2025(令和7年)4月26-27日(土-日)
毎月ANAに乗ろう!とやって来たのは庄内空港からタクシーで10分ほどのところにある湯野浜温泉游水亭いさごや。前回は海の見える部屋をご紹介しました。
夕食は5時半以降。6時にお願いしています。食事会場は2階。エレベーターを降りたところに魯山人のコレクション。
酒庫「幽居」には取り扱っているお酒が各種。
茶寮「月岡」は、もう1ランク上の食事をいただく会場かなと思います。海に面したテーブル席で、魯山人ギャラリーもあるみたい。
私たちはその先。
料亭「白砂」に案内されました。いくつかの大広間があるみたい。
私たちが通された部屋には4つのテーブルが用意されていました。
すでに食事の用意はできています。今回のプランは、五感で味わう“庄内の旬”~四季折々の“珠玉” に出逢う~【基本会席 紫水の膳-shisui-】。要するに最安値(笑
献立にはロビーにあった高山樗牛の掛け軸の言葉がありました。「毎日の生活の中で、目先のことだけにとらわれず、理想や希望や目標に向かって一生懸命努力し、立派な人間になって今の世の中以上のすばらしい社会を作ろう」という意味のようです。樗牛自身は肺結核のために31歳という若さで亡くなってしまったけれど。
アルコールは生ビール770円、日本酒は冷酒であれば初孫300ml瓶990円から。その他、酒庫「幽居」のラインナップからも注文できます。
地元ワインの種類が多かったです。グラスワインぐらいは頼もうかと思いましたが、ひとりでは気が乗らない。
相棒の調子が良ければボトルワインを頼んだだろうと思います。でも、休肝日もナシのほとんどアル中のようでいて、飲まなければ飲まないで平気なのよね。食前酒の梅酒から開始です。
先付と前菜までがすでに用意されていて、あとは徐々に運ばれてきます。
先付 桜鱒のあんかけ
游水亭いさごやでは季節の食材を積極的の取り入れており、4月は桜鱒。この日は他にも桜鱒のメニューがありました。
前菜 ●孟宗ふきのとう味噌 ●薩摩芋オレンジ煮 ●海老色煮 ●ごごめ ●蛍烏賊
●蛤木の芽味噌 ●うるいとえごの酢味噌掛かけ ●サーモンと蛸柔らか煮のピンチョス
孟宗ふきのとう味噌・海老色煮・こごめ
こちらではこごみではなくごごめなのね。孟宗も山形の名産。これから山の方の旅館では筍づくしの料理が出され、それを目当てに訪れる人も多いそうです。ふきのとう味噌は葉の部分を使っているのかなという食感でした。筍大好き、もっと食べたかったわ。春らしい一品。
薩摩芋オレンジ煮と蛍烏賊は特筆すべきことなし。蛤の木の芽味噌はなめらかタイプ。美味しかったのがサーモンと蛸の柔らか煮のピンチョス。下味のついた角切りサーモン、蛸、長芋を順に味わっていくのだけど、蛸が本当に柔らかく仕上がっていて食感の違いも楽しめました。
兜の器に入っていたのが、うるいとえごの酢味噌かけ。
えごは初めて聞きました。こんにゃくのように見えるのがそれ。えご草という海藻から作るそうで栄養満点。酢味噌でいただくのが一般的みたいです。
ここからは順に運ばれてきます。
造里 庄内浜地魚盛り合わせ 鰤・ソイ・平目・甘海老・備前烏賊
前週に行った松本の追分屋旅館のお造りがとても美味しかったという話を書いていますが、ここのお造りもハズレなしでした。身は分厚めのスライスでボリュームがあって、かなりの食べ応え。器の上の備前烏賊が特に初めての食感で、音がするほどコリコリしていました。
ちょうどここでスタッフから日没の案内がありました。日没時刻には20分早いのですが、ちょうど雲が途切れてきれいな夕陽の色が見えるとのこと。窓辺に行くとなるほど日没をウリにする日本海側ならではの光景でした。
ちょうど鳥が横切って飛んでいきます。日没時刻になってから見に行くと、雲に覆われて何も見えませんでした。このときが絶好のタイミング。スタッフさん、さすがの誘導です。
