていつまでも待ってる。可愛すぎ。ネコちゃんもいましたが撮りそびれたな~
鶏も飼っていました。この付近にはキツネがいるそうで、ある日朝起きたら1羽しか残っていなかったそうです。このコたちも彼女に懐いていて、ついて歩いていました。
彼女のご主人が調理してくれたのは、やっぱりラム肉。ショルダーだと言っていました。ちゃーんと糸を巻くことから見ても、料理好きがわかりますよね。


各自、好きなものをキッチンカウンターに取りに行くスタイルで夕食が始まりました。こういうの、いいアイデアですよね。人数が多くても取りにくいということがありません。
ちょうどトングで掴んでいるのがお肉ですが、ラム肉とカンガルーのソーセージ、そして牛肉でした。サラダもたっぷり、エビのマリネもあり。アボカドもちょうど熟れごろ。
私がいただいたのがこれ。ラム肉は、もし苦手な人がいたとしてもニオイはないしクセもないし、言われなければラム肉とは絶対に気づかないと思います。すごーく柔らかくて、しっとりしていて、娘がとりこになって帰ってきたのにも納得。
デザートも同じスタイルでふるまってくれました。オーストラリアでババロアというのは、メレンゲを焼いたお菓子のこと。子どもたちが分担してあれこれ用意してくれました。
みんな自分のことは自分でするよう躾けられていました。洗濯も料理も、共同体として生活するのだから協力し合うのが当然という考え。特に娘は考えさせられることが多かったと言っていました。
思い出話をしていると、再会できた喜びと、聡明だった彼女がそのまま素敵なお母さんになっているのを見てただただ嬉しくて、涙が溢れてしまいました。私の記憶と英語力に誤りがなければ、アデレード大学を出て放射線技師として働いていた彼女。癌患者に照射するその仕事がつらくて辞めたはずです。今はタスマニア大学に在学中だそう。オンラインで学べるんですね。
ところで、オーストラリアはアルコールの血中濃度が0.05以下であれば車の運転ができます。男女差も体格差もありますが、だいたいのガイドラインが示されており、概ね運転1時間前なら以下の1Standard drinksが飲めるといった感じ。
彼女は、アデレードまでの帰りをUberで手配する予定にしてくれていましたが、費用は向こうが持つと言うので丁重にお断りしました。1日券も買ってきているし、こちらが費用負担するならありがたく手配をお願いするけれど、と。ご主人曰く、電車の途中に低所得者層の居住区域を通るらしく、それが心配だということでした。結局、最寄り駅までの短距離でも受けてくれるUberがいればそれでということなり、無事見つかったあとは車内でドア付近には座らないようにという注意を受け、最後は慌ただしく別れました。
電車では、確かに危険を感じることがありました。なんと相手は中学生程度の子どもの集団。ガラガラの車内なのに、そこの席、空けてくれと言ってくるんです。相棒が日本語で嫌だと言って威嚇したら去りましたが、たぶん、そうしてマウントを取って相手の反応を見ているのでしょう。ただ、車内には鉄道会社の係員が2人1組で乗っていたので、夜遅くの電車では警戒しているのかもしれません。
1週間を経た今でも、ものすごく幸せな再会だったな~としみじみ思い出します。
ひとつ印象的だったのは、お土産に持って行ったステーショナリー。日本のものが優秀という評判なので、こだわり派の娘にチョイスしてもらいましたが、大感激してくれました。特にお年頃でほとんど話さなかった男の子が、いかに書きやすいかを熱心に彼女に語っていたのを見て、とても嬉しかったです。そういうことを素直に言うあたりもいい子ですよね〜
「感情をきちんと表現する」日本人的には面倒ですが、こういうことをなおざりにしていてはいけないな〜と、家族で様々な感想を持ち話し合う機会にもなりました。