2023年(令和5年)8月
春に花山椒のしゃぶしゃぶを楽しんだ「割烹 茂幸」とのおつきあいも、2度目の夏を迎えました。ミシュランを獲得され、ますます人気店として名を馳せているであろう大将の元を4ヶ月ぶりに訪れます。
同じ月ばかり伺っているので、6月か7月に予約したかったのですが空きがなく、またもや8月。今回は2月と同じアラカルトと伺っていました。母を亡くした翌日で、記憶が曖昧だったあの日、それでも美味しいものをいただくうちに力が湧いてきたことをよく覚えています。
残暑厳しいこの日は、湿度100%かというほど蒸し暑く、汗だくで到着しました。
とにもかくにもビール。相棒は2本目も頼んでいたぐらい、いつにも増してビール必須。
セッティングは8名分されていますが、18時からスタートは私たちだけ。いつものコース料理とは違うアラカルト仕様です。
アラカルトメニューを横目に、まずはお約束の3品から。
1品目 伊勢海老の煮凝りと雲丹
いつもならデザートのシャーベットを盛りつける涼しげな器が始まり。伊勢海老の味がしっかりとのった煮凝りに、たっぷり贅沢の雲丹を絡めながらいただきます。なんとも贅沢な一品。夏らしい食感が嬉しい。
2品目 甘くないお汁粉
瓢箪のかわいらしい小さな塗りのお椀はお汁粉、しかも甘くないとおっしゃる。
豆を炊いて梅を少し加え、さっぱりとしたお汁粉。豆乳と葛でお餅を作ったものが入っています。モチモチの感触がいいし、お汁粉によく絡みます。
3品目 鰺のきずし土佐酢おろし
「きずし」という言い方は関西圏のものでしょうか。要はしめ鰺なのですが、卵入りの大根おろしとカイワレ大根を巻いていただきます。卵が入っているのでまろやかな大根おろしと酢じめの味がよく合いました。大将は素材勝負のお造りは料理ではないという信念で、必ず手を加えられます。
ここからがアラカルト。前回と同じく若干相棒と私の注文を間違えていたりするのですが、もともとアラカルトのときは好きに交換して味見しながらどうぞというスタイルなので、いろんなものをいただきたい私たちにはちょうどいい。飲み物も日本酒に進んでスタンバイです。
石川県鹿野酒造の純米吟醸「常きげん」
アラカルトのときは前回も一升瓶のお披露目はなしでした。お弟子さんも忙しいからね。


野菜メニュー
う、全部気になる。ここから2,3に絞るのは至難の業。でも、スタートから突っ走るわけには行きません。
4品目 イチヂク胡麻ず掛け
大ぶりで立派なイチヂク。甘いはずのイチヂクに胡麻酢を合わせるとは斬新な。
よく熟れたイチヂクに、とろりとした胡麻酢の取り合わせは意外と思っていましたが、いただいてみると抜群の相性。どこにも違和感はありません。
5品目 ポテトサラダ
生姜出し巻きに心変わりして、ポテトサラダを断念したところ、少しだけ出してくださったもの。きゅうりが粗いみじん切りだったりするところが新鮮。どの素材も食感をよく残してあります。
相棒とシェア。お酢をよく利かせてありました。今年は家で金糸瓜を買うことがなかったのですが、調理すると糸状になるのが楽しい野菜。酢の物は全体に酢が勝っており、甘味はほとんど感じられないのが全体的な印象。
7品目 生姜出し巻き
漬けた生姜を刻んで出汁巻きに入れ込んだもの。生姜と卵の相性は抜群だから、こうすると美味しいでしょ?と。なるほど。もっとあれこれ自分の手持ちの保存食をこうして活かせばいいのか。と言ってもすぐ忘れるので、こうしてプロの味をただ楽しんでいればいいですよね。
揚げ物メニュー
揚げ物は、実山椒のタレ、花山椒のタルタル、出汁のいずれかでいただきます。
8品目 鮎
実山椒かタルタルがおススメとのこと。そのままでももちろん美味しい。一齧りしてからタレとタルタルも試しました。甘めのタレとの相性もなかなか良かったです。あとの焼き物に出てくる鮎よりも揚げ物の方がおススメと言われたのですが、カリッと揚がった鮎が何だか新鮮な食べ方に感じられました。そういえば、川魚はここのところ塩焼きばかりだったな。ただ、画像通り少し揚げ過ぎ感アリかも。
9品目 蛤葱
蛤の佃煮にネギを挟んだものでお出汁でいただきます。切り口を撮るべきでした。これでは、なにやらさっぱりわかりませんね。
女将さんの登場後は、日本酒のお披露目もしていただきました。
ちょうどこのころ、次に始まる焼き物の鱧の骨切りをご披露していただいています。お持ちの包丁の中でもっとも高価で、もっとも出番の少ないものだそうです。
10品目 茗荷+11品目 もろこしコロッケ
こちらもお出汁で。このあたりはだいたい相棒とシェアしました。
茗荷を嚙むとじゅわっと出汁が絡まっていい感じです。でもたぶん、下味もきちんとついていたと思います。お酢の味を感じた記憶があるのですが、そろそろ記憶が曖昧かも(汗
もろこしコロッケはとても甘くおかずというよりはデザートになり得る一品。箸休め的な位置づけになりました。
12品目 松茸
これは全員に出されます。中国産だそうですが今は空輸されてくるので新鮮だそう。振り塩がされているので、そのままいただきます。
13品目 レバーペーストと米ラスク
