英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【代々木上原】6月初夏の献立「割烹 茂幸」

2024年(令和6年)6月

 

定期的に訪れる代々木上原の「割烹 茂幸」さんとのおつきあいも2年が過ぎました。開店から5年、ミシュランも獲得されますますご繫栄の様子。前回は12月だったので、半年空いて8回目の訪問です。わぁ~ そんなに行っているのか~

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これまで伺ったことのない6月を選んで予約しました。1年でも日の長いこの季節。小田急代々木上原駅から7,8分のお店に到着してもまだまだ明るい。樹木も成長してきています。今年も梅が収穫できたそう。

 

外の明るさを思うと、こんにちはと言うほうが合っている感じ。一番乗りです。

 

目ざとく下拵えされた鱧を見つけてしまいました。関西では夏の定番の食材。

 

半年前にお弟子さんのひとりが腰の不調で辞められたと聞いてから、新しい人は入っていなさそうです。あのときは相棒の腰も同じようになるとは想像だにしていなかったから、本当に生きていると何が起こるかわかりませんね。

 

本日の食前酒はレモンのお酒。12ヶ月の盃が用意された桐箱から、6月を選択。紫陽花です。

 

相棒は7月を。どちらもお初です。こちらは七夕ですね。

 

6月の盃の足元にはカタツムリ。そういえば、近ごろカタツムリって見ないよねという話をしていたところでした。農薬や気候変動などのために、世界的に激減しているのだそうです。

 

最初の飲み物は黒ラベルの小瓶から。復帰したばかりの相棒からは、アルコールは少し控えると聞いているので、スローペースを心がけましょう。

 

スタートは鱧。淡路島産玉葱のお出汁でいただきます。梅酢に漬けた蓮根と大葉、茗荷がトッピングされています。梅の酸味と大葉がとてもいい。ただ、細かく刻まれた蓮根を追いかけるのが大変だったぞ。

 

お、これは鰹ですね。鰹のタタキは高知まで食べに行くだけでなく、取り寄せるほど好きです。大将の腕にかかるとなれば期待もさらに膨らみます。

 

炙り鰹行者にんにくの醤油漬けとともにいただきます。トッピングされた海苔がめちゃくちゃ美味しいし、鰹に合う!もうひとつはハタの昆布締めと行者菜のおろし和え。行者菜は行者ニンニクとニラを掛け合わせたもので、ニラより柔らかい菜っぱになっているそうです。ちょっと苦味のある独特の味は、私の好みでした。こういう変わり種の食材は使ってほしいと声が掛かるようですね。

 

岡山のお酒、酒一筋。以前にも夏にいただいています。いかつい字面の割に、さすが夏のお酒なのでさっぱりしています。

 

お椀の登場。今日の中身はいかに・・・

 

すっぽんを使った水無月豆腐。6月は和菓子でも水無月をいただくので、それをイメージしたそうです。小豆が入っているのだけど甘くはなく、生姜が効いた出汁によく合っていて感動もの!これから動物性の食材は減っていく一方だから、こういった乾物を使った料理も丁寧に作っていこうとおっしゃっていました。

 

鮎の唐揚げ南蛮酢。誰にでも出しているわけではないのだけど、という一品。糸唐辛子の辛みが効いているし南蛮酢の酸味も合うので、くまなく絡めました~

 

焼き鮎は頭から食べてください、と。ええ、丸ごとすべていただきました。これって、骨の処理はどうしてあるんだろうね?この季節、鮎が食べられたらなぁと思いながら伺ったので嬉しかったよ。

 

日本酒は、手取川へ。こちらも夏の限定版で、すっきり辛口。

 

酒器は澤克典作のここでおなじみのもの。相棒がいつも食器というものはとても安いと言っています。割れるのを想定すると高いけど、家にある食器のほとんどすべて10年どころか30年超もザラだもの。

 

螺鈿のお椀が登場しました。ということは、あれだよね。

 

青森の郷土料理であるいちご煮。この梅素麺がいちごなのではなく、雲丹と鮑を使ったお吸い物のことを指すらしい。それで、このお椀もお出汁をかけてもらって完成。

 

たぶん、この螺鈿のお椀は相当に高価なのだと想像します。いつも瞬時に蓋が下げられてしまうので、なかなか撮る機会がないの。

 

蓋の裏側も素敵でしょ。大ぶりのお椀なので、引っかけて落としでもしたら大変。今回、相棒のお隣の人が無造作に置いていて、ひやひやしたと言っていました。

 

