2022年(令和4年)4月
かねてから行きたいお店のひとつだったジビエ料理のお店、たでの葉。予約が困難なようで二の足を踏んでいました。それでもこのご時勢、ちょっとでも気持ちの明るくなることをと思い重い腰を上げたものの、いざ調べて見ると電話は通じにくいそうで、有料の予約サイトOMAKASEを通したほうがよさそう。でも、ここを通すと手数料1席390円かかるんだ。交通費でも嫌なのに、予約手数料って、なに。しかも、このお店の場合は予約開始日が設定してあり、7-10日分程度しか開放していないみたい。最大座席数は13席。ハードル高し。こうなったら一度予約して、次回以降は帰りに予約するという方法が良さそう。
満を持して、予約開始のその日12時にログインしてみると、あっというまに席が埋まっていく。あっちゃ~ 初回利用だったので、クレジットカードの登録をしていなかった私は完全に出遅れ。しかも5月の予約は蕎麦ランチのみで、夜はそもそも枠がありませんでした。
蕎麦ランチは山菜とツキノワグマのしゃぶしゃぶ付き8,500円、魅力があるようなないような。うーむ。何度もポチッと押しかけては止めてを繰り返し、結局断念しました。だって、せっかくのジビエ、もっと食べたいもん。
数日後、なーんとなくOMAKASEサイトを見ると、なんとランチに空きがありました。直前のキャンセルだったのでしょう、その週末の空きです。しかも、4月は蕎麦ランチではなく夜と同じ16,500円のコース。行く行く!!!速攻でポチしました。
表参道駅からエイベックスのビルの前を通り、徒歩9分(外苑前からは徒歩4分)。ここ、感染症の影響でイベントが開催できず、建ててたった3年で売却せざるを得なくなったのよね。でも、これは帰りの画像です。いつまでたっても東京の地理には明るくないので、地図アプリで確認したにもかかわらず反対方向へ歩いていました(汗
お店は外苑西通りに面したビルの2階にあります。思いの外、見つけやすかったので助かりました。でも、夜だったらちょっと難しいのかな。
階段を上るときに、同じ行先と思われる女性がひとり。おお!3分前でしたが最後ではなかったのね。ホッ。
2階は2店舗入っていて、左側がたでの葉。押すのか引くのかちょっとわかりにくい入口です。初回は緊張しているしね。
店内・・・おお~!!!これこれ。囲炉裏を囲んでコの地型にカウンター。既に筍が火にかかっていて、出番を待ち構えています。こんなに大きい筍、いったいいつから焼いているんだろう。
店内はあと1組を残すのみ。おひとりさま2人を含み、総勢12名がこの日のメンバーです。リピーターの方はそのうち少なくとも3組。カウンターの右の奥に本日の食材が用意されているのがちらりと見えます。
各座席には違った文言のシートが置かれています。織部の箸置きも気になる。そしてこのお箸、先が細くてすごく使いやすいです。
日本酒を楽しみにしてきたのですが、実はこのあと歯医者の予約がありました。しかも、麻酔をすると決まっています。アルコール、あかんのちゃうん?
相棒に指摘されるまで、そんなことにまったく気づいていなかった私。でも、アルコールなしに食べられるわけがない。ビールをちびちび飲むことにしました(涙
前菜は小鉢で出てくることもありますが、今回は山菜です。4月下旬から1ヶ月ほどが山菜の旬なので、たぶんこの時期限定。
上段 ぜんまい酢漬け、アケビの新芽、虎杖(イタドリ)西京漬け、ホタルイカと蕗味噌
中段 山三つ葉、ホンナ、シドケ、雪笹
下段 シャク(山人参)、アイコ(ミヤマイラクサ)、独活の含め煮、オカジュンサイ(スカンポ)
地味な料理ですが、丁寧な下拵えとまったく違う食感の山菜が並んでいてどれも楽しい。ホタルイカと蕗味噌はテッパンとして、特に気に入ったのは虎杖と、あとどれだったかコリコリした触感のものがあったんだけどな。名前を見るだけでも興味津々の山菜ばかりですよね。秋田県由来のものが多かったように思います。
山菜の違いを楽しんでいる向こうでは、次の準備が進められています。炭火焼で魚が食べられるなんて、幸せ。憧れの調理法です。さぞ美味しいことでしょうよ。
熊本県産ヤマメ。頭と尻尾を持ってかぶりついてくださいとのレクチャー。ワイルドにいっていいのね。カリッとふわふわ。魚はもともとそんなに得意な方じゃない私でも、一気に大ファン!
