英語も話せないし飛行機も苦手、それでも個人手配で海外旅行

交通費嫌い。飛行機は苦手だけどヨーロッパ大好き。空港ラウンジ目的でSFC修行済み。休暇の取れない勤め人。

【スペイン】世界遺産トレド旧市街 スペインカトリックの総本山「トレド大聖堂」

2024年(令和6年)1月4日(木)

 

年末年始、ルクセンブルクを皮切りにヨーロッパ10日間の旅行です。今は2ヶ国目のスペイン滞在中。前回はスペイン最後の観光となるトレド旧市街について書きました。

fuwari-x.hatenablog.com

 

スペインカトリックの総本山であるトレド大聖堂に来ています。チケットはオンラインで予約済み12EUR(1,930円)で、他の大聖堂より高い。でも、ここもセゴビアローマ水道と同じく、前回のスペイン旅行で断念した場所でした。「もしスペインで1日しかないなら迷わずトレドへ行け」と言われているのに、2度目もなお計画から外れてしまったので、今度こそは。

 

トレド大聖堂の内部見取り図はこちら。クエンカ大聖堂、セゴビア大聖堂と同じく、主祭壇と聖歌隊席があり、側廊に沿って各礼拝堂、そして中庭のある造りです。

 

ただ入口の箇所が他とは違ったので、いきなり主祭壇と聖歌隊席へやってきたよ。1226年カスティーリャ王フェルナンデス3世の命を受けて建設が始まり、1493年に完成したというトレド大聖堂は、ブルージュ大聖堂を模して造られたと言われています。

 

聖歌隊席は2台のパイプオルガンが向き合う造り。金色に装飾された豪華な造り。これまであまり見かけなかったと思っていたせり出したパイプオルガンですが、スペインの大聖堂はすべてこのタイプでした。

 

真ん中には16世紀に製作された美しいゴシック様式のトレドの守護神、白いマリア像が立っています。

 

聖歌隊席の彫刻がとても細かい。

 

背もたれに描かれているのは、レコンキスタ終結したグラナダ征服の物語をモチーフとしています。

 

ひとつひとつ物語を辿っていきたいほど、人や馬の細かな描写が生き生きと描かれています。

 

座面に描かれた彫刻も表情豊か。クマや猿などの動物や食べ物も多く描かれていました。

 

聖歌隊席に向き合う主祭壇はゴシック様式

 

柵から手を入れて中を取りました。最も高い場所にキリスト。

 

高さが約30mもある主祭壇に描かれているのは、新約聖書によるキリストの生涯です。

 

最上段のキリストまで見上げると、美しいステンドグラスも目に入りました。

 

リブ・ヴォールト天井の際まで埋め尽くされたステンドグラス。

 

身廊をを真っ直ぐ見ると、天井のアーチが並び厳かな印象です。

 

壁面に描かれているのは、幼子キリストを運ぶ聖クリストバルの絵なのだけど、これじゃわからないね。子どもだったキリストが川を渡りたいと頼んだときに応じた人で、それ以来、旅行者の守護神とされているそう。

 

聖職者の間に入ると、聖母の生涯とキリストの受難からの13のシーンを描いた漆喰壁のフレスコ画に囲まれます。

 

天井はイスラム文化の入った豪華なムデハル様式

 

正面には1509年作の大司教の椅子。そして、気になるのはフレスコ画の下の方々。

 

歴代の高聖職者の肖像で、一番新しいのが下段右端のBraulio Rodríguez Plaza(ブラオリオ・ロドリゲス)で、2009-2019年にトレド大司教を務めていた人でした。現在の大司教は退任後ここに連なるのでしょう。

 

そして主祭壇の裏側の回廊にはトレド大聖堂の見どころのひとつ、スペイン・バロックの傑作といわれる大理石のトラスパレンテが見えてきます。
 
1721-1732年建築家ナルシソ・トメが建てたバロック様式の祭壇です。上部に楕円形の窓があり、柔らかな光に包まれています。

 

大天使に囲まれた祭壇画の細やかな彫刻と柔らかな表情に誰もが足を止めています。

 

聖母の座る椅子を支えるのもまた天使。両端の金のレリーフは左側では旧約聖書の一シーン、Abigail(アビゲイル)ダビデ王にパンとワインを捧げ、右側ではAjimelec(アヒメレク)ダビデにGolyat(ゴリアテ)の剣と聖別されたパンを手渡すところが描かれています。

 

側面の彫刻も精巧です。テーブルを囲んでいるシーンが描かれているので最後の晩餐なのでしょう。圧倒される作品です。

 

側廊には礼拝堂もいくつかあったようですが、他の大聖堂に比べて見られたとしても入られるところが少なく、印象に残っていません。

 

そんな中で見たのは、7世紀のトレド大聖堂San Ildefonsoに捧げられたサン・イルデフォンソ礼拝堂で、創設者の大司教など聖職者らが埋葬されています。

 

そしてまた聖具室では、天井に聖母の降臨が描かれた見事なフレスコ画が見られました。

 

正面の絵は、1587年El Greco(エル・グレコ 1541-1614年)の代表作のひとつ「聖衣剥奪」で、他にゴヤやカラヴァッジョなどの絵画が掲げられ、さながら美術館のよう。

 

残念だったのは宝物室を見損ねていたこと。ゴシック様式聖体顕示台コロンブスの持ち帰った金で制作されたもので、高さ2.5mもの眩い作品だったようです。

 

これはどこにあったのか記憶にありません。パティオがどこかにあるはずだと思っていたので、ここをそれだと思ったのかもしれません。

 

実際には、トレド大聖堂のパティオはもっと壮大な回廊に囲まれていました。壁一面に宗教画が描かれ、トレドの栄華が感じられます。

 

真ん中に噴水があり、石造りのカテドラルの中で憩いの場所。

 

回廊からは鐘楼が見えます。90mの高さを誇る鐘楼は、別の見学ツアーで上ることもできます。

 

聖歌隊席の裏側は静謐な空間。こちらからもパイプオルガンが向き合っているのがわかります。

 

観光客は他に比べれば多いのかもしれませんが、全体に落ち着いた雰囲気でした。礼拝堂は柵越しに見るだけなので印象に残りにくかった点はありますが、精緻な彫刻にはどれも目を奪われます。

 

ことにバラ窓をはじめステンドグラスは750枚のステンドグラスの美しさは必見。

 

市庁舎前広場(Plaza del ayuntamiento)でクリスマスマーケットを開催中だったので、全景を撮れる場所がなかなか見つからなかったのだけど、ツアー民が何組も集まっていたのでここがベストなのでしょう。鐘楼と対を為す場所にあるのはモサラベ礼拝堂。当初は2つの塔が立つ予定でしたが、地盤に問題があって断念したそうです。

 

大聖堂はみるごとに規模が大きくなっていったので、逆に私はコンパクトでありながら礼拝堂も開放されていたクエンカ大聖堂の印象の方が深く残っています。トレド大聖堂の彫刻は他を圧倒するものではあったけれど、結局それを見る目がないのが残念です。

トレドはイスラム教、ユダヤ教キリスト教が緩やかに共存していた地で、大聖堂にもその影響が見られるはずなのですが、聖職者の間の天井ぐらいしか私にはわかりませんでした。こういうとき、ツアー参加の旅行はいいなと思います。