2024年(令和6年)1月3日(水)
年末年始、ルクセンブルクを皮切りにヨーロッパ10日間の旅行です。今は2ヶ国目のスペイン滞在中。前回はマドリードでのフラメンコ鑑賞と、パエリアのディナーの話を書きました。
朝8時半のマドリード-チャマルティン駅。今回、チャマルティン駅近くで泊まったのは、ここからアクセスのよい近郊都市へ行くためでした。すでにクエンカへは訪れ、次はやはり世界遺産の旧市街、セゴビアへ向かいます。チャマルティ駅のホームへの降り口はあちこち分散しているので毎度混乱し、最後までいまひとつわかりませんでした。
セゴビアへも予約必須の特急で向かいます。ただ、クエンカと違い運賃は11.1EUR(1,785円)の固定で予約変更も可能です。本数は比較的多いのですが、8:50発のあとは10:15発なので、駅に到着してから切符を買うのは避けたほうが良いでしょう。車内は清潔。座席はほぼ埋まっていました。
途中停車駅もなく、約30分でSegovia Guiomar駅に到着。セゴビアもクエンカと同じく特急停車駅は旧市街から離れており、バスに乗り換える必要があります。
旧市街までは20分ほど。Avanza HPから時刻表と路線が確認できます。旧市街へ行くバスは11番と12番で、ほぼ同じ時刻に出発します。12番は中心より少し外れたところに停車するのでとても空いていました。でも、路線図で示す位置はGoogleMapでは12番バス停ではないのでなんとなく不安。ほとんどの人が11番バスに乗り込んでいました。
4人揃えばタクシーという手もあると思います。平日9EUR、休日12EURの固定料金なので、ぼったくられることもありません。
バスの運賃は2EUR(370円)と安価。私が見る限り全員が現金で乗車していましたが、カードも可能なようでした。
乗車20分、車内がざわざわとしたので降車すればよさそう。路線図ではいまひとつわかりにくいのですが、この駅は終点ではなかったはず。観光客が多ければ、たいして調べていかなくてもなんとかなるものです。
帰りのバス停を先にチェックしておきます。すぐにはわからなくて、あちこちで聞いて、ようやく青い標識のある場所だとわかりました。そして、ええ、そうです!!!ちらりと見えているのがローマ水道橋。でも、ご紹介はあとまわしにします。
小雨降る中、まずはセゴビア大聖堂へ向かいます。内部を見学しているあいだに雨が止めばとの目論見でした。
スペインではどこでも中心部の広場をマヨール広場と名付けているらしい。マドリードでもセゴビアでもそうだったように、ここにもマヨール広場がありました。
マヨール広場のそばに荘厳と建つのがセゴビア大聖堂です。先に見たクエンカ大聖堂とはまるで規模が違う!!スペイン反乱で壊されたあと、1525年カルロス1世が再建に着手し、なんと243年後の1768年に完成したゴシック様式の大聖堂です。カテドラルの貴婦人という異名も持つのも納得の美しい姿。
セゴビア大聖堂の予約もオンラインで終えています。こちらも拝観時間内であればいつでも入れます。セゴビア大聖堂は聖母マリアと聖人フルトスに捧げられた大聖堂で、フルトスの門から入ります。門の上に立っているのがセゴビアの守護聖人フルトス。
内部の案内図はこちら。クエンカ大聖堂ではわかりにくかった礼拝堂がどのように並んでいるのか、こちらのほうがわかりやすいと思います。真ん中に主祭壇、聖歌隊席、側廊に沿って各礼拝堂、そして中庭のある造りです。
側廊右側に並ぶのが礼拝、左側にはパイプオルガンが見えます。奥に歩いている人と比べると、かなり規模の大きい大聖堂であることがわかるでしょう。
パイプオルガン裏側に聖歌隊席が設けられています。ここでもそういえば、パイプが突き出していました。
通り過ぎてから振り返って天井を見上げてみました。セゴビア大聖堂の大きさは幅50m×長さ105m×高さ33mですが、思った以上に高くそして美しいリブ・ヴォールトが見えます。
ところで、前回のクエンカ大聖堂からこの記事を書くまでに、側廊に沿って並ぶ部屋が礼拝堂だと教わったのでさらに調べてみました。いまひとつしっくり理解できていないのですが、要は祀っているものが違うということのようです。また、大聖堂ではギルドも行われていたので、そこにも礼拝堂を置く習慣があったとも書かれていました。
受胎告知から始まる福音書の話のほか、その地の聖人を祀っていたりするのでしょう。たとえばこの礼拝堂は、スペイン彫刻の傑作とされる聖なる埋葬の祭壇画があり、横たわるキリストと嘆き悲しむ使徒らが描かれています。
