英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【スペイン】世界遺産城塞都市クエンカ「クエンカ大聖堂」

2024年(令和6年)1月2日(火)

 

年末年始、ルクセンブルクを皮切りにヨーロッパ10日間の旅行です。今は2ヶ国目のスペイン滞在中。前回は世界遺産の城塞都市クエンカのスペイン国営ホテルのパラドールでの食事について書きました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

翌朝、クエンカ大聖堂の見学に出掛けます。クエンカ大聖堂は1196年に建築が始まり1257年頃に大部分が完成したスペイン最古のゴシック建築のひとつです。その後も改築が繰り返され、未完のままとされています。前夜に見た印象的なファサードも落雷で損傷し、20世紀初頭に再建されています。

 

10時ちょうど、扉が開きました。オンラインで予約しましたが、他の大聖堂の予約とは違って時間の指定はありません。入口でもプリントアウトした予約票を見せるだけで、QRコードを読み込むなどのチェックはありませんでした。スペイン語と英語のガイド用QRコードがかかれた案内図をもらって入ります。

 

側廊を歩きます。高さのあるアーチの梁が続き、荘厳な雰囲気を醸し出しています。今まで入ってきたカテドラルとは、趣きが少し違うように感じました。

 

クエンカの歴史は9世紀にイベリア半島を支配したイスラム教徒が築いた要塞から始まっています。確かイスラム教は、アラビア半島からアフリカを経てイベリア半島へと広がっていったはず。広場に騎馬像があったカスティリャ王国のアルフォンソ8世がレコンキスタ(イベリア半島キリスト教徒の手に奪回する運動)に成功したのが、1177年のことです。

 

ステンドグラスは黄色やオレンジ色などを基調とした箇所が多くあり、黄金色に輝く光が温かみを添えていました。

 

回った順番とは少し違うのですが、主祭壇からご紹介していきましょう。

 

ステンドグラスの色が映える主祭壇。ステンドグラスはブルーを基調としていることが多いですが、暖色を基調としたことで光り輝くように見えるところが特徴的です。

 

美しい彫刻が施され、そのまわりも金色で縁取られています。

 

主祭壇上部のステンドグラスも暖色なので、金色がさらに輝きを増すのだと思いました。

 

主祭壇と相対した位置には、ある美しい彫刻などで装飾された木製の座席で占められた区域があります。調べてみると、クワイ(quire)と呼ばれる聖歌隊席で、聖歌隊メンバーは礼拝のあいだここで着席、起立や跪いたりするのだそうです。

 

クエンカ大聖堂では、パイプオルガンがクワイヤの上部に設置されていました。

 

飛び出たパイプは見た記憶がありません。もっと高いところに据えられていることが多いのと、内部の暗さで気づかなかっただけでしょうか。

 

クワイヤから見た主祭壇。今回はクエンカ大聖堂の見学がかなり開放的だったこともあって、教会内部の造り方がとても気になりました。

 

開放的だったというのは、案内図にもわかるように側廊にある絵画や彫刻などがほぼすべて見られたことにありました。この箇所を何と呼ぶのか、何の役割なのかよくわからなかったのですが、ほとんどすべて「Chapel」と書かれているので、礼拝堂なのでしょうか。

 

どういうことかというと、側廊には壁に沿って扉のついた小さな部屋がずらりと並んでいるのです。

 

中へ入ると宗教画だったり彫刻だったりが、こうして展示してあります。

 

これなどは、下に石棺のようなものがふたつ置かれていており、誰かが祀られているような雰囲気でした。

 

側廊の内側にも同じようは部屋があるのですが、この大聖堂のコレクションなのか、その時代の権力者が造らせたのか、まるで競うかのように豪華な装飾が施されています。

 

特に印象的だったのはこちらの小部屋。入口の総称も凝っていますが、中へ入るとさらに驚きます。

 

絢爛豪華な正面の装飾。リブ・ヴォールト天井も華やか。でも、真ん中に置かれたテーブルの上を見てください。

 

これです。もしやキリスト像?でも、怖すぎるんじゃなかろうか・・・テーブルの上に上半身だけがあるのよ。妙にリアルでビビったわ。

 

こちらの絵画も異色ではなかろうか。描かれているのはキリストに間違いないと思うのですが、えらいマッチョやん。私のイメージは細身なんだけど。

 

