2021年(令和3年)10月
緊急事態宣言が解除されたので、47都道府県コンプリートの最後の県となる青森を制覇しにやってきました。前回は絶景の秘湯、黄金崎不老ふ死温泉をご紹介しました。
不老ふ死温泉から世界自然遺産白神山地へやって来ました。白神山地は1993年に法隆寺、姫路城、屋久島とともに日本で最初に日本で世界遺産に登録されました。手つかずのブナの自然林が選ばれた理由ですが、本来ブナは生息地が広く、日本では北海道南部から九州まで分布しています。
ブナという字は橅と書きますが、その名の由来は「使い道が無い木=橅」なんだそうです。それゆえ、各地のブナ林は生産性のある杉などの人工林に次々と取って代わられていったというわけ。白神山地は地盤が弱く、冬は半年も雪に覆われているために手つかずで残りました。
白神山地へアクセスするルートはいくつかありますが、メインは弘前からアクセスする暗門滝や樹齢400年以上というマザーツリーになると思います。でも、車がない私たちでは、拠点となる西目屋村へその日のうちに行くのは不可能でした。しかも、うまくいったとしても1泊2日では他にどこへも行けません。そういうわけで、JR五能線からアクセスしやすい十二湖に行くことに決めたのです。
十二湖散策の拠点となる奥十二湖駐車場バス停に到着しましたが、観光客は不老ふ死温泉から乗ったメンバーだけでした。もっと十二湖駅やアローネ白神からも乗ってくるものとばかり思っていたのに拍子抜け。下車後も森の物産展キョロロに荷物を預けに行く人など三々五々に分かれてしまい、どっちへ向かえばいいのかいまひとつわかりません。駐車場の係の人に聞いて、ようやく歩き始めました。
メインの見学箇所は青池です。白神山地ビジターセンターのHPから、十二湖のうち青池を含めた3~4ヶ所を見て回って90分というコースを調べていました。
歩き始めるとすぐに美しい鶏頭場の池(けとばのいけ)が見えました。ここまで来るとガイドさんと散策する人など数組のハイカーがいたので一安心です。
標識を確認して青池を目指しましょう。
ブナ林の遊歩道は分かりやすく、青池に向かって誘導してくれています。
見上げると青空にもみじが映え、美しい。11月の今ごろであれば紅葉していて人出も増えていることでしょう。
こちらは木に添って上のまで枝を伸ばしているアジサイ。花の季節は終わっていますが、枯れた花が見えます。
鶏頭場の池(けとばのいけ)もまわりの木々の色を映し、緑が映えて美しい。
少し角度を変えると湖面の色も違って見えるので、飽きることなく楽しめます。
青池に到着しました。上から鑑賞できるようにテラスがつけられています。
まだ美しい青になるには、時間が少し早いようです。時間によってまったく色が変わるようで、もう少し待っていればまた違った青色になったことでしょう。今は藍色です。
木々から漏れる光を入れると、さらに藍色は濃く見えます。観光客が多ければゆっくり眺めていることもできないほど小さな池ですが、緊急事態宣言が明けたばかりだったので、このときは10人もいませんでした。
青池から先は、さらに奥にある十二湖を回るコースや登山道などに分かれ、どの道を行けばいいのか少し迷います。
見渡すと現在地を示している標識がありました。
最短で回る私たちは沸壺の池を目指します。このあたりから、なんとなく迷い込みそうな道になるので、特に天気が悪いときは注意です。
それでもブナ林は、8月に屋久島へ行ったときに回ったヤクスギランドに比べると、ぐんと明るくて健康的な林という雰囲気があります。ヤクスギランドは引きずり込まれそうな力を感じましたが、こちらにはそういう怪しさはありません。
ブナの木の特徴は、上部で大きく枝分かれするところだそうです。太陽の光をいっぱい受けられるよう、枝も葉も空へ伸ばしています。
下から見上げたときに空がすっきり見えるのは、下の方から枝が分かれていないからなのでしょう。杉とはまったく違います。
洞になった木もありますが、ヤクスギランドで見られるように苔で地面が覆われているということがありません。
気になる植物もいくつも見つけました。
すでに実がついている状態なのか、まだつぼみでこれから花が咲くのか気になります。
こちらは調べるとマムシグサらしい。誤って食べると口の中がしびれる毒性があります。この手の実はサトイモの仲間。
そいういえばヤクスギランドでもよく似た植物がありました。あのときはクワズイモという説明を受けましたが、クワズイモの葉っぱは傘代わりにしたいほど大きくて丸いので、たぶんこれもマムシグサでしょう。少なくともサトイモ科テンナンショウ属の植物だと思います。
キノコも発見しましたよ。
舞茸のような形状ですが、この明るい色はちょっと怪しいですよね。こんなにきれいな色は、きっと食用にできないキノコだと思います。でも売り物になりそうなぐらい大きくて立派だし、ちょっと食べてみたくなります。
さて。沸壺の池に到着しました。この池は青池よりも明るいエメラルドブルーが特徴です。
十二湖は本当は大小33の湖沼群で成り立っているのですが、上空から見たときに十二湖見えたからそう名付けられたという説が一般的なようです。いずれにしても、どれも美しい水を湛えた池なので、池を見つけるたびにテンションが上がります。ここの池もプランクトンが少ないため朽ちた木が腐敗しにくいので、倒れた木が池の中でそのまま沈んで横たわっているのが見られました。
沸壺の池を過ぎると、あっけなくハイキングコースが終わり車道に出てきました。かなりのんびり歩きましたが所要時間は45分。出たところに沸壺池の清水があります。
沸壺の池から湧水を引き、水汲みスポットにしているのだそうです。
沸壺池の清水は環境省選定の平成の名水百選に選ばれています。そばにある十二湖庵(このときは休業中でしたが)では、この清水を使ったお抹茶がいただけるようですよ。
車道に出てしまいましたが、バスまではあと1時間20分あります。ハイキングコースへ戻るのもいいのですが、所要時間がわからないので車道を歩きながら十二湖を眺めて歩くことにしました。・・・そこで、私の欲が出ます。
次回記事はこちら。