2020年(令和2年)10月17日(土)
ひたすら慎ましいStay home生活を送り、外食すらしていなかった私がGoTo Travelで近場に泊まろう第二弾、ホテル雅叙園東京へやってきています。
前回は、ゴージャスな建物や贅沢な室内からするとちょっと拍子抜けの印象だったラウンジ編でした。
ホテル雅叙園東京では、館内ツアーやヨガなどのアクティビティも開催されています。今のこの状況下ではかなり縮小されていますが、それでもこのゴージャスな館内を見学できるアートツアーとなれば、参加しない手はありません。
9時から始まる雅叙園アートツアーは、1階ロビーに集合です。参加者が多かったので、15人程度の2班に分かれて見学です。
まずはエレベーターをはじめ、螺鈿細工を多用した贅沢な装飾についてのお話でした。チェックイン前の到着編でも見たとおり、エレベーター内部まで孔雀が描かれたゴージャスな造りです。
当時、結婚式場といえば美容室、写真室、神社での挙式を経て、料亭やホテルへ移動するスタイルで、特に雨の日は大変な苦労でした。花嫁や参列がゆったりと1日を過ごせるようにと館内に神殿・衣裳室・美容室・宴会場を作り、日本初の総合結婚式場としての歴史がはじまったのです。
館内散策や部屋を飾る絵や彫刻を見ながら、退屈することなく過ごせるように、廊下から欄間、天井を埋め尽くすように絵が飾られていたのが当時の雅叙園の特徴でした。
そのように贅を尽くした雅叙園は「昭和の竜宮城」と呼ばれたそうです。
1階ロビーの傍にある中華料理「旬遊記」には、鹿鳴館の設計者によって作られた部屋が2部屋あります。
営業前のレストラン内に潜入。
入ってすぐに贅沢に漆が塗られた壁があります。これだけの漆を使うあたりが雅叙園ならではの贅なのでしょう。
この扉の中が、鹿鳴館設計者による部屋。今ももちろん使われています。
ドアノブの位置が低いのはお座敷だった当時の名残。
まず、「玉城」です。あまりにも豪奢。度肝を抜かれるというのはこのことかといったお部屋です。
暖炉もあるのが特徴。部屋を眺めているだけで飽きることがなかったというのが、誇張でないことがわかります。
中華料理でおなじみの回転テーブルは、創業者・細川力蔵が「席に座ったまま料理をとりわけ、次の人に譲ることができないか」と考案したもの。雅叙園で発祥したのちに中国本土に渡ったのだという説もあるそうです。
日本に現存する最古の回転テーブルは、美しいブドウ柄。
お隣の「南風」も見てみましょう。こちらもまた金尽くしの豪奢な造り。こちらにも当時の回転テーブルが修復されて使われています。
庶民や家族連れのお客様が気軽に入れる料亭を目指したといいますから、どんなにここを訪れることに憧れたことでしょう。
こちらの部屋にも暖炉が設置されています。
天井を見上げてもこの装飾。なにより、実際に今も使われているというところが素晴らしいですよね。
次は何が見られるのだろうと期待感が湧いてきます。エレベーターで5階まで上がり、結婚式場の見学です。
エレベーターの前には錦帯橋でのお花見の様子が描かれています。
これらすべて、1枚板を掘って描かれているそうですから「東洋一の美術の殿堂」と呼ばれるのも頷けます。
5階まで上がって見下ろすと、右に庭園、下にレストランが見下ろせます。
お目出たいフロアということで、装飾もそれに合わせています。
神殿は2ヶ所。
廊下には木組細工が贅沢に施されています。螺鈿と共に木組細工は多くの場所で見られました。
親族の控室にも、各々美しい絵が描かれています。


扉の向こうの廊下を曲がると神殿ですが、こちらは撮影禁止。それはそれは豪華な式場でした。
もう一方の式場の神殿前の廊下には、奈良の鹿が描かれています。雅叙園で最も大きい木彫り絵がこちらだそうです。こちらの神殿はもう一方とはまた違った贅沢さ。何羽もの鶴が羽を広げ圧倒される装飾でした。
式場の見学を終えて、宴会場の見学に移ります。それぞれの階で和風、洋風、中華風に分かれているのですが、まずは和風階から見学です。
当時すでに宴会場は和風から洋風に変わっていたそうですが、設計者が敢えて和風を残そうと考えたのだそうです。何やら入る前から圧倒的存在感の入口。
設計者の目論見どおり、3部屋ある和室の宴会場はどれも好評だそう。
天井の絵は大名行列の様子。当時は天井の絵が壁に、壁の絵は天井に設置されていたそうですが、リニューアル時にサイズの問題もあって逆転しています。
ここは各部屋に入る前の前室。
部屋に通される前にもこれだけの贅沢さ。ため息が出そうです。
こちらがトイレ。
柱には七福神が描かれています。
まずは「竹林」から見学。美人画が描かれた控えの間を通って部屋へ向かいます。


壁に描かれた孔雀と天井が印象的。
雅叙園ではどの部屋も柱の装飾が見事です。
続いては「鷲」。宴会の準備がされています。
係の方は「宴会の準備がしてあるようですね」とおっしゃっていましたが、ほかにもモデルルームにしてあった部屋がいくつかあったので、ここもそうだったのかもしれません。そうでなければ、活けてあると思っていた花が造花だったので、興ざめです。
そしてこちらは唯一、能舞台のある部屋です。
部屋は畳敷きにもテーブルにもできるようになっているようですが、座敷を通ってこの部屋に入るので、靴を履き直すわけでもないだろうし、列席者としては衣装に困るかも?
最後の和室は「牛若」。こちらはほかの2部屋と違って軽快な装飾です。
「東海道中膝栗毛」の図柄。
天井にも欄間にも木彫り絵が嵌め込まれています。
床柱は部屋の名前のとおり牛若丸が描かれています。
私は観ていないのでわからないのですが、映画「千と千尋の神隠し」で龍が飛び出していくシーンは、この窓をモデルにしたんだそうです。そのイメージありますか?
わかりにくいかもしれませんが、こういった螺鈿の枠に木組細工の窓がいくつも設えてありました。