メニューを遡ってもいいとのお言葉に甘え、気になっていたラスクをいただきました。カリッと揚げたお米のラスクに魚の肝。そう、レバーといっても魚の肝です。どうやら私は肝が好きらしいと指摘を受けました。なにかと肝系を選んでいるらしい。最初にいただいた伊勢海老のも肝部分で、とても気に入ったし。
焼き物メニュー
ここからは焼き物メニューに入ります。メインの食材も続々。
14品目 鱧の醤油焼き
6月7月を希望していた理由は鱧を出す季節だからでした。そのときから8月に鱧も用意しておくとおっしゃっていただいていたので楽しみにしていた一品です。
塩でも醤油でもOKでしたが、醤油の方がよりプロの味を感じられそうだったのでチョイスしました。関西人の夏には必須の鱧を、こんなに美味しくいただけて至福の時間です。
ところで、前回記事で「祇園 丸山」の鱧しゃぶの話を書きました。大将はここでも修行されていたそうで、塩味が強かった話をしたところ驚いていらっしゃいました。やっぱり京料理は薄味が基本ですもんね。やっぱりたぶん夏のせいなのでしょう。なかなか生ものを宅配便で送るのは勇気がいる取り組みだと思います。
15品目 鰻
白焼きをチョイスしました。関西風に蒸すことなく焼いただけのものです。わさびとにんにく醤油でいただきます。にんにくかぁ、白焼きにパンチが効きますね。
蒸してから焼く鰻も決して悪くありませんが、つくづく馴染みの味だと思いました。関西ではお寿司のネタにも鰻が登場しますが、東京で見かけることはありません。穴子も好きだけど鰻と穴子は歴然と違うので、いつも残念に思います。
相棒が焼き物メニューを追加していました。当初からカウンター上に合ったこれが気になっていたようです。
16品目 サザエ壺焼き
これもまた肝部分が好きな私。バターで焼いてから戻してあるとおっしゃっていました。なるほど、バターか。コクが出てお出汁も美味しい。柔らかなサザエもまた最高の出来。
17品目 鰻牛蒡
揚げものメニューに戻っています。鰻牛蒡。この身の分厚いことよ。鰻大好き。牛蒡で食感がプラスされ、また違う味わい。鰻をフライにしてしまうこの贅沢。実山椒のタレでいただきました。
18品目 もずく酢
相棒もまた野菜メニューに戻っています。さっぱりとお口直しのもずく酢。これでまた食欲が出てしまうじゃないか(笑
私たちから15分遅れて4名のお客さま、1時間後に2名のお客さまがいらして、厨房も多忙を極めていました。でも、私たちもじゃんじゃん注文しています。
19品目 鮑バター焼き
相棒が頼んだ鮑。この立派な大きさ。サザエと同じく調理加減が絶妙。
20品目 牛ヒレ
花山椒と大根おろしでいただきます。もはや噛まなくてもいいレベルの牛ヒレ肉。そろそろ記憶が曖昧・・・
5杯目・・・まだ行くか。福島県廣木酒造本店の純米吟醸「飛露喜」
肉と花山椒~食事メニュー
最後の4枚目のメニューに入りました。
21品目 すき焼き
前回食べたかったすき焼き。すき焼きらしい点といえば、卵の入った大根おろしでいただくところ。花山椒と唐辛子と白ネギと合わせてすき焼きというところが茂幸テイスト。丸山で修業中に大根おろしに卵を合わせるというのを教わったとおっしゃっていました。
22品目 鶏塩焼き
相棒が注文したもの。注文段階で相談されたことは覚えていますが、唯一まったく記憶にないのがこれ。私もお相伴に与ったはずなのだけど。
23品目 ハンバーグ
割烹ならではの味はどんなだろうと興味があって頼んだハンバーグ。ミンチは粗めで牛100%のように感じたのだけれど、この終盤での味覚にはもはや自信なし。でも食べたことはよく覚えている印象的な一品。
24品目 カレーうどん
おうどんは、カレーうどんに仕上げていただきました。こんなわがままにも答えていただえるアラカルトデー。でも、美味しいのは間違いないのであれこれ頼んでしまうところが底なしの胃袋を発揮してしまって、いやぁ、大変でした。
25品目 マンゴーシャーベット
まだいけますか?とまで聞かれた最後のデザート。でも、口をさっぱりして終えたかったのでいただきました。
お弟子さんが披露してくれたのがラム酒。マンゴーシャーベットに入れて仕上げています。
店内に掲げられた絵は、月と富士山としだれ桜がどれも正面に並んだ印象的なものですが、今まで気づいていませんでした。結構、緊張して座っていたんだなと今になって思います。
トイレにお金をかけているところは、まず間違いがないというのが私の見解。その中でも茂幸さんは、最上級のものを入れていらっしゃいます。お店に行かれた方は必見(笑
さて。これだけいただいたら、もうじゅうぶん。ミシュラン店でいつものコース料理を離れ、思うがまま好きなものを頼める月を設けるというのは、斬新なアイデアだと思います。家庭料理もきちんと割烹料理テイスト。また違ったワクワク感がありました。お酒もいつになく多く頼んでおり、2月のアラカルト44,000円と比べると、かなり立派な食事代ですが(笑
コース×2+ビール2本+日本酒5種=59,678円
このお店では、お値段のことは気にせず好きに飲んで食べるのがふつうになっています。他所だとつい警戒して自然と自粛するのですが、ここでは信頼感があるからでしょう。この日は本当にリラックスして、最初から最後まで楽しみました。悲しいことが続く中、いろんなことを忘れて寛げて、心より感謝です。ごちそうさまでした。