元は浜辺で作る漁師めしだったいちご煮。だから、雲丹の形がなくなるまで下の鮑のペースとともにしっかり混ぜていただくのがセオリーとのこと。口もつけて飲み切ってくださいとのレクチャーどおりまぜまぜしました。大将にかかると美しく贅沢な一品に変身するのだ。

 

茄子春巻が登場です。素朴に見えるお料理ですが、今回のイチオシとも言えるのがこちらでした。

 

ウスイマメの春巻はホクホクのアツアツ。きっと丁寧に裏ごしして春巻に仕立てたんでしょうね。最後の振り塩の加減が絶妙で、めちゃウマでした。

 

さらなるヒットがこちら。京都加茂茄子の白味噌がけ白味噌をお出汁で薄めただけとのことでしたが、いやいや違うでしょ。企業秘密に違いないので掘り下げて尋ねていませんが、ヤマノイモと混ぜているかのごとく白味噌はトロットロのふわっふわ。

 

茄子の皮は剥いているとのこと。お出汁に漬けて下拵えしてあったのだけど、揚げてあったのか、焼いていたのかも不明。しっかりした食感だったな。思わず翌日、チャレンジしました。なんといっても、煮るんじゃなくてタレとしてお味噌を絡めるというところが気に入ったの。

 

精進料理4点は、お弟子さんが作っているはず。いつもなら箱膳に入れられてくるこれらですが、今回はこのまま。おひとり辞めて人手不足もあるかもしれないけど、たぶんこの日の3組の来店時間が微妙にずれていたので、段取りが大変だったからだと思います。いいよいいよ、ビジュアルはちゃんといつもどおりに変換して見ているから。

 

万願寺のじゃこ炒め煮

 

オクラとインゲンの辛子胡麻和えは、ピーナッツクリームのような和え衣でした。茄子と同じくちょっとした手間が大事ね。

 

トマトのお出汁にジュンサイは前にも一度いただいています。透明だけどトマトの味がはっきりとして、種に見立てたジュンサイがのど越しをつるりとして爽やか。いかにも夏のお料理。

 

赤干しぜんまいときゅうり松の実の白掛けと聞いたはずだけど、赤干しかどうかは不明。以前、あお干しぜんまいをいただいていたようなのだけど、こうなったらあお干しかどうか自信なし。まぁ要は干しぜんまいってことね。

 

枝豆もちょこっと出していただきました。いつもならガンガン日本酒を飲み進めているところだと思うのだけど、今回はまだかなり残っています。

 

最後は一色の大鰻。蒸していない関西風です。カリッとした皮目がいい。

 

タレは2種類用意されています。

 

餡かけのお出汁でいただくときには山葵おろしを合わせます。カリッとした皮目にはこちらの方が好み。

 

甘辛のタレには花山椒を合わせていただきます。タレの強さに花山椒が負けてしまってたかな。でも、蒲焼きとして考えるならこっちが正当。

 

ウスイマメとトウモロコシのご飯。一番乗りして残念なのは、炊き込みご飯が1種類になってしまうところ。

 

このふたつの取り合わせは色がきれいに出ますね。昆布はお出汁を取ったあとのものを煮てあるのかな。私もしてみようと思って冷凍中なのだけど。

 

盃で選んだと同じ6月のお茶碗。こういう細やかな気遣いもこのお店のステキなところ。

 

お味噌汁でお食事は終わり。またしても丁寧なお料理を楽しみました。お初の6月訪問は、

 

パイナップルのシャーベットにはメイヤーズラムと炭酸で

 

夏の絵がひとつ増えていました。花火や竜胆、桔梗があしらわれています。白い花はなんだろう?ウリ科の葉っぱに似ているので、夕顔かなと思うのだけど。これで四季が揃ったそうです。

 

最後にトイレも。ここのトイレは本当に最上級の仕様を入れているので好きです。

 

この液晶モニターも、トイレに入ってからくるりと回って表示される仕組み。

 

もはや、コース料金がいくらかもわからなくなっている茂幸さん。

コース×2+瓶ビール1本+日本酒(酒一筋+手取川)=48,000円(税サ込)

ボトルワインが18,000円と伝えているのを聞いたので、お酒も相当高くなっているのでしょう。好きなだけ飲むには、ちょっとお高くなりました。名だたるお店で修業されてきているので、先輩も後輩も活躍ぶりが著しいらしい。ここもきっと手の届かないお店になっていくのだろうなぁ。やがては手が届かなくなりそうです。

 

翌日は、炊き込みご飯のおにぎりのお土産をいただいての朝ご飯。ますます新たな境地を切り開かれているようです。

 

次回予約は既に満席の日も多く、またもやずっと先になりました。このペースなら気にせず通えるかもね。