英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【アイスランド】南部ツアー 氷河見学ソゥルヘイマヨークトゥル

2023年(令和5年)8月10日(木)

 

去年娘が旅行したアイスランドを訪ねる夏の旅。前回は南部クラシック観光ツアーで立ち寄ったVik村でのランチの話を書きました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

ランチは14時ごろから1時間ほどだったので、次の目的地に到着したのは既に15時半。日没が22時という夏ならではのスケジュールかもしれません。

 

Sólheimajökull(ソゥルヘイマヨークトゥル)に到着しました。jökullとはアイスランド語で「氷河」のこと。奥にちらりと氷河が見えます。

 

ここからは各自で氷河エリアまで歩いて行っての観光。15-20分ほどの道のりです。

 

こんな晴れ渡った空の下に氷河というのは妙な感じ。まわりの山にも雪がないし、決しては暑くはないけれど、凍えるように寒いわけではないのに氷河があるとは。

 

アイスランドは国土の11%が氷河におおわれていますが、このソゥルヘイマヨークトゥルはその中で4番目の大きさです。※ちなみにこのカタカナは難読なアイスランド語なのでいろんな表記があるのであしからず。

 

ソゥルヘイマヨークトゥルはMýrdalsjökull(ミールダルスヨークトゥル)という大きな氷冠の出口に当たる部分を指しています。氷河の出口はいくつかありますが、幹線道路から近いということで人気のスポットとなっています。

 

氷河ってもっと真っ白のイメージがありましたが、えらい黒いんじゃないかい?

 

案内板には温暖化による氷河の後退や、カトラ火山の話などが描かれています。火山国のアイスランドでは平均して5年に一度どこかで噴火が起きると言われています。

 

ここが最終地点かしら?ロープが張られ、展望スポットとなっています。この氷河は、降灰の後に降った雪がそのまま氷河となり、氷河の中に灰の層が閉じ込められて黒くなっています。何重にもなった黒い筋は過去に起こった火山活動を物語る貴重な役割を果たしています。

 

融けた氷河が川を為しています。

 

多様な形を作り出す氷河ですが、気温が高い夏には少しづつ融けていきます。近年の気温上昇により、夏に氷河の融ける量が冬の積雪量を超えてしまい、氷河の大きさは年々小さくなっています。

 

ロープを越えてさらに下っていく人たちがいるので、私も先へ進んでみました。

 

さらに10分ほど歩いて行くと、これより先は装備がないと危険だという看板があります。でも夏の今は氷河も後退しているためか、まだまだ先まで氷はありません。ただ、雨天時などによっては危険な区域になるようです。

 

ツアーに参加しない限り氷河の上を歩くことはできません。

 

いくつかのグループが氷河ウォークに向けての準備中でした。ソゥルへイマヨークトルでは、これまでにも負傷者や死亡者が出ており、適切な装備や訓練なしに氷河を登ることは禁じられています。

 

ヘルメット、アイゼン、ハーネス、ピッケルなどを装着し、氷上での基本的な歩き方などのレクチャーを受けているところ。ルールに則って歩けば安全なアクティビティで、8歳程度の子どもから参加可能です。

 

氷河の上には、かすかに歩いている人たちが見えます。そう厚みもないように見える氷河ですが、あの人の小ささを見ると思った以上に分厚い層であることがわかります。ツアーに参加すると、大きな割れ目であるクレバスや、ムーランという竪穴など、様々な表情を見ることができるそうです。

 

アイスランドの氷河には真っ白のものや、ブルーに光る氷の洞窟など様々なものがあるので、どんな氷河をチョイスしているツアーなのかもチェックしたほうがいいかなと思いました。地層と同じように、この黒い層が含まれたここに惹かれるならば、これもまた興味深いものですけどね。

 

火山灰のためにブラックサンドビーチと同じく河川の土も黒いです。

 

戻っているときに、ふと下の方に案内板が見えました。なんだろう?注意喚起?

 

ほら、これです。気になる・・・

 

降りてみると、2010年から2019年までの調査の様子で、氷河がどれぐらい後退しているかが記されていました。

 

この調査は地元の小中学生などによって始まり、隣の手書きのボードには2022年は「763m」と書かれていました。

 

悲しいことに、アイスランドの他の氷河がそうであるように、ソゥルヘイマヨークトゥルの氷河も急速に縮小しており、数十年以内に消え去る可能性があるようです。

 

駐車場まで戻ってきました。ツアーの受付はこの建物で行われているようですが、シンプルな造りのためか、人の気配は感じませんでした。当日受付ができるかどうかは不明です。まぁ人口からもわかるとおり、どことも人が少ないからね。

 

再び出発です。ソゥルヘイマヨークトゥルが氷河の出口であることがわかりやすいショット。

 

ソゥルヘイマヨークトゥルの隣にあるEyjafjallajökull(エイヤフィヤトラヨークトゥル)はこれかな?2010年に噴火し世界中の航空界に多大な影響を与えた火山です。その標高1,666mは70万年前から氷冠が覆っており、滅多に噴火することはないのですが、直近の噴火は北東ヨーロッパにまで火山灰をまき散らし、ヨーロッパの空域の大部分が閉鎖され、大混乱を引き起こしました。

 

午前中に観光したスコゥガフォスの滝は、そのエイヤフィヤトラヨークトゥルの南側に位置しています。幹線道路から見えたんですね。左奥に氷河がちらりと見え、この滝が氷河からもたらされた雪融け水であることがわかりやすい景色です。

 

そして、スコゥガフォスの滝から流れる水が川となり、このあたりの牧草地を潤しているのでしょう。それにしてもかっこいい滝だわ~

 

Eyjafjallajökull(エイヤフィアㇳラヨークトゥル)の噴火時は、地元の農家にも多大な被害をもたらしました。氷河湖決壊洪水によって冠水し避難を余儀なくされたり、至るところに火山灰が降りかかって家の屋根には数インチもの火山灰が積もり、酷いときにはその重みで屋根が陥没したそうです。また、火山灰に含まれた高フッ素化合物は家畜の毒にもなるので、家畜はすべて建物の中に退避させられ、出荷にも影響を与えました。

 

それでも氷河は融けなかったと記録されているので、いかに温暖化が地球にダメージを与えていることかということですね。隣にはカトラ火山も眠っており、この火山が噴火したときにはさらに大規模な被害が予想されるそうです。