英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【スペイン】世界遺産セゴビア旧市街 白雪城のモデル「アルカサル」

2024年(令和6年)1月3日(水)

 

年末年始、ルクセンブルクを皮切りにヨーロッパ10日間の旅行です。今は2ヶ国目のスペイン滞在中。前回は世界遺産セゴビア旧都市の構成要素のひとつ、セゴビア大聖堂について書きました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

セゴビア大聖堂を見学後、11時半に予約していたアルカサルへ向かいます。アルカサルという意味で、古代ローマ時代には既に要塞が建っていたという要所。

 

まずはアルカサル庭園に入ります。

 

1808年5月2日スペイン独立戦争の皮切りとなった大衆による蜂起(ドス・デ・マヨ蜂起)において、唯一スペイン軍からその蜂起に加わった部隊がありました。その2人の砲兵将校は今でも反乱の英雄として知られているのですが、彼らの死から100年を記念して建てられたのがこの像です。よく見ると、女神とも位置付けられるだろう女性が瀕死の彼らを抱えている印象的な像です。

 

正面がアルカサル。左手にチケットセンターとカフェがあります。オンラインで購入するほうが1EUR安く基本料金は6EUR、ファン2世の塔に上がる場合は9EUR(2024.3月現在)。

 

アルカサル庭園からセゴビア大聖堂を見ると、旧市街が高台の上に立ち、城壁が張り巡らされていることがわかります。

 

旧市街から外側を眺めると、穏やかでのんびりとした風景が広がっていることに驚きました。城下町のようにもっと周辺部も発達していると思っていたからです。真ん中には12角形が特徴的なIglesia de la Vera Cruz(ラ・ベラ・クルス教会)が建っており、アルカサルを眺める絶景スポットとして知られています。

 

ディズニー映画「白雪姫」のお城のモデルになったとも言われているアルカサル(ちなみに東京ディズニーランドにあるのはシンデレラ城)

 

中央が別料金で上れるファン2世の塔。152段もの階段をのらないといけないようですが、絶景は間違いないよね。

 

クエンカにも騎馬像があったカステーリャ王アルフォンソ8世(1155-1214年)は、セゴビアを奪取したあとこのアルカサルを主な住居としていたようですが、落雷や火事などにも見舞われ現在の姿になったのはずっと後のこと。

 

ファン2世の塔を建てたのは、建設継続に意欲的だったカスティーリャ王ファン2世で15世紀前半。18世紀後半にはスペイン王フェリペ2世が鋭いスレートの尖塔を追加しています。

 

時間通りに入場が許可されます。15分前でもダメだったわ。印象的な漆喰の外壁がよくわかります。

 

城に架かる橋さえ落とせば深い堀が阻んで中への侵入は許さない造り。

 

内部の案内図。HPから日本語のパンフレットも入手できますが簡易なもの。

 

まずは入場です。すぐに武器の広場があるのですが、入場者が集まってきているので素通りで先へ進みます。

 

旧王宮の間 甲冑装備の騎士と馬 

 

暖炉の間 薄暗い部屋だったのできれいに撮れませんでしたが、暖炉があります。フェリペ2世の時代に増築されました。

 

調度品は16世紀のもの。壁のブルーのタイルが美しい。

 

玉座の間 19世紀にアルフォンソ13世とヴィクトリア王妃のために作られたという玉座。外国大使館のレセプション、宴会、音楽演奏、文学イベントなど、さまざまな種類の政治儀式に使用された部屋です。

 

エンリケ4世のステンドグラス。エンリケ不能王などと呼ばれた、ちょっとかわいそうなエピソードの持ち主。

 

ガレー船の間 15世紀前半に造られたとても美しい部屋です。

 

ガレー船とは、主として人力で櫂(オール)を漕いで進む軍艦で、古代に出現し地形が複雑で風向きの安定しない地中海やバルト海では19世紀初頭まで使用されていました。屋根がガレー船をひっくり返したような形であることから名づけられています。

 

絵画はカスティーリャ女王のイザベラ1世のセゴビア大聖堂近くのサン・ミゲル教会で行われた戴冠式の様子。イザベラ1世はここでは美しく見えますが、あとで違う肖像も登場します(ちなみにイザベラ1世の父はファン2世)

 

スペイン独特の建築は、レコンキスタ後も残ったイスラム文化と融合したムデハル様式が多く見らえるところ。グラナダアルハンブラ宮殿が象徴するとおり、レコンキスタで宗教的には戦ったもののその文化をとても好んでいたんですね。

 

窓からは城外の景色が見渡せました。ここにも誰かが描かれたステンドグラスが入っています。

 