こちらはX字型の十字架で処刑された伝承されている12人の使徒のひとり、聖アンデレが中央に描かれた聖アンデレ礼拝堂。そういえば、ヨーロッパの人名は聖人由来のものが多いんですよね。例えば、アンデレが英語でアンドルーはふつうとして、ペトロはピーター(英)、ピエール(仏)、ピエトロ(伊)、ヨハネはジョン(英)や、ヨハンス、ハンス(独)、ヤコブはジャックやジェームズ(英)といった具合に。
こちらも使徒聖ヤコブ礼拝堂と紹介されていました(この祭壇画の右側にあるドアから地下室へ行けると書かれていましたが、ガイドツアーだと入れるのかしら)。
でも、アダムとイブの登場する創世記から旧約聖書は始まるはずで、ノアの箱舟の話を経て、どのようにキリストの話に続くのかさっぱりわからない私には、入口に立つのすら難しい。
ただ、キリスト教は文字だけでなく絵画で布教してきたということだけは理解し、興味を持って眺められているだけでも進歩というもの。この礼拝堂などは聖母マリアにまつわる絵画が天井まで埋め尽くされています。
こちらは、上からキリスト磔刑、下にキリスト降架が描かれ、床には横たわるキリストが置かれています。なかなか生々しい彫刻で、これ以上撮るのは難しかったのですが、どれをとってもクエンカ大聖堂の絵画にあったようなマッチョなキリストは見られません。
聖歌隊席の後ろ側、拝廊に配置されていたセゴビアの守護聖人フルトスとその兄妹の祭壇。キリストや数人の使徒が描かれ、フルトスらの遺物などが保存されています。
ところでセゴビア大聖堂の礼拝堂もクエンカ大聖堂と同じく各礼拝堂に入ることができるので、豪華絢爛な装飾を見たのですが撮るのがなかなか難しい。例えば左の部屋が暗いのは非公開だからではなく、時間が経つと明かりが消える仕組みになっていました。
中に入って撮る分には問題ないのです。でも全体と撮りたくて外へ出ると10秒ほどで消灯してしまうので、どう撮ろうか迷っているとダメ。なかなかハードルの高い、でもエコ意識の高いセゴビア大聖堂でした。
聖歌隊席です。座席数はそう多くないように見えますが、合計116脚の椅子が2階建てに配置されているのだそうです。そしてこの聖歌隊の特徴は、聖歌隊全体を統括する司教の椅子とともに、王のための椅子が含まれていると書かれていました。「王」とは、当時再建を指示したカルロス1世のことでしょうか。それとも出来上がったころのカルロス3世と考えるのが順当かな。
聖歌隊席から主祭壇を見るとドーム状の高い天井が見えます。
キューポラや側廊のステンドグラスも見えます。
250年も前に建てられたとは思えないほど、すらりと洗練された柱。ステンドグラスからの明かりでやわらかく光が差し込んでいます。
主祭壇は見事な金色の装飾で埋め尽くされた聖母子が中央に配されています。
祭壇から聖歌隊席を見ると、左右にふたつのパイプオルガンが配置されていることがわかります。
セゴビアの最初の司教と言われている聖ジェロテウス(ゲロテウス)が中央に描かれている礼拝堂。歴代の祭服でしょうか。ともに飾られていました。
セゴビアの守護聖人フルトスの礼拝堂には、中央のフルトスのほか、左右に彼の2人の兄弟も描かれていました。
最後に見た聖アントン礼拝堂は、セゴビアの司祭だった聖アントニオの家族が亡くなったとき、パンテオンとして贈られたものだそうで、彼自身の墓も作られています。
聖母マリアの生涯などが描かれているステンドグラス。大聖堂の中は明るい印象が残っています。
最後に。中庭を囲む回廊からは、絵画作品が展示されている地下回廊への入口があったようです。ちょうど黒い台の置かれている位置だと思います。なんとなく物々しかったので、近づきもしなかったのは失敗。事前準備の大切さを帰ってから感じることは毎度のことだけど。
回廊と中庭は、古い回廊を移設再建したものです。真ん中にあるのは古い井戸。落ち着いた美しい庭園でした。
セゴビア大聖堂には88mもの高さの塔があり、ガイドツアー付きで登ることができます7EUR。オーディオガイドは6ヶ国語。中国語と韓国語があるのに日本語はありません。ゆっくり訪れる人が少ないのかな。時間がなかったので上りませんでしたが、セゴビアの絶景が見られるはずです。
見学所要時間は、ここでも割にしっかり見たと思いますが30分でした。次は30分単位で予約時間が設定されているアルカサル(=城)へ向かいます。