2025年(令和7年)7月19-20日(土-日)
7月は既にANAで富山へ飛んでいますが、猛暑の三連休に自宅で過ごすのは避けようと、航空券の安い小松空港へ飛びました。前回は5つ星旅館 山中温泉 花紫 の館内と温泉をご紹介しました。
期待していた食事を2日分に渡ってご紹介します。夕食会場は階下のにほん。2階3階のどちらかが大浴場で、どちらかが食事会場だったのだけど、失念。
入口にはペアリングのお酒が紹介されています。地域に特化した地酒を中心に北陸三県の日本酒を1種類(1合半)程度で7,700円。割と安めの設定という印象です。
金沢の華やかな城下をイメージさせる色遣いだと思います。
月を想起させるモチーフに照明が入ってきれい。
【1日目】
完全に個室ではなく、竹細工や木を使った間仕切りで、緩やかに空間を隔てています。センスいいわ。私たちは敷石を渡った一角に通されました。他が区切られている分、どちらかといえばオープンで、窓はないけれどさっぱりした座席。振り返って他を見ると、テーブル席や掘りごたつ式など、いろいろなパターンが用意されていました。
まずは日本酒のチョイスから。4合瓶を飲むとなぜか決めてしまっていたのは、ペアリングは止めておこうと思ったことと、冷酒をお銚子やグラスで頼んでも2,300円以上という価格設定のせいだったと思います。山中温泉で生まれる獅子の里や、北陸3県のお酒がラインナップされています。
私たちは生原酒で提供されていた富山の羽根屋 純吟 煌火(7,100円)をチョイスしました。その他、シャンパンが16,000円・25,000円・95,000円と書かれています。
白ワイン、赤ワインもグラス1,800円、ボトル9,500円からとなかなかお高め。
日本酒もスパークリング日本酒14,000円や限定酒48,000円など手が出ません・・・ペアリング7,700円が安いと感じた理由はここにあります。
さて。2連泊ですがメニューがどのように構成されるかも楽しみにしています。
1品目 緑美しい蓮の葉がのせられた器が用意されてありました。きれいな演出。期待値がぐんと上がるスタートです。
鱸と玉蜀黍 加賀太胡瓜 もっちり茄子と書かれています。甘いと玉蜀黍スープが敷いてあり、胡瓜、茄子の他、里芋とフルーツトマトも。茄子が少し油っぽかったので、この先の料理を少し警戒してしまいましたが、ソースを絡めて美味しくいただきました。
羽根屋の4合瓶登場。ショップにもあった九谷焼の脚がついたグラスでいただきます。華やかで素敵。


2品目 素朴なお椀が運ばれてきました。
蓋を開けると華やかな内側。九頭竜川の鮎のお椀です。香ばしく焼かれた鮎と、糸瓜素麺、自家製胡麻豆腐が入っています。葉っぱは蓼の葉。印象的なお味です。
3品目 地物のお造り
クリスタルの器に入っているのが橋立港のバイ貝。富山のCave Yunokiでいただいたばかりなので記憶に新しい。
こちらも赤烏賊と𩺊(あら)。富山の鮨 難波でいただいたばかりです。𩺊の上には海苔味噌、他にお好みで山葵、生姜、塩でいただきます。
そこへ木桶を持ったスタッフがやって来ました。今回、別注文した鰻寿司のための鰻をお披露目。能登半島地震で被災して以来、2年ぶりに提供される能登うなぎ。へぇ~ まさにこれから捌いてくれるのね。他に2組ほどにも見せていたので、3組でこの1匹だったかもしれません。
4品目 伊佐木の柚香焼きは柚子につけた伊佐木に大根おろしと酢橘が添えられています。伊佐木は6-7月がこのあたりでの旬。
なんといってもいい働きをしていたのがローズマリー。カリッと焼いてあって軸から外して伊佐木と食べるとなんとも美味しい。うちにも売るほど生えているけど、こういうふうに焼くのは難しいな。でも、もっと活用できるかも。
5品目 鰻寿司。ここで別注文の鰻寿司が登場しました。1人2,000円です。完全無投薬、柔らかい皮とふわふわの身の能登うなぎ。
海苔は自分で巻きます。焼き海苔箱(焙炉 ほいろ)に入れられて登場。下段のお皿に炭が入れてあるので、パリッとした海苔でいただけます。



でもまずはそのままでと言われた気がするな。おお~ 香ばしい。蒸していない関西風だと思います。食べてしまうのが惜しいぐらい美味しい。
関東では寿司屋で鰻は食べられませんが、関西にはあります。タレの掛った鰻と胡瓜、貝割れ大根、茗荷、山椒とともに、パリッとした海苔で・・・うぅ、名残惜しくも食べちゃうぞ。高いかもと思いつつ頼んで大正解でした。
6品目 橋立港 夏鯵は、たっぷりのブロッコリーなどのスプラウトに埋もれています。
出汁の利いた酢の物のジュレでいただく爽やかな一品。鰻と、このあとに続く肉のあいだにちょうどいい。
7品目 能登牛と加賀の夏野菜。加賀野菜は緑と黄のズッキーニ、アスパラガス、ヤングコーン、無花果。蓮根とオクラもうしろに隠れています。
能登牛はほんの少しなのだけど、旨味が凝縮していて抜群に美味しかった!山椒塩とニンニク味噌と交互にいただきました。
8品目 鱧の銀餡掛け 加賀つる豆 新玉葱。最後の一皿は、関西人には欠かせない鱧。銀餡は目の前で熱々をサーブしてくれました。黒七味が添えられています。
つる豆は正式名はフジマメと言い、金沢市で生産されているものを加賀つる豆として認定しているそうです。平安時代の書物にすでに記されているという古い歴史を持つ野菜。新玉葱の上には黄にらものっていました。
ご飯は石川特別栽培米こしひかり。赤出汁はあおさとなめこが入っています。
香の物は、らっきょうと奈良漬。金時草が珍しい。
デザート フルーツ盛り合わせ。ノンアルコールのミントソースを掛け、さっぱりといただきます。
こちらもまた違った九谷焼の器。メロン、スイカ、アップルマンゴー、巨峰が入っていました。


