2021年(令和3年)11月23日(火・祝)
放っておいてもANAプラチナステータス継続の招待があることも知らず、せめてブロンズステータスを達成させようとフライトを重ねた11月後半。これはその第2弾の山口。
錦帯橋も宮島も、広島の市内観光もざっくり終えているので目ぼしいところが見つからず、直前まで決まらなかった行先でしたが、金魚ちょうちんと白壁の町と謳われているのを見つけ、柳井へやって来ました。
観光地といってもそう広くはない白壁の町、おそるおそる柳井駅からスタートします。まずはオルゴールの館グリムが見えました。15分毎に鳴るようですが、ちょうどその時刻を過ぎたところ。
柳井川を渡ると白壁の町が始まります。ちょっと雰囲気が出てきました。
右手に見える建物が商家博物館むろやの園。江戸時代に油商として手広く商いをしていた西日本屈指の商家の屋敷です。
入口からは窺い知れませんが、一角すべてがこの屋敷であることから推察できるとおり、敷地内には 主屋を始め、本蔵、勘定蔵、米蔵、道具小屋、中間部屋など、11棟35室もの建物があります。入館料は450円ですが、まずはぐるっと回ってみます。(このパターンは結局いつも入らずに終わる^^;)
レトロな町らしくポストもこのとおり書状集箱とある。シブい!
1907年(明治40年)にの周防銀行本店として建築されたこの建物は、最後の所有者である山口銀行から寄贈され、今は柳井市町並み資料館となっています。2階は柳井市出身の歌手、松島詩子記念館。知らないなぁと思っていたら、月の砂漠はこの人(当時は柳井はるみ名)で最初にレコード化されているんですね。
通りを渡って、ここから白壁の町が始まります。
金魚ちょうちんが有名だということですが、これは柳井市の商人、熊谷林三郎が行商に行った青森県弘前市の弘前ねぷたの「金魚ねぷた」をお土産に持ち帰ったのがはじまりです。
柳井市伝統織物の柳井縞の染料を用いた鮮やかな赤が特徴で、金魚ちょうちんの町として盛り上げようと作り手を増やしていったそうです。ちょっととぼけた顔が笑える。
金魚ちょうちんがずらりと下がった白壁の町並みを少し見ていきましょう。
こちらの国森家住宅は、江戸時代中期の豪商の典型的な家づくりが残っており、国の重要文化財に指定されています。
細部まで往時のままに保存されている内部は見学も可能なのですが、今はコロナ禍で休止中。代わりに外から見られるように開放してくださっています。
こちらの看板もレトロなまま。
かみゆい処も現役で営業しています。
驚いたのがこちら。カニが横断するんですって。
すぐそばに掛屋小路と書かれた細い道があるのですが、このあたりの町割は中世のころのままなのだそうです。フタがされている溝は近くを流れる柳井川へ排水路なので、カニがここまでやってくるのでしょう。
しらかべ学遊館へ入ってみました。地元の子どもたちの声で柳井市を紹介しているビデオが流れていました。昔の生活用品などが展示されています。
金魚ちょうちんの染料は柳井縞で用いていると書きましたが、その柳井縞が掛けられています。
ライオン石鹸って専売品だったの?看板は商品名を揚げているものが多いので、お店では単一の商品しか売っていなかったのだろうかと気になるわ。
たとえば鎮静催眠剤カルモチン。高橋薬局はそれしか売ってなかった、とか?太宰治が自殺未遂時に使用した薬として有名だそうですけど。
奥には、国木田独歩が雑誌の編集や教員をしながら柳井市で過ごしたということで、ゆかりのものが展示されていました。婦人画報の創刊も国木田独歩なんですね。同じ部屋には当時の広告である引き札が紹介されていました。
反射してうまく撮れませんでしたが、今よりずっと粋かも。


白壁の町から少し離れたところにやない西蔵がありました。大正時代末期に建築された木造平屋建・白壁土蔵造りの建物で、40年ほど前まで醤油蔵として使用されていました。
今は、名産の柳井縞の機織りや、金魚ちょうちんづくりが体験できる場所となっています。
お隣は佐川醤油蔵。柳井市は江戸後期から柳井商人が発明した甘露醤油を特産としています。
お店の前には、仕込みに使っている琴石山系の伏流水が湧き出しています。
蔵の中に入ってみました。お醬油をベースとしたお土産物がずらりと並んでいますが、お店は無人。いいんかいな。
杉の三十石桶で醸造する創業以来の製法を守り続けているという佐竹醤油。三十石というと約5,400ℓで、直径×高さが2mほどの大桶です。
見学できるようになっていたので、階段を上がってみました。あれ?お醤油、見えますよね。かつてはここ、じゃなくて今もここで製造しているんだ!何年もの間、ここで熟成させるんだよね。
そう。甘露醤油は、2年間熟成してできた生醤油に、通常塩水を添加するところを再度麹を加え、さらに2年間熟成させているところが特徴です。こっくりとした味に仕上がっているので、お刺身に使うことが多いみたい。たまり醤油と同じ「再仕込み醤油」です。
暖簾の下に、柳井の甘露醤油が鉄道唱歌にも歌われたと紹介してありました。でも、私の年代では鉄道唱歌のメロディーは知っていても、歌詞まで知っている人はそんなにいないんじゃないかと思います。
調べて見ると、音楽教育による知識習得を目指していた時期で、地理教育としての側面を歌に持たせていたようです。全国各地で郷土版も製作され、人気を生みました。そりゃ、地元の地名が入った歌だったら愛着も沸きますもんね。オリジナル版でも全374番まであり、全部歌うと1時間半かかるんですって。
見学箇所から蔵内を見下ろしてみました。こうして見ると、三十石桶がいかに大きいかがわかります。見学しているあいだに、地元の人がお醤油を買いに来ていました。ベルを鳴らして知らせると、お店の人が出てきてくれる仕組みになっていました。看板商品は甘露醤油ですが、ほかにも多くの種類の醤油が作られているので、用途に合わせて使い分けることができます。
ざっくり白壁の町を見学したところで、そろそろランチの時間が近づいてきました。飲食店はそう多くないようだったので、予約しています。