2023年(令和5年)8月10日(木)
去年娘が旅行したアイスランドを訪ねる夏の旅。前回はレイキャビクで宿泊したSAND HOTELの朝食の話を書きました。
いよいよアイスランド南部クラシック観光ツアーの始まりです。娘は遠くの氷河湖まで行っているのですが、それは英語ツアーしかありませんでした。そこで、娘が送信してくれたふたつの主な滝が見られ、日本語オーディオガイドのついているツアーを選択しました。
ツアー開始です。アイスランドのだいたいこんな感じです。森林は国土の1.5%しかありません。9世紀に入植が始まったころは30%ほどを占めていたそうですが、家を建てるために木を伐り、木を切って暖を取り、炭を燃やして鉄を造り、使い果たしてしまったそうです。
苔で覆われた大地の上に温水を運ぶ配管は張り巡らされているのが見えます。溶岩は多孔質であるがゆえに、雨水を吸収し地面へ通します。長く乾燥が続いたあとでも育つ植物は数百年もの年月をかけて育つ苔しかありません。ほんの少し覆われているように見える苔でもはるか昔から育ってきた苔なのです。だからブルーラグーンでも苔を踏まないようにと注意書きがあったのですね。
もともと私はアイスランドの大地はこんなイメージでした。牛や馬が放牧されていたり、広大な耕作地があったり。でもそういう場所はそう多くありません。火山灰に覆われ、年中強風の吹く大地で耕作できる土地は限られているし、ましてや森林の復活はとても困難なのです。自然エネルギーの活用をしているアイスランドですが、この200年間での環境汚染問題は深刻な状況だそうです。一刻も早くこの状況を食い止めるため、植林活動に熱心に取り組んでいます。
川を渡り人口7,000人ほどが住むSelfoss(セルフォス)の町に入ります。アメリカ人天才チェスプレーヤー、Bobby Fischer(ボビー・フィッシャー 1943-2008)をご存じの方はいらっしゃるでしょうか。彼は冷戦下にロシア人プレーヤーに勝利して、アメリカ史上初のチェスの世界チャンピオンになりました。しかし、政治的に問題発言や問題行動があり、アメリカ国籍を剝奪されています。その彼が世界各国で10年に渡る隠遁生活のあと、国籍確保の人道支援に働いた国のひとつがアイスランドで、生涯を閉じたのがSelfossなのだそうです。このあたりで雨が降ってきました。
アイスランドの大きな町はほとんどの場合海辺に面しており、たいてい漁業が行われていますが、Selfossはアイスランドの中でもっとも肥沃な土地のため、大きな農業生産のサービスセンターがあります。
この地域はアイスランドで畜産がもっとも盛んな地域で、農業の中でとても大切な分野となっています。ただ、夏の短いアイスランドでの農業はほとんどの植物が成長するには時間が足りず、家畜を育てるほかは牧草づくりに精を出しています。
この地域が本格的に発展をし始めたのは、川の上にちゃんとした橋が架かった20世紀以降のことだそうです。氷河期は海底だった場所で栄養素やミネラルも豊富なのに、気候だけがネックなのが困りもの。でも、アイスランドの冬の気温はメキシコ暖流のおかげでそこまで寒くありません。
2時間走ったところで、Hvolsvöllur(クヴォルスヴォットゥルル)に到着。トイレ休憩のほか軽食を購入して、目的地へ向けて再出発です。
ところで、アイスランド人の起源の説明がありました。アイスランドは870-930年頃に、ノルウェー人とアイルランド人が入植してきたと言われています。最近の研究によるとノルウェー人:アイルランド人= 8:2、性別で見ると女性が 4:6 なので、合わせると6:4です。彼らは、牛・羊・馬・豚・山羊・犬・猫なども連れて入植してきており、アイスランドに元から住む動物は北極ギツネぐらいだそうです。
少し走ると川の河口に差し掛かりました。黒い土に驚き。向こうに見えるのは沖合に浮かぶVestmanna(ヴェストマンナ)諸島です。16.3㎢という面積に対して4,200人ほど住んでいるので、案外人口が多めかなと思います。
さて。第一の目的地に到着しました。Skógafoss(スコゥガフォス)の滝です。foss=滝なので、スコゥガ滝の方が正しいかもしれませんが、まぁいいや。爆音が聞こえテンションが上がります。晴れているのも嬉しい。アイスランドは天候が変わりやすく、雨であっても10分待てと言われるほどだそうです。
多くの人がダウンジャケットを着ているのがわかるでしょうか。バスの中では下も防寒パンツを履き足しているご夫婦もいたほどだったので、薄いダウンとジャケットだった私たちはちょっと焦ったのですが、そこまでは寒くなかったです。
とはいえ短パンの人もいますが、頭はしっかりフードを被っているので、これでは寒かったはず。そんな気温でした。
落差65mの滝。大迫力です。切り立つ断崖から流れ落ちる滝ですが、かつてこのあたりまで海だったそうです。
スマホ片手に滝ではなく、左手を撮る人たちが多数。
ええ、これです。ダブルレインボー。幸運が舞い込んでくると言いますよね。どうぞそうでありますように。
そしてその上を見ると、切り立つ岸壁の上に羊!!!白い小さい姿が見えるでしょうか。
滝を見たあとは、皆が右側へ歩いて行きます。
上へ上がると展望台があり、そこから滝の姿を見ることができるのです。50分ほどの自由時間ですが、間に合うかちょっと自信がありません。でも、行かなくちゃね!
ほら。展望台はあんな場所にあるんです。滝が間近で見られる。
さぁ、スタートです。上へ上がる道は階段がありよく整備されていました。
それでもずっと続く階段を上っていると身体も温まり、Tシャツ姿になっている人もいました。
階段の途中で滝の方を見ると、あんな位置に虹が見える!見る場所が違うと虹も違うところに見えるのね。
振り返ると駐車場、そしてその向こうは海です。
左側にはぽっかり山があります。娘はアイスランドの印象を壮大だったと言っていましたが、小さな国だからいまひとつイメージが湧きませんでした。でも、まさに壮大な風景。
展望台まで上がってきました。多くの人が上っていると思っていましたが、案外混雑していません。
そして、足元に虹が見えます。澄んだ空気と滝と。これ以上のコンディションはないというスコゥガフォスの滝。テレビCMや映画でもよくここは使われるそうです。
地元の言い伝えによると、この滝の後ろには黄金で満たされた宝箱があるそうです。昔3人の兄弟がその宝箱を見つけ、取っ手を見つけて握り協力して引っ張ると、その取っ手だけが外れてしまったそうです。そしてその取っ手が、この近くの民族博物館に展示されているそうな。
上から見てもダブルレインボー。ブラボー!大満足です。
滝の落ちる手前まで、もう少しだけ進みましょう。
ナイアガラの滝でも思ったことですが、上から見るとさほど迫力があるようには見えないんですよね。防護柵もロープを少し張っているだけで簡易です。
これでスコゥガフォスの滝の見学はおしまい。でも、何度も何度も振り返って堪能しました。
アイスランドの山は、こうしてまったく木がありません。どこへいってもせいぜい牧草地程度の緑があるだけ。
下では馬が放牧されていました。そういえば娘は馬とも写真を撮っていたな。
スコゥガフォスの滝を離れ、次の地を目指して出発です。