見学経路に沿って置かれたものもありました。黒人が含まれているので、東方三博士の礼拝のシーンなんだろうか。

 

小部屋というよりは、区切っただけのような空間もありました。

 

ここも絵画などが掲げられています。どう見ても、後から据え置かれたものでしょう。でも、このあと見学した他の大聖堂でも、同じような位置に絢爛豪華な装飾が施されているのを見ています。教会の力を示すものとしてなのか、時の王の力を示すものだったのか。

 

小部屋だけではなく、主祭壇のある身廊の奥に位置する半円の箇所は、造りによって後陣といったり内陣と言ったりするようで、私にはいまひとつ理解しきれません。もし内陣というなら、その半円の通路は周歩廊と言うらしい。ここにも壁や柱に様々な装飾がありました。

 

どれもこれも、これでもかというほど金が多く使われていて、まさに教会を装飾するためのものに見えます。

 

天井もかつて装飾がされていたのか、中断したままなのか、絵が描かれていた痕跡が残っています。

 

その内陣にもいくつか小部屋がありました。もっとも小さい扉は階段を数段降りる造り。

 

階段を降りると、扉の向こうにきちんとした部屋があるようです。

 

入ってみるとまさに礼拝堂。ここでミサも行われるかのような造りですが、教会の中に教会?

 

天井の装飾は複雑な木造り。こういった複雑な天井は、アルハンブラ宮殿っぽい。

 

礼拝堂の近くにはキューポラ(半円形の天井)がある部屋もあります。イタリア語ではクーポラだったかな。

 

この部屋です。ブルーのステンドグラスが美しい。

 

でも外観にドーム状の塔は見えなかったんだよね。外から大聖堂を見ると、正面を除いては側廊から飛び出た部屋が継ぎ足されたように建っているし、狭い通りに面していて、およそ教会とは気づかない造りなの。

 

でも、画像を探していくとサン・パブロ橋から見たクエンカ大聖堂がありました。工事中の建物の右側がクエンカ大聖堂です。増築が繰り返され、いくつも小部屋があるのもなんとなくわかるでしょうか。そして正面左には間違いなく塔が見えていますね。

 

身廊の側面からは地下への階段がありました。石棺が置かれていたり、納骨堂だったりすることが多い場所のような気がするんだけど。

 

でもここはイコンの展示室になっていました。

 

これなどはロシア正教会のイメージ。塔の上には十字架ではなく、複十字でもなく、さらに1本足されたこれはなんだろうと調べたら、ビンゴ。八端十字架と言って、ロシア正教会ウクライナ正教会のほか、スラブ系教会でよく使われる十字架でした。

 

宗教には疎いけれど、こういう雰囲気って私の中では正教会。なんとなく中東色も感じられるような、というか。

 

いずれにしても、クエンカ大聖堂と東方正教会とは宗派が違うので、この展示はなにを意味しているのかを知れたら興味が深まりそう。カトリックではなかった時代があったのかな。

 

隣の部屋はルネッサンス以降の絵画かな。あとで振り返るほどに深く印象が残っているクエンカ大聖堂、じっくり回ったつもりが30分で退出していました。このように側廊から部屋がある造りは、ポーランドへ行ったときクラクフヴァヴェル大聖堂で見ています。あそこは歴代国王の墓廟の増築だったと思うので、目的は少し違うかもしれません。

 

もうひとつ特徴があったのは中庭。スペインで見た大聖堂は、たいてい中庭がありました。他の国でどうだったかは、そこまで興味を持って見ていなかったのでわかりません。でも、スペインの家は暑さから守るために中庭があることが多いので、地域的な特徴かな。

 

最後に通るのが最後の晩餐のシーン。ここでも、思いのほか12人の使徒はみなさまマッチョ。私は裏切り者のユダぐらいしか知りませんが、どれだろう。

 

ひとり後ろを向いている人かな。じっくり眺められるとよかったのですが、思いのほか高い位置にありました。

 

ほら。右側のカウンターにスタッフが座っているので比べてみてください。場所も高いし、作品もかなり大きなものでした。やっぱり、ひとりでこっちを向いているのがユダだよね。どなたか詳しい方がいらしたら、是非教えてください。

 

観光地のひとつとして、とりあえず入っているだけの教会ですが、クエンカ大聖堂は側廊も充実していて、なかなか見応えがありました。チケットも5.5EUR(883円)とそう高くありません。おススメです。