2025年(令和7年)3月29日(土)
3月8-9日に滞在したポルトムインターナショナル北海道があまりにも良かったので再訪しています。前回は、室内について初訪問時の補足としていくつか書いています。
前回はフランスでも日本でもミシュランを獲得したというTATERU YOSHINO(吉野 建)のフレンチをいただきましたが、同じメニューを繰り返すのはどう考えても芸がない。それでもお土産のパウンドケーキがとても美味しかったので、かなり迷いました。ただ、相棒がアルコール不可の生活になっているのでグラスワインでやり過ごすのもいまひとつだったので、京都下鴨茶寮北のはなれで予約しました。18時開店同時に入店します。
いまひとつときめきが持てないこの予約を後押ししたのは、一休.comレストランのレビューでした。分母は少ないものの4.9と大絶賛されています。
店内もモダンで雰囲気がよく、何とかテンションを上げていきます。
通されたのは個室。テーブル席の人もいたので、予約内容によって違うのかもしれません。
飾られている漆器は輪島で制作活動を行う赤木明登作。2024年元旦の地震で被災した工房をいち早く再建し、制作を続けています。前職は「家庭画報」の編集者だったという異色の経歴の持ち主。
と、ここまでは良かったのですが、すぐあとから躓きました。アルバイト満開のおねえさんが真っ先に渡してくれたお土産は昆布ふりかけ(864円)と昆布とうがらし(1,080円)。 あーあ、わかってたけどパウンドケーキとの歴然とした差を実感し、立て直した気持ちがまた落ちるわ。
5周年記念の特典でワンドリンクが無料です。相棒は飲めないので、ノンアルではなく赤ワインを私用にと頼んでくれました。もう1杯はビール。
厚さ1mmの繊細なビールグラスはショップでも販売しています。というより、ショップへ寄ったときにその説明を聞いてビールにしてしまったのだわ。でもひとりで飲むと進まないもので、強肴になるまで飲み終えられなかった私は呑兵衛と言いつつヘタレ。
これ以上飲む予定がなかったので、飲み物のメニューをチェックするのを忘れていましたが、HPを見ると90ml1,265円、1合なら2,151円から。その他6種のペアリング(8,855円)も用意されていました。
コースは18,975円一択でフレンチと同じ価格。1泊2食付き70,000円-ポイント利用13,940=56,060円というこの5周年価格が、いかにお得かおわかりいただけることでしょう。
先附 胡麻豆腐 白ばい貝 青豌豆 桜花
これはなんといっても青豌豆の炊きかたが素晴らしい。豆臭さを出さずに本来の味を引き出しています。子どもの頃の豌豆の卵とじの恐怖で、今ひとつ炊いてあるのは好きになれない私もこの美味しさには唸らされました。
座附 清汁仕立て ー 若竹豆腐 白魚 海老吉野煮 鍵蕨 梅肉 花弁百合根 木の芽
春らしいお椀が登場しました。
中の具材も美しい。白魚はきちんと縛ってあり、若竹豆腐もふんわり仕上がっていて、ビジュアルともども満足の一品。
向附 海鮮三種 サメガレイ・鮪・雲丹 あしらい一式
雲丹はもう少しあったのですが、一度食べたあとに単独で画像を撮りました。さすがは北海道の雲丹という甘さで、これも大満足。若芽と食べると味が負けるので別々でいただくほうがいい。
白身魚はサメガレイ。初めて聞きました。鮪も脂がのっていてとろりといいお味でした。
焼物 桜鱒木の芽焼き 天豆 はじかみ
このところ長野や山梨で鱒を食べていて、もしかすると鮭よりも好きかもという気がしています。癖がなくて旨味がのっている。ただちょっとこれはパサつきが気になったかな。
八寸 鯛昆布締め、スモークサーモン2色手毬 うるい浸し 蛍烏賊 桜人参 黄身酢
桜海老袱紗 たらの芽田楽 助子含め煮 針生姜 木の芽
でね、このあたりで飽き始めてしまったの。手毬寿司は酢飯だし取り敢えず美味しくいただいたし、助子含め煮は好物。
たらの芽は好きだし、桜海老袱紗も丁寧に作られたすり身の美味しさはあったと思う。ただ、蛍烏賊以下、味に飽きてきたんだよね。単調なの。
鯛昆布締めで味の変化は図っているのだけど、もっとも心浮き立つ華やかな八寸のあとは、繰り返し同じ味が続くという感じで。
炊き合せ 飯蛸旨煮 飛龍頭 木の芽 里芋 筍 小松菜 ミニ人参 桜麩
お盆がとても大きいので、器は思った以上の大きさです。そこへ上品に盛られた食材。ほんと見た目は美しいの。
飯蛸のぎっちり詰まった卵胞も美味しかったし、筍も新物の味がしていました。
特に飛龍頭は木耳などの具材が入っていて、さすが料亭の味。思い返すとそれぞれは悪くないんだけどな。
油物 蟹真丈東寺揚げ 屋我地島の塩 檸檬 公魚しん引き揚げ 蕗の薹 こごみ
手前に見えている公魚や蕗の薹は、どうしても揚げたて感が薄いのが、テーブル席での不利となるでしょう。
でも、裏側に隠れている蟹真丈東寺揚げはアツアツではなかったけれど、風味がよく利いていて好みの味でした。すり身はほんとさすが。
食事 桜海老と菜の花の釜炊き御飯 香の物 赤出し
赤出汁は提供された魚から丁寧に取ったお出汁を使っての赤出汁。香の物は赤いのは茗荷じゃなくてらっきょだったのが意外でした。
桜海老は口の中で刺さるので、この日のように飽きているときには辛口コメントになってしまいます。それに残っても持ち帰れないのよね。冷めてからも食べたら美味しかっただろうになぁ。


水物 ヨーグルトムース ジュレ掛け ミント 和紅茶
甘味 和菓子
それぞれは美味しいのに、淡々と同じ味といった感じで残念だったお料理。相棒などはこのヨーグルトムースが一番美味しかったとまで言っていました。たぶん、美味しい和食を定期的にいただいてきた弊害でもあるのでしょう。目の前で作りたてを提供するお店といっしょくたに考えたらダメだよね。
福岡産の和紅茶は、和といってもしっかり紅茶。
蓬のかるかんもしっとりしているし、蓬も感じられて美味しかった。
この料理については繰り返し相棒と話をするのですが、味覚に自信がない私が偉そうなことを言うのは間違っているとは思いつつも、結論は「単調」。一休.comではなく食べログ評価を見ると、無評価の人を外して算出し直して3.8。京都本店でも3.58。高評価ではありますが、微妙なところに留まっていると感じます。
私はフレンチよりも和食派なのですが、旨味文化をうまく構成して出すということは、かくも難しいものなのだなと思いました。逆に、これまでフレンチにはさほど魅力を感じていなかったので、TATERU YOSHINOの素晴らしさこそを称えるべきなのかな。次回行ってもまた感動的なフレンチに出会えたら、フレンチの世界へも飛び出せそうな気がします。
続く 【北海道】3月2度目の新千歳空港ホテル「ポルトムインターナショナル北海道」朝食編