焼物 桜鱒の菜の花マスタード焼き
再び桜鱒の登場。でも、この菜の花マスタード焼きはいまひとつでした。マスタードが焼けすぎていて固まっているので、桜鱒に絡まないの。しかも桜鱒の下味がほとんどないのでちょっと中途半端な味になってしまっていて残念でした。焼き過ぎが敗因かな。
温物と鍋物は同時に運ばれてきました。
温物 海老真丈 蟹餡かけ 孟宗 桜麩
むかごも入っていて食感の違いは楽しめましたが、好物の海老真丈は、ちょっと物足りなかったかな。ふわっと感が不足というか、大きい分だけ単調な味というか。贅沢な注文かもしれないけど。
野菜は先に入れ、沸騰してからお肉を入れてくださいとのこと。豆苗、菜の花、うるい、こごみといったラインナップは珍しい。豆苗は硬いのに長過ぎてちょっと食べにくかったけど、なんとなく春らしい雰囲気を楽しめました。牛肉は2枚。美味しくいただきました。
食事 ●吸物 蛤潮汁 桜麩 庄内麩 三つ葉 ●庄内はえぬき米 ●香の物
はえぬき米、美味しかったです。香の物は奈良漬けと名物の赤かぶ漬け。赤かぶ漬けの酸味がいい具合だったな。
水菓子 ●米麹の甘酒よせ ●ストロベリージェラート ●ショコラテリーヌ柚子 ●苺
フルーツ王国らしく美味しい苺でした。ジェラートの苺もふんだんに使われていたし、ショコラテリーヌの濃厚な味も良かったです。甘酒をデザートに持ってくるのは、前回の追分屋旅館でもあったな。最近の傾向なのかしら。
最後に箸置きが話題に上りました。これも桜鱒かな。
ちょっと角度を変えると、こっちを見上げて見えるの。
翌日の朝食も続けます。テーブルは前夜と同じ場所。
ごはんと汁物以外はすべてセットされています。
朝食にもメニューが添えられていたので、いちいち確認してからいただきました。最初の飲み物は牛乳かりんごジュースをチョイス。フルーツ王国なのでりんごジュースをいただきましたが、牛乳も捨てがたかったな。
先付の厚焼玉子は甘めの味付け。思いのほか印象的だったのがミックスサラダ。ミニトマトをはじめ、新鮮だからか美味しいという感想が漏れました。食事はメカブ味噌汁とつや姫。ごはんはおかわりをお願いするシステムでしたが、頻繁に声を掛けに来てくれるので頼みやすかったです。
烏賊刺は硬くていまひとつ。塩麹納豆は初めての組み合わせでしたが、お醤油とまた違って美味しかったです。手前の3品、アミ佃煮、鱈子、唐辛子味噌のおかげでご飯が進みました。中でも気に入ったのが青唐辛子味噌の辛味が最高。去年家でも作ったのですが、我が家の好みの味です。グラスは薩摩芋すり流し。牛乳で緩めているそうですが、その違和感もなく薩摩芋の甘さが美味しかったです。
銀鱈醤油漬焼は脂がのっていて、これもまたご飯がよく進みました。
2週続きで旅館ご飯。前月の常磐ホテル(59,400円)とポルトムインターナショナル北海道の下鴨茶寮(56,060円)を入れると2ヶ月で4度の和食だったので、脳内であれこれ比べてしまいました。もっとも印象に残っていないのが常磐ホテルで、思い出せる料理がないのは悪くなかったからと言えるかもしれません(部屋から富士山が見えるのは最高!)。下鴨茶寮は定価の食事代(18,150円)でいくと断トツで美味しくあってほしいのですが、味が単調過ぎて却下。ひたすら出汁を利かせた味付けばかりで飽きたので、構成が悪いのでしょう(←エラそう^^;)。その点、前週の追分屋旅館(40,500円)はスタートは完璧でした。ただ、振り返ってみると水っぽさばかりが印象に残っているのと部屋のグレードを勘案すると、価格なりとはいえリピなしかも。その点で今回の游水亭いさごや(54,340円)は、宿泊料との折り合いがいい内容だったかなと思います。
わざわざリピするならば、今回のように宿泊だけでなく観光も組み入れる必要があるとは思いますが、部屋もよく、温泉もゆっくり入れ、コストパフォーマンスのよいいい旅館です。公式HPもご参考に。