東西に180m、南北に215mというディオクレティアヌス宮殿の城壁にある4つの門を見てきました。続いてはその城壁内をご紹介します。
なんといってもまずはメインのペリスティル広場から。
私は鐘楼ばかり撮っていて、本来は左隣に建っていた八角形のドムニウス大聖堂がメインのはず。
大聖堂は修復工事中だったこともあって、到着した日の夜に撮った1枚にちらりと写っているのみですが、もとは皇帝ディオクレティアヌスの霊廟として建てられました。
7世紀中頃に大聖堂に改装されますが、質素な外観とは違って内部は煌びやか。
鐘楼は高さ60mあり、階段で上がることができます。アドリア海やスプリトの街が見渡せるそうですが、あまりクーナへ両替したくなかったこともあってどこへも入場していません。
鐘楼の入口右にスフィンクスが見えます。これは皇帝がエジプトに遠征したときに持ち帰ったものだとか。
地下宮殿へ下りてみましょう。階段の上がペリスティル広場です。
お土産物といっても、えぇ?というようなお店が並んでいます。
誰か買うんでしょうかね?すっかり時代錯誤の気がするんですけど。でも、あちこちに地下宮殿だったとわかる雰囲気が残っています。
さすがに地下には人が住まなかったようで、ほかの場所のように窓として造り替えられている様子はありません。
一見するとお土産物屋さんがあるようには見えない宮殿地下ですが、青銅の門からすぐのところに、かつての地下宮殿が見学できる場所があります。
クーナを使いたくない娘に阻まれてしまいましたが、遺構が残っているのです。
地下ということで、ゴミ捨て場に使われていたという気の毒な地下宮殿ですが、そのおかげで当時の姿のまま残っているところも多いようで見てみたかったのですが、そうはいっても地下。スルーでいいよねということになってしまいました(笑
45HRK(760円)で入れます。
地下へ下りましたが、ペリスティル広場から上へ行く階段もありました。そちらへも行ってみましょう。
階段を上がると門があります。なにやら空間が見える・・・
中に入ってみると、まあるい空間が広がっていました。
上を見ると天井が抜けていて空がぽっかりと見えます。
当時ここがディオクレティアヌス宮殿の玄関として使われていた場所だそうです。当時は何層ものフロアに分かれて使われていたので、例えばアーチの上のガラスの入っているところは2階のドアで、ディオクレティアヌスが出入りしていたのだとか。
音響のよいこの空間ではクラッパと呼ばれるクロアチアの伝統芸能である男性のアカペラ合唱が聞けることもあるようで、午前中に通ったときはそれっぽい男性陣が描かれている看板が置いてありました。何時かにあるんだなと思ったのですが時間がわからず、戻ったときには終了後で看板はなくなっていました。
玄関を抜けて、入れなかった地下宮殿の面影を探してみました。
ここからは鐘楼の隣に八角形のドムニウス大聖堂が見えます。
壁を見ると、宮殿だった場所と付け足していった場所が混在しています。
見下ろすと庭がありました。おそらくこのあたりも地下宮殿の見学に行くとみられる場所と思います。
こちら側を見ると、宮殿を改築して住み始めていた人たちが、ゴミ捨て場に困って地下にゴミをため始めたというのがここなのかと想像できる場所があります。
それにしても地下2階まであるんですよね。
中世までは倉庫やワインやオリーブオイルを作るための作業場として使用していたようですが、人が増えるにつれゴミの処分に困っちゃったんですね。
でも、そのゴミに埋もれていたおかげで、こうしてすっかり姿を変えてしまった地上部分とは違って、当時のまま保存されていたというのですから、何が幸いするかわかりません。
掘り起こされたのは1956年といいますから、建てられた時期から考えるとまさに最近のことと言えるでしょう。
城壁だったのか宮殿だったのかもはやわからなくなった地上で、いまも手を加えながら人々が暮らしているというのは、なんとも面白い変遷を辿っていますね。
・・・まったく、煙突まで立てちゃって。
宮殿内はフラットではないので思いの外、複雑。ちょっと迷いながら楽しみました。
クロアチアでお定まりはやっぱり猫。ここでやっと撮らせてもらえました。
宮殿内の最後はこちらジュピター神殿です。
ディオクレティアヌスは自らを神の子と名乗り、ローマ神話の最高神ジュピターを父として崇めるために、ここにジュピター神殿を作りました。キリスト教一宗教ではなかったことに時代、皇帝崇拝を推し進めようとしたんですね。そのために、大規模なキリスト教迫害も行っています。
ペリスティル広場にあったドムニウス大聖堂は、スプリトの守護神聖ドムニウスを祀っていますが、この聖ドムニウスはそのキリスト教迫害で命を落とした人物です。
のちにその怒りをかって、ディオクレティアヌスの霊廟からキリスト教の大聖堂に改装されましたが、こちらのジュピター神殿同じようにキリスト教の洗礼室にされちゃったたというのは、因果応報っていうんですかね・・・
さて、この洗礼室のそばにLet me pass streetと呼ばれる細い道があります。
ほら、ここです。
私も通してちょうだい、ということでLet me pass streetという名がついているそうですが、世界で最も狭い道のひとつとして親しまれています。
逆側から見るとこれ。さぞ細く見えるでしょうが、平均的な日本人であればまったく気になりません。事実、はじめに通ったときは何も思わずに通過しており、あとでそういえば!と思い出してやってきたぐらいです。
私も通して~なんて言わなくても、こうしてじゃんじゃん無人のまま写せたのはシーズンオフだからなのでしょう。ほとんどの人が気にも留めずに通行していたので、観光名所もシーズンによって変化しちゃうんだなぁと思いました。
スプリトの観光もあとわずか。宮殿の外へ参ります。