なんてことない扉にもエレベーターにも見られた螺鈿細工。
人物ばかりでなく、花や果物などの木彫り絵もふんだんに使われています。


和室宴会場の見学が終わりました。
豪華絢爛なんだけれど、この「これでもか!」感にそろそろぐったりしてきました。なんというか、品がないといっては言い過ぎでしょうか。
2階宴会場に降りてきました。太陽と月が描かれたこの螺鈿細工は、雅叙園最大のものだそうです。
こちらの作品は韓国人の作品だそう。昭和初期のこの時期は、第一次世界大戦から第二次世界大戦までの間の混乱期で「雅叙園に行けば仕事がある!」と著名な職人たちが集まって来たことから、これほどの作品が揃っているのだそうです。
中は、2間を繋げると雅叙園最大の広さとなる宴会場。こちらも宴会の準備がされていたので、やはりモデルルームなんでしょうね。
最後に、1階の料亭「渡風亭」を案内していただきました。
アトリウムガーデンから見る建物は、屋内に建てられているにもかかわらず風情があっていい雰囲気。宴会場のけばけばしさから離れて落ち着きます。
入口は一番奥。
でも・・・なんというか、造られた感満載ですよね。
でも、ふつうに会食で訪れるとしたら気にならないレベルかもしれません。屋内に建てられた建物ですしね。
部屋もこれぐらい落ち着いていれば、招いても招かれても満足度は高いかなと思いました。掘りごたつ式なので座りやすいのも、いっそポイントが高いです。
部屋の隣には、金屏風のある板の間の部屋があります。部屋なのか?広縁なのか?屋内ならではの造りかもしれません。一番奥のこの部屋は、開放感と共に趣きがあっていいお部屋です。
これぐらいにしておけばいいものを、と思いつつ、よくよく考えてみると格式あるホテルが花魁を描かせて飾るだろうか?という疑問が湧きますよね。回廊の木彫り絵は立派だけれど艶っぽかったり、俗っぽかったり、庶民的だし。創業者の意図したとおり、庶民が気軽に訪れられる場所とするのがここの本来のコンセプトなのでしょう。
しかし、庶民派であっても高級でありたい。田舎から上京して都会の結婚式に出てみたら、度肝を抜かれた、やっぱり東京は凄い、そう思ってほしい一念の成金っぷりが、この部屋にも表れていました。
せっかく落ち着いた部屋を案内してもらったと思ったら、隣の部屋がこれ。
テレビドラマ「半沢直樹」の中で、頭取の会食シーンを撮ったそうですが、あまりにもケバ過ぎて結局使われなかったんだそうです。そう。やり過ぎよね。
この部屋からこうして外を見れば、高級感に満足して食事ができるんでしょうか。インバウンドで人気だったとちらりとおっしゃっていたので、さもありなんと納得。せっかくの風情を台無しにしている気がして、どんどん気持ちが冷めていきました。
もしこの雅叙園アートツアーに参加していなければ、ラウンジはいまひとつだったとしても、部屋の広さに満足し、高評価のままだったかもしれません。
ましてや、ここで日本料理の懐石でもいただいていたら、嬉々としてご紹介していたのではないかと思います。
最後に極めつけのトイレをご紹介しましょう。
フロントに上がる階段の傍にあり、気になっていたトイレです。どこよりもトイレが豪華と言われているという説明を受けました。
一度冷めてしまった私には、もう何を見ても品のなさに映ってしまいます。
でもどうでしょう?ツアーに参加していた若い子たちは「誰かここで結婚式をしてくれないかな?」と言っていたので、度肝を抜かれたクチなのでしょう。そして、招かれた側は、このツアーのように何室も回るわけではないので、確かに見るものに楽しめ、豪華な部屋にも感嘆の声を上げ、満足して1日を過ごせるかもしれません。
ただ、ホテルでの結婚式は経験があっても、総合結婚式場に足を踏み入れるのは初めて。ホテルだと思って見学していたのが間違いだと考えると、充分過ぎる贅沢さなんでしょうね。
地域共通クーポンでは、初日にチェックした胡桃シナモンのパウンドケーキ2,000円と、モルトウイスキーの生チョコ「枯山水・赤銅」2,200円(いずれも税込)。
前回行った、電子クーポンの使える百貨店で純米山田錦無濾過生原酒「宗玄」(1,650円)と、スパークリング「七賢 山ノ霞」(1,980円)をゲット。
七賢はアルコール度数が11%と控えめなものの、辛口で文句なしの美味しさ。ま、泡好きだからね、私。
宗玄は前にも感じた火入れ感があったのはなぜだろう?でも、好きな一品かな。
最後に、オチをひとつ。
外食を長らく封印していた私たち。日本酒もいいけど、地域共通クーポンがあるならお寿司が食べたいねぇと、その百貨店のレストラン街にランチを食べに行きました。季節限定のセット(2,700円×2)と生ビールで7,150円。
ところが、レストラン街は地域共通クーポンが使えなかったんですよ~
美味しかったならいいけど、見るからにいまひとつでしょ?最後にぐったりして、日本酒を買いに降りたのでした・・・
1泊朝食付き 29,700×2=59,400
以上で第二弾終了。
次回は、格式高いホテルへ潜入予定です。