松かさの間 天井の模様がその名の由来です。どれも形状が少しずつ違うんだって。wikiでは「パイナップルの殿堂」と訳されていました。どっちも似たようなものだけど、テイストが違うような(笑

 

ステンドグラスはどれも歴代の王や王妃のようです。

 

王の寝室 ベッドには金で織られた金襴のカバーが付いています。壁に描かれているのは、カトリック君主の家族生活のシーンだそう。部屋の入口にあったネオ・ムデハル様式のアーチを見るべきだったんだけど失念。

 

諸王の広間 こちらも豪華絢爛な部屋です。アルハンブラ宮殿を模倣したそう。

 

壁上部にはアストゥリアス王国カスティーリャ王国レオン王国の歴代の王の彫像が並べてあります。

 

さまざまな支配者を座位で描いて装飾に組み込んでいるのは、15世紀のスペインの権力者の政治権力、支配、正統性の表現のためだったと言われています。

 

縄の間 部屋を囲む壁に取り付けられた長い金色のレースに由来した名前です。

 

アッシジのフランチェスコは「清貧の教え」を説いており、自らも履物を脱いで裸足となり、皮のベルトを捨てて縄を腰に巻いたという話があるのですが、賢王アルフォンソ10世が自らの慢心を悔い改めて縄の装飾を命じたという部屋です(その割に豪華だけど)

 

アルフォンソ6世とセゴビア司教が描かれています。

 

で、こちらが先ほど戴冠式の絵に描かれていたイザベラ1世。随分雰囲気が違うけど。こちらもタイルが美しい小部屋でした。

 

礼拝堂 縄の間からも覗き見れるようになっていました。イタリア人画家バルトロメオ・カルドゥッチ(1560-1608年)による「東方三博士の礼拝」が掲げられています。

 

礼拝堂の天井はこんな感じ。

 

武器の間 様々な時代の武器が並べられている部屋です。

 

日本の鎧兜も身動きがとりにくそうだけど、考えてみるとこちらも大変そうよね。

 

外へ出ました。王のテラスです。みんなが真ん中で覗き込んでいるのは井戸。

 

一応、今も水はあるみたい。

 

アルカサルはエレスマ川とクラモレス川の合流地点の上の急峻な崖の上に建っています。ほんとにうまく天然の要塞の地を活かすものですね。

 

ラ・ベラ・クルス教会の12角形が少し感じられる角度。アルカサルから20分ほどで歩いて行けるので、外からのアルカサルの姿を見るには絶好の場所。

 

アルハンブラ宮殿でも城内でいろいろなものを育てていたので、これらもたぶん果樹のはず。

 

美しい庭園はヘレリア様式と書いてありました。左右対称で幾何学的なのが特徴。

 

塔には入れません。でも、いかにもお城を感じさせる場所なので、写真を撮る人の順番待ちでした。

 

時計の広場 イスラム色を感じる漆喰です。

 

その名がつけられているのは、ここに日時計があるからです。最上段の窓のあいだに汚れて見えるのがそれ(笑

 

下にはカール1世の紋章があります。

 

最初に素通りした武器の広間へ戻ってきました。1587年フェリペ2世の指示で建てられています。真ん中に噴水があるパティオはスペインでよく見られるヘレリア様式。

 

ちょうどファン2世の塔の後ろ側に位置しています。まさしく中心部に位置し、祝祭と軍事の両方の祝賀会の舞台として使われていました。

 

王立砲兵学校博物館を見学します。

 

1764年にカルロス2世が設立しています。これなんかは大砲部品用掘削旋盤のモデルと書かれていました。なにそれ?

 

兵学校と言うからには、大砲の研究もしていたんでしょう。きっとこれが大砲のはず。調合の研究をしていたんでしょうか。

 

一方で弾丸は、まるで宇宙を表しているかのようにも見えました。18世紀から19世紀にかけての時代、産業革命を経て進歩を遂げていったことでしょう。

 

でもジオラマが表すように、大砲その他を馬に載せて移動していたんだね。なんと過酷だったことか。日本人的には、馬は騎兵を乗せるか農耕用のイメージだったな。

 

ショップにはスペインブルーの扇子や食器などがありました。扇子は16世紀にアジアからヨーロッパに伝わり、特にスペインでは女性の必需品だったんだって。特に暑い地だしね。

 

アルカサルはぐるりと三方から見ると、俄然その姿の素晴らしさがわかるはず。少なくとも正面からだけでは、奥行にかけての美しさがわかりません。本を手に取るのもおススメです。

 

セゴビア大聖堂、アルカサルと見学してきましたが、私にとってもっとも見たかったのは最後に見学したローマ水道橋です。世界遺産の構成要素が多いセゴビアは見応え充分。まだ続きます。