【2日目】
2日目のお席は左の格子の中。
さらに密室感がありますが、願わくは鶴仙渓の緑を感じる席へも座ってみたかったな。
隣とはスクリーンで隔てられていて、顔まではわからないという距離感。緩やかに気配を感じる程度です。お隣はテーブル上に料理の用意がありますが、私たちのテーブルは折敷のみ。
これから何が始まるのかまったくわからないスタートも楽しみです。
2日目のお酒はお銚子でいただくことにしました。山中温泉のお酒 獅子の里 夏純米 オリゼー(2,400円)。オリゼー(Oryzae)は日本の国菌と呼ばれる日本酒を醸す麹菌の名前です。
前日とはまったく違うメニュー。楽しみです。
1品目 夏鱚 隠元豆 椎茸。鱚の上には土佐酢ジュレがかかっています。今、ジュレって多いよね。隠元豆は胡麻和えにしていますが、これがスモークされていて美味しかったわ。
2品目 甘鯛のお椀。松葉をイメージさせる器です。香ばしく焼いた甘鯛と白髪葱、オクラが入っています。とろみがつけてあって、美味しいお出汁。
3品目 石川のお造り。
甘海老と虎魚(おこぜ)です。ポン酢かお醬油でいただきます。丁寧に捌かれた皮や肝も美味しい。
4品目 橋立港 夏かます。メレンゲと海苔をのせて、軽く揚げてあります。ちょっとした工夫が光っているわ。
パリッと感が画像からも想像できるんじゃないかしら。かますは娘の好きな魚です。
日本酒は手取川 山廃純米吟醸(2,600円)に移ります。でも、火入れ感が強く期待した味ではなかったな。九谷焼のお猪口がさらに続きます。いろんな形があるわ。
5品目 玉蜀黍と新生姜の春巻き。これは中身も撮ればよかったです。新生姜の味はあまりしなかったのだけど、玉蜀黍がほっくほくで気に入った一品だったな。
6品目 能登岩牡蠣。これはもう、想像以上に大きい岩牡蠣でした。添えてあるのはライム。家にもライムを植えているのだけど、レモンとはまた全然違う働きをしてくれる大好きな柑橘。でも、これは蒸してしまっているのが残念でした。大味でいまひとつだったんだよね。
7品目 猪のしゃぶしゃぶ。濃いお出汁とともに猪肉が運ばれてきました。
皮目がきちんと炙ってあって、クレソンとともにいただきます。
温泉玉子の黄身はふつうよりも黄色い。猪肉と甘辛いお出汁をたっぷり絡めても残るので、さらにお出汁を入れて完食。
残念だったのがご飯です。2日目は炊き込みご飯でした。
北陸の釜炊きご飯は丁寧に切り込みを入れたバイ貝のごはん。何が残念かというと、3合ぐらいあって、相当大食いでなければ絶対に完食できない量なの。バイ貝をたっぷり使ってあることを見せたいのだろうけど、あとでおにぎりにしてくれるわけでもない量を出すってどう?賄いになるだけじゃん。
ちょっとやさぐれた気分でいただきました。しかもバイ貝って噛み応えがあり過ぎて、最後に持ってくるにはあまりふさわしくないと思うんだよね。でも、このご飯の素はオンラインで期間限定販売中なので自信の一品のはず。好みの問題なのだろうと思います。
デザート 水饅頭 宇治抹茶。水饅頭はともかく、宇治抹茶がとても美味しかったです。茶道の心得などゼロですが、ふっくらしているというか、うーん、上手に淹れてるなと素人目に感じました。これなら、4階ロビーの茶房を利用するのもおススメできると思います。
部屋へ戻るとお布団が敷いてありました。このところ和洋室が多かったのでこれもまた新鮮でした。
部屋では、初日は小松駅で購入した加賀ノ月満月純米吟醸(300ml660円)、翌日は近くのスーパーで購入した宗玄生原酒(300ml500円)を飲みました。加賀ノ月は2年連続ノーベル賞関連パーティで飲まれたお酒と書いてあったけど、私は断然宗玄が美味しかったです。
さて、夕食は連泊の料理が比べられるよう、一挙ご紹介してみましたが、いかがだったでしょうか。58,000円×2人×2泊-81,200ポイント=150,800円という宿泊料と併せて考えると、なかなか判断は難しいものだと感じます。前回の富山では食事だけで6万円前後出したことから考えると、じゅうぶん及第点かなと思います。ただ最近、贅沢な食事が増えてきたので(あくまで私レベルでの)、さらに何かを求めてしまいがち。粗探しにならないよう食事を楽しみたいですが、今回の岩牡蠣やバイ貝の炊き込みご飯のようなことがあると、一挙にテンションが下がってしまうんだよね。これは好みや相性の問題かと思います。総合的には、若い社長夫婦がこれからも工夫を重ねていくだろう前向きさがとても好ましかったです。リピ、ありです。