炭火焼だけと思いきや天婦羅も登場、タラの芽。奥入瀬渓流へ行ったときも買いましたが、大好きな山菜です。
こちらはお初かも。タラの芽にも似たハリギリ。落葉広葉樹の大木で30mに育つものもあるようです。開くと楓のような葉ですが、食用は若芽を摘んでいただきます。とことん山菜のオンパレード。
飲まずに食べ進めるの、無理だよね。少なくとも相棒に制約はないのです。赤ワインはボトルで11,000円~ でも、ひとりだときついよね。
白ワインなら、匂いもマシなんじゃ?いや、そうじゃなくて麻酔前でしょと思いつつ、予約は夕方。まだいいやん・・・
2杯だけと心に決め、チビチビといただきます。スタッフさんには注ぐペースに気を使わせないようその旨を伝え。そういえば今回、日本酒を飲んでいる人は皆無だったような。ボトルワインは私たちを含め3組。


お初の食材、すっぽん、手前が肝。山椒でいただきます。ちょっと苦手かもという先入観がありましたが、淡白で抵抗のない味。牛・豚・鶏と比べるなら、鶏肉に近いかも。骨付きだけど身離れがよく、食べにくくはありません。
食べ終えたあとがこちら。複雑な形だけどきれいにいただきました。鶏肉に近い味かなと思ったところで脳内変換されていたので、これを見てもどの部位だろう?などと想像しなかったような。
到着時にはすでに焼き始めていた大阪産の筍が登場しました。どこで採れるんだろう?メモを頼りに調べたら、たぶん木積(こつみ)だったかと思います。大阪南部の貝塚市で希少筍として出回っているようです。炭火焼から想像していたよりも、あっさりした味。茹でるのとは違う、ほっくりとした出来です。
さんざん事前調査した中で、食べてみたかった食材にどうやらありつけそうです。う、うれしい・・・
静岡県三河産鰻の筒焼きです。焼いたあとに骨は抜いてサーブしてもらえるので、食べやすいです。カリッとした表面にふわふわの身。関西風に焼くでもなく、関東風に蒸して焼くでもなく、開かずに焼くので、もうふわふわ。かば焼きとはまったく違う。
ジビエに突入です。蝦夷鹿のフィレ肉。ホースラディッシュの醤油漬けでいただきます。お隣の方がここのジビエ料理は本当にクセがないんだよ、としきりに感嘆しています。他国でいただくともっと獣臭が強いのだとか。いえいえ、ここではまったく感じません。
ひときわワイルドな肉の登場。鹿ときたら、次はあれですよね。
炭火焼の香ばしさが一層映えるはず。直接火にかざして脂を落としていきます。
焼き上がったのがこちら、熊本県産猪を粒マスタードで。これは私的にはもう少し焼きが強くてもいいかな。
最後の食材を披露していただきました。ツキノワグマです。そしてなんと一緒にしゃぶしゃぶするのは花山椒!!!代々木上原の茂幸で大感動した花山椒のしゃぶしゃぶを、次はツキノワグマでいただけるんです。
ツキノワグマと花山椒の鍋。花山椒のしゃぶしゃぶって、どうしてこうも美味しいんでしょう!!!熊肉はどこかで食べたことがあるような気がするものの、定かではありません。きっとジビエならではのクセもあるでしょうにさっぱり仕上がっていて、美味しいなんていう言葉では足りない。
しかも、しゃぶしゃぶしたあとのお出汁にとろみをつけています。なにが始まるんだろう?
とろみをつけたお出汁がどうなるかは謎のまま、ご飯が披露されました。炊き込みご飯は、コシアブラ、蕨、根曲竹(ねまがりたけ)、タラの芽です。
山菜づくしの贅沢な味。なかなかめぐり会えない取り合わせ。感動です。
お代わりはいかがですか?と声がかかりました。そう、さっきのしゃぶしゃぶのあとのお出汁は、このときに出してもらえるのです。コクはあるけどクセはありません。至福の一品。
さらに手打ちそばが続きます。お蕎麦大好き。
この蕎麦猪口は・・・見覚えがあります。澤 克典の作と思われ。印象的な絵付けでもなければ、作家さんなんぞ私には覚えられませんが、他にもむむ?と思う食器があったので、きっと詳しい方ならご存じなのでしょう。
薬味の豆皿もかわいい。
最後はいちご大福でシメです。お抹茶の前に食べなくちゃいけないんだよね。でも、いつも一緒にほしいと思ってしまう私、心得はありません・・・
16,500円×2+生ビール800円×2+白ワイン7,900円+サービス税8%+不明2,160円=48,060円
こんなにも珍しくかつバラエティに富んだ食材が食べられるなんて、思った以上の感動でした。紹介してくださった方に心から感謝です。もちろん、ちょっと先ですが次回予約も取りました。
でも、どこもどんどん価格が上がっていくのよね~ ここも6月からコースは2万円。そういえば、コロナ前には毎月通っていたお寿司屋さんも今は予約必須になり、ランチは当時の3,300円から6,600円一択になってしまったわ。
予約困難店ですが、こまめに予約サイトを見ていれば、私のようにひょっこり空きを見つけられるかも。是非一度、足を運んでみてください。接客もとても心地よかったです。